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6.衝撃の告白?

 アンポンタンナルシスト由愛は、ナルシストになるだけあって超絶美形という設定だったりする。(まあ、乙女ゲームの攻略対象が不細工だったら『乙女』に買ってもらえないから、由愛だけでなく全員美形なのだけど。)


 ゲームの開発スタッフのひとり、芹沢女史は『美形=ハーフ』という思考の持ち主で、彼女の案が通り由愛はハーフということになった。逆に言えば芹沢女史に任せると猫も杓子もハーフになってしまうので、普段はキャラクター設定にはあまり関わらせて貰えてなかったのだ。

 たまには芹沢女史の好きにしていいよ、と生け贄にされたのが由愛だった。



 愛は暴走した。(本人談)



 普通にハーフだとつまらない、と代々ハーフにしてしまっていた。つまらないって・・・。

 父方の祖父は、父親は日本人、母親はイギリスとフランスのハーフというハーフだ。祖母は、父親は日本人、母親はドイツとイタリアのハーフ。母方の祖父は、父親は日本人、母親はブラジル人。祖母は、父親はアメリカとカナダのハーフ、母親は日本人。ただし、母方の祖父の父親は戸籍上は両親とも日本人だけど実父はロシア人だ。



 あまりにややこしいので、結局、ゲームでは『ハーフ』の一言でしか説明されていなかったりする。芹沢女史が満足しただけの話だ。

 でも、由愛にとっては現実な訳で…彼女のおかげて金髪で紫の瞳という劣勢遺伝の色と、ちょっとズレてる親を持ってしまったのだった。こうやって自分の身に降りかかるとわかっていれば断固阻止したかった。



 両親とも日本で育っていないので当たり前のことを知らなかったり勘違いしていたり、というのは「ベタ過ぎだろ」と一応、前世で突っ込んでおいた。もちろん改善されることはなかったけど。

 それよりも何が困るって、勉強すると怒られることだ。宿題だけはOKなので、水増し申告して勉強時間に充てている。部屋で勉強中に親の気配がすると、慌ててスケッチブックを開きお絵描きする、なんて可笑しすぎるだろ!


 芹沢女史の面白設定なのか、アンポンタン育成のための仕様なのか知らんが迷惑だ。もっともゲームの由愛は『宿題だけはする』子だったので、親から勉強しろともするなとも言われなかったに違いない。


 別に僕だって勉強が好きな訳ではない。けど、小中学校の頃に覚えたこと、もしくは覚えるつもりもなかったくだらないことが、大人になっても鮮明な記憶として残っている、というあの体験をしてしまったら…もう少し有意義な生活しとけよ、昔の自分! と思うわけで。

 昔に戻った訳ではないけど、せっかく今、また『子供』やってんだから前頭葉を存分に活躍させたい。




 そう考えると、叔母の画策とはいえ受験が許されたのは有難いのかも知れない。間違っても花怜おばに感謝はしないけどな! 


 しかし。

 他にも幾つかの学校を受けたい、と言い出した僕に父は憐れみを帯びた視線を向けてきたのだ。何故だ?


「あのね、由愛」

「なぁに、パパ?」

「入学試験を受けても、その学校に必ず行けるわけじゃないんだよ。合格しないとダメなんだ。」

「え?」


 何を当たり前のこと言ってるんだ? と驚いてしまったのだが、父は別の意味に受け取ったようでガッツリとハグしてきて、より悲壮感漂う声で言った。




 「だから、由愛は受験してもあの学校には行けないんだよ!」





 

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