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ぎゃるめがっ!!!〜ときめきが魔力になる学園で、魔力ゼロなチョロかわギャルとバディになった話〜  作者: 河津田 眞紀@5/2ゼロラブ第1巻発売!
エピローグ

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50/50

二度目の初恋




 ――はっきり言って、ライゼント学院高校は、頭がおかしい。


 だって……愛の神をその身に宿すギャルを、生徒として普通に通わせているのだから。



 あの後、理事長のツバキさんは一連の事件の後始末に追われた。

 邪神徒(フェイスフル)による精神汚染の被害者は奇跡的にゼロだったけれど、学院を含む建造物の破損が目立った。

 アコード省とも連携し、修繕や補償を進めているらしい。


 事件に関わった邪神徒(フェイスフル)は一人残らず拘束され、そのまま逮捕された。

 もちろん、主犯格であるツバメも。


 これから量刑が審議されるところだが、僕はツバメに一度も会っていない。

 もう二度と会うことはないと思う。


 ホトギが生配信していたこともあり、邪神徒(フェイスフル)による邪神復活未遂はニッポン中の関心を集め、連日ニュースに取り上げられた。

 数年後には教科書にも載るかもしれない。


 けれど、誰も知らないだろう。

 アメノの復活を阻止したのが、ギャルに転生した女神であり……

 それを目覚めさせたのが、僕のキスだったなんて。




 あれから二週間。

 破壊された街の修繕も進み、今日からライゼント学院では通常授業が再開された。


 だけど僕は、登校しなかった。

 寮を出て、そのままゲームセンターへと向かった。


 ツバメへの復讐という宿願を果たした今、学院に通う意味も、神律師(ハーモナイザ)でいる意義もなくなってしまった。

 達成感の賞味期限はとうに切れ、今は燃え尽きたような虚無感だけが残っている。


 ……いや、違う。

 これは言い訳だ。

 学院に顔を出したくない理由は、もっと別にある。


 ……気まずいのだ。

 身勝手にファーストキスを奪ってしまったヒメカに会うのが。


 あの後ヒメカは、気を失ったまま病院に運ばれた。

 何度か見舞いに行ったけれど、彼女が寝ているタイミングを狙って行ったから、あれ以来会っていない。


 ……これでいい。

 このまま、会わないでいよう。


 僕がバディでいる限り、ヒメカは一生貰魔力(サレチカ)を稼げない。

 彼女のためにも、僕は学院を辞めるべきだ。


 大丈夫。元々、何者でもなかったんだ。

 ヒーローでもヴィランでもない。

 愛されないし、愛することもない。

 選ばれないならこっちだって選ばない。

 そんな存在に戻るだけ。


 ……そう。

 このゲームの、つまらないモブキャラに戻るだけ。



 と、無心でゲームのボタンを操作していると――


「――わ。ゲーム、めっちゃうまいじゃん」


 後ろから、声をかけられた。


 振り返った先にいたのは、ギャル。

 騒音塗れなこの場所にあまりに不相応な、最強(さいつよ)でメッカワな、ギャルだった。


「あたし、やったことないからさ。やり方教えてよ――リィト」


 ――ヒメカ・ヒメツカワ。

 二週間ぶりの目には眩しすぎる笑顔で、彼女は僕を見つめた。


「ヒメカ、ちゃん……なんで……」

「なんでって、それはこっちのセリフだし。なに学校サボってんの? 反抗期?」

「いや、その…………ごめん。君に、申し訳なくて」

「え? なにが?」

「……キス。あんな形でしちゃったから。合わせる顔、ないなって」


 我ながらダサすぎる。

 見つかった挙句、後出しで謝るなんて。


 俯く僕の顔を、ヒメカが覗き込む。

 そして、両手で頬を挟まれ、無理やり上を向かされた。


「ホントだよ! 言っとくケドあたし、めっっちゃキレてっかんね?!」

「……そうだよね。あんなことしたんだ。本当に申し訳……」

「だって――あたしからキスするって言ってたのに!!」


 ………………え?



 聞き返そうと開いた口は、すぐに塞がれた。

 ヒメカの、強引で唐突な――キスによって。



 重なる熱。柔らかな感触。

 香水じゃない、ヒメカの香り。

 そして…………


 ……不慣れが故にぶつかる、前歯と前歯。


「…………ったぁっ! 歯ぶつかるとか聞いてないし! キスむっず!!」


 いつもの調子でヒメカが騒ぐ。

 けれど僕は、言葉を失う。

 こんな幼稚で荒っぽいキス……逆に初めてだったから。


「……あたし、諦めないから」


 僕の頬を包み、ヒメカが言う。


「ぜったいぜったい、リィトをときめかせる……リィトに恋を思い出させるっ。だから……逃げてもムダだよ」


 そして、困ったような、今さら照れているような、弱々しい上目遣いをして、



「リィトが側にいないと落ち着かないのっ。学校にいても寮にいても、リィトのコトばっか考えちゃって……どうしてくれんの?!」

「ヒメカちゃん……」

「あたしばっか振り回されててズルいっ! リィトもあたしで頭いっぱいになってよ! いい加減、あたしに…………『キュン』ってしてよ」



 …………っ。



 ――『キュン』。



 …………電子音が鳴った。

 ヒメカの、バイタリストから。



「……え。今のって…………」


 信じられない様子で、ヒメカが液晶画面を見る。

 すると……


 ――[Accord Scale:1]


 誤魔化しようのないその表示に、僕は汗をダラダラ流し……ヒメカは、ぱぁっと笑う。


「リィト!!」

「違う」

「『キュン』って!!」

「違うっ」

「したでしょ?! あたしに!!」

「ちがーーうっ!!」


 嗚呼、嘘だ。

 こんな……ムードも何もない、お子様キスにときめかされるなんて。


「わーいっ、やったやったー! ふふーん。リィト、案外チョロいね」


 …………このギャルめが。


 僕は悔しくなって、ヒメカの腰を抱き寄せる。

 そして、顎をくいっと持ち上げて、



「……違うよ」

「へっ?」

「教えたでしょ? キスは…………こうするんだよ」



 メガネの奥に、密かな降伏を隠しながら。

 

 二度目の初恋を奪った彼女に、僕は…………愛を込めて、キスをした。





 ―完―



 

これにて完結です。

お読みいただき、ありがとうございました!


念願の商業デビュー1作目が、2026年5月2日(土)NolaブックスGlanz様より発売となります。

タイトルは、

「日常感ゼロな俺の青春崩壊ラブコメディ〜異世界の姫と魔王とタイムトラベラーと世界を救う話」

です。


異世界転移×異世界転生×タイムトリップな非日常系ラブコメディですので、よろしければチェックしてみてください!

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― 新着の感想 ―
遅くなりましたが、完結お疲れ様でした。 よく練られた世界観でストーリー展開やバトルの駆け引きも秀逸。特にクライマックスに向かう14章後半は控え目にいって神回の連続でした。最後に真名が明かされるのも良…
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