表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

59/175

59話 大共闘の成果


 話しているとルーリアがこちらに歩いて来ている姿が見えた。あの光を受けて服がなくなってしまったのか、今は別の服を着ていた。


「とにかくお疲れ様。今回の大共闘についての報告をするからミズキちゃんも聞いてちょうだいね」


 ルーリアが広場の中心へ移動し宣言する。


「大共闘の結果について報告するわ! 無事に迷宮の主を討伐。最終討伐者はそこに居るミズキちゃんよ!」


 討伐もの報告に周囲からは割れんばかりの喝采かっさいが上がった。自分が討伐者になっていることに狼狽ろうばいし振り向くが、ジャラックは首を振るばかりだ。


 このままではジャラックの功績ではなくなってしまう。


 焦りから声をあげようとするが、ミズキの肩に少ししゃがんだジャラックの手が触れられ止められてしまった。


「いいのですよ、ミズキ。私は友人の手柄を横取りするようなことをしたくないのです」

「でもッ……!」


 ミズキの肩から手が離れ、代わりに頭をでられる。


「そこまでしてくれることは嬉しく思いますよ。だからこそです。わかってはくれませんか?」

「それでも、ボクは……」


 ミズキたちのやり取りとは別に、迷宮の主討伐までの経緯けいいをルーリアが説明し続けていた。


 衝撃波によって壊滅したことと、光になぎ払われてほぼ全滅したことをを簡潔にのべていく。


 次にルーリアは、ミズキたちの活躍がなければ今回の大共闘は失敗していたことを説明していった。


「よって今回の最大功労者のミズキちゃんには、『自在砲剣の結晶核』を褒賞品として渡すわ!」


 そう宣言したあと、討伐はかろうじてできたが失敗したも同然だったと補足する。


 何よりこちらの被害が大きすぎ、装備などの補填を優先したため、報酬はわずかだということを申し訳なさそうに話していった。


「だからごめんなさい。ミズキちゃんの貢献度を考慮するとこうならざるを得なかったわ」


 ルーリアは面目がないと続ける。

 しかし。


「参加したからには覚悟の上だったさ」

「補填してもらえるだけでもありがたい」

「気にしないでくれ」


 周りからはそういった温かい言葉が投げかけられた。


 当然、大共闘は失敗することもあるが、損失分を補填してくれるとは限らないからだ。そのことを知る者たちから声は上がらない。


 ルーリアがミズキを呼び褒賞品を受け渡そうとするが、ミズキはそれを受け取りたがらなかった。


 協力して倒したというのに、自分だけがいいものを受け取ることへの抵抗感があったからだ。


 だがそれも、今回迷宮の主を討伐できたのはミズキのおかげだと、そうルーリアに説得されれば長くは続かなかい。


 共闘で得られた利益は、活躍した者に多く分配されなければ不満が出てしまう。


 なにより働きに差がある場合に配分が同じでは、能力のあるものがやる気をなくしてしまい本末転倒だ。


 ルーリアの説得に折れたミズキが受け取ると再び喝采が上がった。


 ミズキは手元の結晶をじっと見つめている。それは青くきらめく多面形の結晶だ。ミズキにはこれがどれほどの価値があるかわからない。


 ふと、つぶやくようにしてミズキが言葉を発した。


「ルーリアさん。これはもうボクの持ちものなんですよね?」

「ええ、そうね」


 突然の言葉にルーリアは少しつまりながら答えた。

 ジャラックはミズキが何をしようとしているのかわかっているらしく、にやにやと笑っていたような気がした。


 いまだ周囲の注目が集まるなか、ミズキが『自在砲剣の結晶核』を掲げる。


「ボクは宣言します! この、ええと……結晶! 結晶の利益を、今、ここに居る人たち全員に分配します!」

「ちょ、ちょっとミズキちゃん!?」

「これはボクの財産です、それをどうするかはボクの自由のはずです! この素材を得るにはジャラックさんの助けがなければ無理だったと、ボクは声を大にして伝えたいです! もちろん皆さんとの協力も不可欠でした! だからボクは皆さんへのお礼も含めて分配したいです! そして方法はルーリアさんにお任せします!」


 言い終わったミズキがルーリアに『自在砲剣の結晶核』を渡すと、先ほどを越える喝采が響き渡った。


 ジャラックが苦笑しつつルーリアのもとへ近づき話しかける。


「こうなるだろうとは思っていましたが、見事に当たってしまいましたねぇ」

「はぁ、みんな喜んでいるしいいってことなのかしら……」


 熱狂冷めやらぬなか、ルーリアがあきらめたようにつぶやいた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もし、面白いと思いましたらクリックしてくださると作者が喜びます。一日一回だけ投票できます。
小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ