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聖女と勘違いしてなぜ覚醒しないと責めた側があとになって後悔することになるが知るものか  作者: リーシャ


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01聞いてた話と違う!

 目をふと開けると真白い空間に立っていた。真っ白ではなく真白い。まっしろというより、ただただ絵の具の白を塗られた空間の方がしっくりくる。


 霧と表現できない異様さに縮こまっていると空間にふわっとなにか現れた。現れた何かは最初のっぺりしている。ゆっくり足を地面に付けると恭しさを感じる動きで手を胸に持ち上げて、礼をする仕草になる。相手はこちらを認識して挨拶しているのだ。


 慌ててパルミティアも頭を下げる。どういう状況なのかわからないからこそ、相手に好感度をよくしておく態度の方がどちらに転んでもいい方に行ってくれそうだし。


 その存在がこちらに語りかけてくる。それに頷き答えると意識が朦朧として真っ黒になった。


「どこを見ている?」


 ──バチン!


「うっぐっ!……う」


 絶きれなくなった声が出てきた。父親だ。娘を不出来と罵る。今わかったことがあるのだが、この親にいうことはない。憎さしかない。恨みしかない。


 この世界に来るときにこの世界の上位存在に出会ったのだが。そのときに、神聖なオーラを浴びたのか地上に生まれるときにどうやらそれを勘違いした誰かが神聖なオーラの残り香が残る赤ん坊を聖人、または聖女と勘違いしてしまった。


 他人を信じた愚かな父親がたいそう嬉しそうに飛び上がり、嬉しい嬉しいと泣く姿を冷静な目で見ていた。すぐに埋まるわけじゃないので時間が経てばわかるでしょうと放置する。


 しかし、予想外なことが起きた。どうやら父親は平民。期待値が高すぎた結果、そうじゃなかった結末に怒りが今も治らないらしい。腹を立てるとパルミティアの体や頭、頬を叩くようになった。酒に酔うとパーがグーになる。あまりにも酷い展開だ。


 この世界で育ってもらい後は人生を好きに過ごし好きにしてもらい、のちに終えてから自分の元へきて欲しいと甘く頼まれたら頷きもする。


 当たり前だ。顔が良かったし。性格もよさそうだし。幸せが約束されているのならば。それなのに約束されてないではないか?


 怒りがふつふつと湧く。何度目になるか、わからない暴行を受けた瞬間、体が強く光る。光とそれに驚いた父親がよろりとなって頭を床に打ちつけた。


「こふっ」


 それをただ俯瞰して見ていると光に反応したパルミティアはため息を吐く。吐いた息を戻すつもりはない。


「……遅い」


『悪い』


 頭の中に聞こえるのはテレパシーみたいなものかな。


「なにしていたの。全然楽しくないんだけど、人生」


『まさか、こんなことになるとは思わなかったんだよなぁ』


「私も思わなかったよ。まさか、親がこんな真似をするなんて。こいつは全く無能力なのに能力持ちの私に暴力を振るうなんて、そもそも法律違反じゃん」


 ザ・犯罪。そうでなくても子供にこうやって暴力を振るうことは許されないこと。この国でも当たり前に法律は適用される。文句を言い、彼にいくつか話をしてからパルミティアは父親という生物を見下す。


「はぁ!全く……今まで散々私をいたぶったやつを治すわけないじゃん」


『好きにすりゃイイ。お前の好きなようにしろ』


「どーも、言われなくてもするけどねっ」


 彼に返事をして頭を打って気絶している男を鋭く睨みつける。


「今までの報いを受けてもらう」


 父親を治さずに放置してふんと鼻息荒く部屋を出た。出た先の廊下へ行くと自室に戻る。折檻が終わったあとは、いつもいつもフラフラだったので今日はハキハキ歩ける。それだけなのにやけに気持ちが晴れやか。


 頼まれたから生まれ変わったのに、なぜ産んでもいない男の方に殴られなければいけなかったのか。ふざけた対応だ。こんなことでは仮に覚醒しても、役に立ちたいとチリも思わない。聖女だと言われたのに清らかな心など持っていられるわけがない。


 親に暴力を受け続けて保てる精神など、もはや人間ではないと。この対応は人間だと思っているのか、人間ではないと思っているのか謎である。人間だと思っているのならば聖女に対して不誠実極まりない。


 聖女であり、人外であると思われているのならば命知らず。怪物は、あちらの方だ。どちらにしても、対応がまずいと言うことに気づいていない。奴らはきっと美化している。だからこそ美化した幻想を粉々にしてやるのだ。


 部屋に戻って二、三時間後に家の中が騒がしくなり、ノックなしのあとに入ってきた母親を見る。


「あ、あのねっ、お父さんが倒れているのっ」


「ふうううん……でっ?」


 大したことでもあるまいし騒ぎ過ぎ。パルミティアの態度に母親はオロオロし始める。なにそれ?


「お、お父さんが怪我してるのに、もっと心配とか」


「私が怪我しても誰も騒がないのに相手が変わると心配するんだ」


 母親の肩が大袈裟に揺れる。家族全員、父親に暴力を振られていることを知っているくせに今更なにを知らないフリしてるんだか。


 聖女聖女というが、パルミティアはただの花嫁だ。かっこいい男の神の。何故か自分に婚約者がいると言う謎。必要ないと思う。平民だから。なぜ婚約者がいるのかと言うと聖女として騒がれたからだ。聖女と婚姻したいものは山ほどいる。

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