59話 大共闘の成果
話しているとルーリアがこちらに歩いて来ている姿が見えた。あの光を受けて服がなくなってしまったのか、今は別の服を着ていた。
「とにかくお疲れ様。今回の大共闘についての報告をするからミズキちゃんも聞いてちょうだいね」
ルーリアが広場の中心へ移動し宣言する。
「大共闘の結果について報告するわ! 無事に迷宮の主を討伐。最終討伐者はそこに居るミズキちゃんよ!」
討伐もの報告に周囲からは割れんばかりの喝采が上がった。自分が討伐者になっていることに狼狽し振り向くが、ジャラックは首を振るばかりだ。
このままではジャラックの功績ではなくなってしまう。
焦りから声をあげようとするが、ミズキの肩に少ししゃがんだジャラックの手が触れられ止められてしまった。
「いいのですよ、ミズキ。私は友人の手柄を横取りするようなことをしたくないのです」
「でもッ……!」
ミズキの肩から手が離れ、代わりに頭を撫でられる。
「そこまでしてくれることは嬉しく思いますよ。だからこそです。わかってはくれませんか?」
「それでも、ボクは……」
ミズキたちのやり取りとは別に、迷宮の主討伐までの経緯をルーリアが説明し続けていた。
衝撃波によって壊滅したことと、光になぎ払われてほぼ全滅したことをを簡潔にのべていく。
次にルーリアは、ミズキたちの活躍がなければ今回の大共闘は失敗していたことを説明していった。
「よって今回の最大功労者のミズキちゃんには、『自在砲剣の結晶核』を褒賞品として渡すわ!」
そう宣言したあと、討伐はかろうじてできたが失敗したも同然だったと補足する。
何よりこちらの被害が大きすぎ、装備などの補填を優先したため、報酬はわずかだということを申し訳なさそうに話していった。
「だからごめんなさい。ミズキちゃんの貢献度を考慮するとこうならざるを得なかったわ」
ルーリアは面目がないと続ける。
しかし。
「参加したからには覚悟の上だったさ」
「補填してもらえるだけでもありがたい」
「気にしないでくれ」
周りからはそういった温かい言葉が投げかけられた。
当然、大共闘は失敗することもあるが、損失分を補填してくれるとは限らないからだ。そのことを知る者たちから声は上がらない。
ルーリアがミズキを呼び褒賞品を受け渡そうとするが、ミズキはそれを受け取りたがらなかった。
協力して倒したというのに、自分だけがいいものを受け取ることへの抵抗感があったからだ。
だがそれも、今回迷宮の主を討伐できたのはミズキのおかげだと、そうルーリアに説得されれば長くは続かなかい。
共闘で得られた利益は、活躍した者に多く分配されなければ不満が出てしまう。
なにより働きに差がある場合に配分が同じでは、能力のあるものがやる気をなくしてしまい本末転倒だ。
ルーリアの説得に折れたミズキが受け取ると再び喝采が上がった。
ミズキは手元の結晶をじっと見つめている。それは青く煌く多面形の結晶だ。ミズキにはこれがどれほどの価値があるかわからない。
ふと、呟くようにしてミズキが言葉を発した。
「ルーリアさん。これはもうボクの持ちものなんですよね?」
「ええ、そうね」
突然の言葉にルーリアは少しつまりながら答えた。
ジャラックはミズキが何をしようとしているのかわかっているらしく、にやにやと笑っていたような気がした。
いまだ周囲の注目が集まるなか、ミズキが『自在砲剣の結晶核』を掲げる。
「ボクは宣言します! この、ええと……結晶! 結晶の利益を、今、ここに居る人たち全員に分配します!」
「ちょ、ちょっとミズキちゃん!?」
「これはボクの財産です、それをどうするかはボクの自由のはずです! この素材を得るにはジャラックさんの助けがなければ無理だったと、ボクは声を大にして伝えたいです! もちろん皆さんとの協力も不可欠でした! だからボクは皆さんへのお礼も含めて分配したいです! そして方法はルーリアさんにお任せします!」
言い終わったミズキがルーリアに『自在砲剣の結晶核』を渡すと、先ほどを越える喝采が響き渡った。
ジャラックが苦笑しつつルーリアのもとへ近づき話しかける。
「こうなるだろうとは思っていましたが、見事に当たってしまいましたねぇ」
「はぁ、みんな喜んでいるしいいってことなのかしら……」
熱狂冷めやらぬなか、ルーリアが諦めたように呟いた。




