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噂の物語

勉強の合間に書いていたらいつの間にか1話分書き上げていたので投稿します。

 5月7日(水)


 あーダリー。連休明けの学校ほど嫌なものはないな。

 俺は朝食を食べながらそんなことを考える。


 そう今日から4連休が終り学校に行かなくてはならないのだ。

 今日の授業は月曜授業である。

 普段通りに水曜日の授業をやってくれたのならまだ楽しみはあった。

 しかし今日は月曜の時間割で授業は進められる。


 何回呟いても月曜の時間割という事実は消えない。


 そして今日は美術がある。デッサンをやるらしい。

 メッチャ眠くなる授業だ。

 正直デッサンって何をやったら良いのかわからん。

 そりゃあ絵を書くのだろうが、どんだけ頑張っても美術で4以上をとったことがない。


 万年3だ。先生にも上手くはないが下手でもない普通の絵だ、と言われたことがある。

 だいたい俺はアニメ絵とかなら書くの好きだが、風景やら人物画とかリアルのものは好きじゃない。

 

 俺は結局無駄な抵抗をやめ学校に向かう。

 学校に行く途中で愛さんに出会う。


「おはようございます。愛さん」


「逢坂君、おはよう」


 俺はせっかくなので昨日気になったあのことを聞いてみる。


「あの愛さん、少し気になることがあったのですが?」


「なんだい?」


「はい。実は昨日恵に会ってないのに友達に追加されまして…」


「その前に友達と認識されるような出来事とかあった?」


「はい。ありました」


 あの遊園地での出来事は友達認定されるのに十分な出来事だったはずだ。


「ならその時に周りに人はいたかい?」


 どうだったかな……いたようないなかったような……


「ちょっとわからないですね。近くに人がいるとなにか問題があるんですか?」


「いや、問題があるわけではないのだが、周りに人がいた場合たまに友達認定されない時があるんだよ」


「バグですか…?」


「いや何の関係のない人が友達認定されないように強い関心を持ってきてくる人が近くにいた場合、友達認定をしないようにした」


「俺に強い関心ですか?」


「その可能性が高い」


 俺に強い関心ね……本当にそんな人いるのかな……


 そんな事を話してる間に学校に着く。

 俺は靴を履きかえ、自分の教室に向かう。

 この学校には1年校舎、2年校舎、3年校舎、職員校舎、実技棟、体育館、グランド、プール、テニスコート、図書館などがある。

 この学校は超有名な3つの学校を合体させたらしいのでこれ以外にもたくさんの施設がある。

 なのに敷地はほとんど土地を使ってないことになっているのだからゲームならではだと思う。


 俺は愛さんと別れ、自分の教室に入る。

 なにかいつもと様子が違う。

 なんか俺を見てヒソヒソと話をしている。


 俺何かやったか……

 俺は休み前の学校の様子を思い出すが、何も心当たりがない。


「おはよう。零君」


 クラスの様子がおかしい中、美咲は普通に話しかけてくれる。

 助かった。あれは居心地が悪すぎたからな。


「おはよう。美咲」


 俺のその言葉に教室が少しざわめく。

 いったい何なんだ!?


「ねえ。零君…なんかクラスの様子おかしくない?」


「美咲もそう思うか…」


 美咲もクラスの様子がおかしいことに気づいてるようだ。


「美咲は何か知ってるか?」


「ううん」


 美咲は首を横に振る。

 美咲も知らないのか。

 後知ってそうな奴は……


 後輩君か……嫌だな。あいつに聞くの。

 でもなんでこんなことになっているか気になるしな。

 うーどうしよう。


 俺が頭を抱えて悩んでいるとちょうど後輩君が現れた。


「こ……三上。少し聞きたいことがある」


「逢坂…今、後輩君と言いかけなかったか?」


「言いかけてない」


「まあいい。それで聞きたいことはなんだ?」


 なんか口調が変わったか?

 もしかして夏休みデビューならぬゴールデンウィークデビューか?

 あまり似合ってないがここはスルーの方向でいこうか。


「なんかクラスの様子がおかしいんだ。三上は何か知らないか?」


「なぜ俺が逢坂のクラスなど……と言いたいところだが逢坂はあの噂知らないのか?」


「噂?」


「ああ、なんでも一色さんと逢坂が付き合ってるって」


「はぁ!?」


 俺は思いっきり大声を出してしまう。

 その声に教室のみんなが俺に注目する。


「どういうことかな零君?」


「美咲、俺は恵とは付き合っていない」

 

 美咲は俺に詰め寄ってくる。

 俺はすぐさま反論をする。

 その言葉に「ほんとかな~」とか「でも会長は証拠を見たって」という言葉が聞こえてくる。


 おい勝手なこと言ってんじゃねえぞ!なんでそんなことになってんだ!


「三上、なんでこんな事になってるか知ってるか?」


「なんでも生徒会長が一色さんが逢坂にキスするとこ見たって」


 あの時のキスかー!?友達認定されなかったのも会長がいたからか。

 でも俺会長のこと知らねえぞ。


「会長?」


「逢坂、知らないのか?この学園始まって以来初めて1年生で生徒会長になり、そのまま2期連続で生徒会長をやっている七草御影さん」


「たしか噂好きで有名なんだよね」


「そうだ。さすがは桜さん。よく知っている」


 っち。どうせ俺は何も知らない馬鹿だよ。

 それにしても噂好きか。

 今回の標的ターゲットが俺と恵になったわけか。

 まあ決定的瞬間を見られてるわけだから仕方ないことなんだけど、人のプライバシーばらまくな!


「とにかく会長のところに行ってくる」


「待て逢坂。噂はそれだけじゃない」


 何?今聞き捨てならない言葉が。


「噂がそれだけじゃない?」


「ああ、ほかにもクール系美人の愛さんとカップル対抗クイズ大会に出てただとか、活発系美少女の奏ちゃんとカップル対抗運動会に出てたとか、清楚系美少女の桜さんとデートしてたとか」


 おおい。

 俺のプライバシー丸裸じゃん。どうしてくれんだ。

 

「零君その話、本当?」


「は、はい。本当のことです」


 俺が観念すると「やっぱりな」とか「入学早々ハーレム作るとか見どころあるわよ」と聞こえてくる。


 そうかここはゲームの中だから別にハーレム作っても罵倒されることはないのか。

 ただし男子の恨みは買うとか出てきそうだけどな。


 ハーレムを作ろうと決意したと思っていたのだがまだ現実とごちゃ混ぜになっているようだな。


「ふ~ん。そうなんだ。私も頑張らなくちゃ……」


 美咲が何かを言っているが聞こえない。

 それより今は生徒会長をなんとかしないとな。


 キーンコーンカーンコーン


 チャイムが鳴った。

 くそっ次の休み時間にするか。


「それじゃあ逢坂。僕は自分の教室に帰るよ」


「ああ」


 俺は1時間目が終わるのをじっと待っていた。

 あ~授業時間長ぇー。

 50分の授業時間が永遠に感じられる。


 ようやく後5分か……

 

 残り4分


 3分

 

 2分


 1分


 キーンコーンカーンコーン


 良し授業終了!俺は立ち上がり教室を出ていこうとする。

 しかしその前にクラスメイトに囲まれる。

 なんて素早い動きなんだ!?


「逢坂君。いろいろと聞かせてもらうわよ」


 女子生徒が詰め寄ってくる。

 えーと誰だっけコイツ。


「確か…林さんだっけ?」


「森よ!森明日香!」


 全然違った。あと別にフルネームは聞いてないんだけど。

 

「俺、生徒会長に用があるんだけど…」


「駄目よ!御影さんは忙しいの。彼女の邪魔をするのなら私達の質問に答えてなさい」


 くっこれじゃ教室から出ることもできない。

 しかもクラスの女子が団結して俺を教室から出さないシフト、略してOSDSをひかれている。


 女子が相手だから強行突破は出来ない。

 仕方がない。ここは一旦諦めて昼休みだな。

 まったく美術さえなければ次の休み時間に行けたのだが……


 俺は休み時間が終わるまで質問攻めをくらった。

 もう休み時間じゃねえ。苦行だよ。

 これならまだ授業やってるほうが楽だ。

 

 キーンコーンカーンコーン


 さっきは悪魔のチャイムにしか聞こえなっかたが授業開始のチャイムだというのに天使のチャイムに聞こえる。

俺は2時間目の授業を受け、さらにデッサンでの睡魔と戦いなんとか午前中の授業を乗り切った。

 あーやっと昼休みか……

 クラスメイトの女子のほとんどが学食や学校の外に昼食を食べに行っているようで、かなり少ない。

 今ならOSDSを使うことは出来ない。

 

 しかし、俺は1,2時間目の授業そして3、4時間目の睡魔との戦いでかなりの疲れがたまっていた。

 そして止めは休み明けの気怠さだった。


 俺は自作の弁当を食べ、トイレに行き、次の授業の準備をしたところで力尽きた。

 俺はそのまま爆睡してしまった。


 俺が目を覚ましたのは5時間目開始のチャイムが鳴った時だった。

 しまった。眠ってしまった。せかっくのチャンスだったのに……


 5時間目と6時間目の間の休み時間はOSDSをされて生徒会長のところへ行くことが出来なかった。 そして放課後。


 くそっ俺は七草会長のいるクラスに行く。

 頼む、まだいてくれよ。

 七草会長のクラスメイトに話しかける。


「あの……七草会長はいますか?」


「御影ちゃん?ごめんね。なんでも明日の準備が忙しいらしくて…もう帰っちゃったのよ」


 そ、そんなー。だいたいなんだよ明日の準備って。


「明日の準備?明日って何かあるんですか?」


「私もよく分からないんだよね……御影ちゃん何も教えてくれないし」


「そうですか」


「それより急ぎのようならスマホから電話かけられるけどどうする?」


「いえ、なら明日また来ます」


「ねえ君。御影ちゃんに何の用だったの?もしかして告白とか?」


 俺が帰ろうとすると会長のクラスメイトに捕まった。

 心なしか面白そうにしてるのは気のせいだよな。


「いえ…今日流された噂について話を聞こうと……」


「ああ、君もそれか…」

 

 会長のクラスメイト(以後先輩と呼ぶことにする)が呆れた声を出す。いきなりテンションが下がったな。


「君も?」


「そうなのよ。今日は何回も御影ちゃんに噂のことを聞きにくる男子がいるのよ」


「マ、マジか……」


 なんか嫌な予感がする。俺の嫌な予感って結構当たるんだよな。


「何?なんかマズかった?」


「いえ…その…俺がその噂になっている逢坂でして」


「ああ!君が御影ちゃんの今回の被害者の逢坂君か!」


 先輩はいきなり元気になる。

 やばい目が獲物を見つけた目になっている。


「で、実際のところどこまであの噂は本当なの?」


「その…一色恵と付き合っているということ以外、全てです」


「ほほー。やるじゃない!」


 先輩は可笑しそうに笑っている。

 

「それで先ほど今回のとおっしゃってましたがあれは一体……」


「それは御影ちゃんは面白そうな光景を見つけては噂をばらまくのよ」


 おいおいなんて酷いんだ。


「一体何人くらい被害にあわれているのですか?」


「今のところ10人くらいかな」


 結構被害にあってるんだな。

 生徒会長は俺の危険人物リストにマークしておこう。


「まあとにかくしばらく頑張りなさい」


 先輩は励ましてくれてるのか?

 あとしばらくって噂の撤回が出来ないこと前提かよ。

 何気に酷いな、この先輩も。


「はい。頑張りますよ」


 俺はそう告げると自分の教室に戻る。

 第1目標は噂の撤回だが最悪噂がなくなるまで我慢すれば良い話だ。


「零君!大変だよ!」


 美咲が慌てて近づいてくる。


「何があったんだ!美咲」


「実はこの学校に通っている男子の約7割が零君を捜して正門と裏門に集まっているんだよ」


 な、なんだと!?

 もしかして先輩の頑張れってコッチのことか。

 嫌な予感が見事に当たってしまった。


「他に学校から出る方法はないのか?」


「多分ないよ。どうする零君?」


 どうする。なぜこんなことに……

 これもあれも全部会長のせいだろ。


 俺は校舎の窓から正門を確認する。

 かなりの人がいるな……

 あの人数を突破するのはまず無理だ。


「とにかく門に近づこう」


「わかったよ」


 俺達は正門に近づいていく。ここに7割がいるということは寮は大丈夫のハズだ。

 問題はどうやって寮まで行くか、だな。


 俺が考えこんでいると先生らしき人がやってきた。


「君たち!こんなところで何をやっている!早く家に帰りなさい!」


 おおいいぞ!救世主が現れた。

 もっと言ってやれ!


「はぁ!あのリア充を見逃して帰れるかよ!」

「そうだそうだ!」

「あいつを見つけるまでは帰らないぞ!」


 なんということだ。ますます帰れなくなった。

 しかし先生が起死回生の1言を放つ。


「このまま帰らないというなら成績引くぞ!」


 この1言が決め手となった。男子学生は次々家に帰っていく。

 俺は美咲と別れ学校を出ると最新の注意を払い寮へ帰ってくる。


「た、助かった」


 俺は部屋の中で崩れ落ちる。

 俺は扉に鍵とチェーンロックを掛けさっさと寝ることにする。


 夕食を食べ、風呂に入り、明日の準備をする。


 俺はまだ9時ではあるが布団に入って寝る。

 今日は疲れた。


後から聞いた話だがこの男子が門にたまったのを『噂から嫉妬事件』と言われているらしい。

 ネーミングセンス、ダサっ。


 印象力が5下がった。スキル『忍び足』を手に入れた。

 







 



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