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にゃんこは正義である!
私がソルテに掛けたのは、主従誓約の魔術だ。本来ならお互いに同意しないと結べないものだが、片方の魔力が2倍以上もう片方を上回ると強制的に支配下におけると、先日ウンディーネに聞いた。血を使ったのは確実に上回るためだ。私の血には強い魔力が宿っているらしいから……まぁ、フェアじゃない!って聞いたときに思ったけれど…やっちまった…だが、後悔はない!念願の猫が手に入ったのだ!
「っぐ…!!こんな子供に、やられるとは!これは主従の誓約か…だが、こんな一方的に成立するほどの魔力があるのか!?…有り得ぬ!」
いやまぁ、そうだろうね~
実際今まで会った中で一番強いと感じたのがソルテだ。ただ、自分で言うのもなんだけど、私のは規格外だ…
「ソルテ!ソルテ!これからオベラを狩に行くんだけど、一緒に行こうよ!」
ここは軽ーく流して、任務も達成、ソルテお持ち帰りの姿勢で行こう!
「………我は…誰にも、従わぬ!」
あれ?なんかソルテがフラフラし始めて、力を失ったかのように伏せた。
「ど、どうしたの?!えっ?!」
ちょっと待って!こんなの聞いてないよ?!せっかく出逢ったのに傷つけちゃった?!ど、どうしよう!
「ルーナ様!ここは危険!この森に黒のガトーが入り込んでいる!アイツは危険な奴…今は逃げないと!お怪我を……ってあれ?」
シルフが慌てて危険な奴がいるって伝えに来たらしいんだけど、それどころじゃない!ソルテが!!
「そんなことより、どうしよう!?主従誓約を結んだら倒れちゃったの!どうしたらいい?!」
「…流石ルーナ様…黒の魔獣を手なずけた…びっくりした……それにそいつは大丈夫…」
「本当の本当に大丈夫なの?」
シルフはソルテの額に触れて目を閉じた。
「…うん…大丈夫…ルーナ様の魔力に酔っただけ」
「なら元気になるんだね!?…はぁ、よかったぁ」
シルフが言うのなら大丈夫だろう…後はどうやって連れて帰るかだが…
「…うーん、連れて帰るにはちょっと大きいか…」
「それなら…小さくすれば、いい…ルーナ様なら…出来る」
ソルテとの繋がりを意識したら、何だか変な感じがした。まるで巨大な渦の中に居るような気がしたら、突然負の感情が流れ込んできた!
「っう…」
…何故誰も理解してくれないのか…何故まだ生きているのか…全てがつまらない…
「大丈夫、だよ…今度から私が君を理解してあげるから!楽しませてあげるし、生きるって楽しいって実感させてあげる!」
目を瞑り小さくなったソルテを思い浮かべる…魔力を繋げ同調させる。目を開ければぐったりした様子のソルテが子猫サイズになっていた…
「成功、ね」
始めてやった2つの大作業だった…流石にちょっと疲れた…主に精神的に…後はオベラを捕まえればもう帰ろう。
「シルフ、オベラは何処に居る?」
「ここから南西…1kmの所に居る」
「ありがと!ついでに捕まえに行く間、ソルテを見ていてくれる?」
「承知」
さて、ちゃちゃっと捕まえに行くか!
気配を消して音もなく木の上を駆ける…っふ、これぞチビッ子忍者だな!と自己自讚していたら、オベラ達を見つけた。
オベラ達は呑気に草を食べていた…何というか本当に羊を小さくしただけに見える…カラフルな毛をしていることを除けばだが…これだけ目立っていたらむしろ何故捕まらないのかがわからない…
30匹は居そうだが…1匹だけでいいということだったから、端っこに居る奴を狙うとしよう!無駄に驚かせて逃げられるのも面倒だし、今は早く帰りたい!
先ずは1匹だけ睡眠の魔術を掛けて、周りの土に魔力を送って土で籠に閉じ込める。幸い彼らは食べるのに夢中で気づかない…本当にすばしっこいのか?
気配を消したまま籠に触り、土を石に変換するようまた魔力を送り込む。これはノームが教えてくれた技だ。
これで任務は完了!籠の中にはピンク色のオベラがぐっすりと寝ている。思った以上に簡単すぎて拍子抜けしたくらいだ…
ソルテとシルフの所に戻って、左手に依頼品、右手にはソルテを抱えて、帰りもシルフの風に乗って20分程で家に着いた…
さて、何て説明しようか?
読んでくださりありがとうございます!ブックマークや評価をしていただけると作者のやる気が上がります(笑)よろしくお願いいたします!
ルーナ:おばあちゃん!森で拾ったの!飼っていいよね!?…どうかなシルフ?いけると思う?
シルフ:……許す…もし、反対されたら…窒息させる…
ルーナ:いやいや、そこまではしなくていいよ(-ω-;)