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「「「お帰りなさいませ!」」」
久しぶりに見る顔と初めて見る顔、やっと王都のバチスチ家の屋敷に着いたのだ。まぁ、屋敷というよりお城みたいだけど…皇帝の城は遠くから見ても大きくて存在感が半端ない。前にも見たがまるで要塞だ。それに比べて我が家は正にお伽噺の国に出てきそうな外観をしている。
そんな事を思いながら玄関に辿り着こうってところで、前から懐かしい人が突撃してきた。今回は流石に避けないでされるがままになった。
「ルーナお嬢様ー!お会いしたがったですー!」
「久しぶりだね、ヴァネッサ。元気そうで良かった」
「…ルーナ様!私の事、覚えてくださっているのですか?…そんな、嬉しい!!」
ヴァネッサは昔と比べると少し大人っぽくなった。正に少女から女性になったのだろう。メイド長にもかなり厳しく指導されたに間違いない。ただ、変わらないところもあって実は安心した。今日からまた、彼女は私付きのメイドに戻るのだ。
「今日からまたよろしくね、ヴァネッサ!」
「はい、ルーナ様!誠心誠意お仕えさせていただきます!」
二人で久しぶりに会えたことを喜びあっていたら、"彼女"と目が合った……
「お帰りなさいませ、貴方、ローウェル…そして、アルファティリエ、…良く戻りました。さぁ、もうすぐ夕食の準備が出来るわ。先に体の汚れと疲れを癒してちょうだい…」
「ただいま、ライラ!今日も君は素敵だよ…まるで夜の女神だ!」
「お久しぶりです、母上」
「あら、2年振りに会う母に対して、随分とそっけないわね。後で話を聞かせてちょうだい?」
「おいおい、ローウェル!ルーナと俺の女神を独り占めとはいい度胸だな!」
「母上はあまり父上を困らせないでください、とばっちりは嫌ですよ?」
何とも自然な家族の団らんな図がそこにある…けれど、不自然なほどに私は彼女の世界には存在していない。流石は我が母だ…自分の手を殆んど汚さずに情報と巧みな口上で場を支配し、敵を滅ぼす。
そう、私は彼女にとって敵なのだ…7年間会わないでいたのに、私に対する感情にあまり変化はなさそうだ。
「疲れた…ヴァネッサ、部屋に案内してくれる?」
「もちろんですルーナ様!」
触らぬ母に祟りなし…こいうときは問題回避のため、さっさと退場をするに限る!
「夕食も要らないから、みんなで食べちゃって?」
新しく与えられた部屋は前と比べると、少し小さいと思ってしまう…
ヴァネッサを下がらせ、シルフと他の精霊に教えてもらった結界を張ってやっと一息が出来る。
「二人とも、もう出てきてもいいよ」
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