55話 極なる青光
六角状の部位の多くが割れ、轟音と共に落下し続けている。周りでは少ないながらも喝采が上がり、勝利を喜んでいた。
崩壊は終局を向かえ、六角状の部位をほとんど失った柱が落下し始めた。重く硬いものがぶつかる音を何度も響かせている。
ミズキにも青い光が小さくなっていくのが見えていた。
刹那――
ミズキの見える青い輝きが、凄まじいほどの明るさとなった。先ほどのものよりも数段明るく、なおも輝きが増していく。
「ルーリアさん! まだ終わりじゃないです!」
柱の落下は止まっていた。
否、柱は伸びていたのだ。
幾分細くなった柱は切れ目の入った棒のようにも見える。
その下部が発光した。
あの凄まじい熱量を誇る極大の青光が、床へと撃ち出される。柱が曲がり、光が周囲をなぎ払った。
驚き固まる者らが飲み込まれ瞬時に消え去ってしまう。
床が、壁が、溶かされたのか、あるいは蒸発したのか、黒く焦げた谷のように断裂していた。
光の筋は回るようにしてミズキの居る場所にも襲いかかる。
「ちょっと、嘘でしょ!?」
ルーリアは咄嗟に風を使いミズキを突き飛ばしていた。自身の回避は間に合わず光に飲み込まれてしまう。
「ルーリアさん!?」
すでにルーリアの姿はなく、黒くなぎ払われた跡だけが残っていた。
「ミズキ、まずは避けるんです!」
ジャラックの警告によりミズキは我に返る。『自在砲剣』を見れば全てを飲み込む光の刃が迫っていた。
横に飛ぶようにしてかろうじて回避する。光は振るわれ続け、あらゆる方向から襲いかかった。
「チィィ! こいつはもう駄目だな! 俺が引きつけるからあんたらだけでも逃げてくれ!」
ミズキたち二人のほかに唯一残っていたペルナキアが叫ぶ。回避したあと跳躍したペルナキアが槍を力の限りに投擲する。
槍はうなりを上げその表面に突き刺さったが、効果を上げた様子はなかった。
「やっぱそんな上手くはいかないわな!」
ペルナキアは打つ手なしとばかりに回避していたが、ついに光に飲み込まれてしまう。
「ペルナキアさん!?」
「ミズキ、とにかく入り口まで逃げますよ!」
「でもみんなが頑張ってたのに……!」
「こればかりは仕方がありません!」
「それでも、なんとかしたいんです!」
尚も振るわれ続けた光がジャラックをかすめた。持っていた片手剣がその半ばから消失し、使いものにならなくなった片手剣が放り投げられた。
「ですが攻撃する方法はもうありませんよ!」
ジャラックの言うとおり、下がってきているとは言っても『自在砲剣』までの高度は依然としてあった。
高所を攻撃できる者も居らず足場もない。全力で回避しながらミズキは必死で考えていた。
諦めたくない。まだ方法があるにはあるはずだと、カバンから『ばとるん一号を』取り出した。
「ボクにはまだこれがあります! タイミングは……ッ! 難しいですけど、あの光の中に投げます!」
ミズキはあえて光の中に投げ込むことを考えた。防御の厚い外よりも内側のほうが有効だと思ったからだ。
「こんのおおおおおお!!」
下部がこちらを向き始めたときを見計らい、一号を思い切り投擲した。タイミング良く光を放つ下部へと吸い込まれたがそれだけだった。
ミズキがバランスを崩して転倒し、壊滅的な光が目の前へ迫った。
「ミズキ!」
ジャラックが咄嗟に大盾を取り出し、極熱の青光からミズキをかばう。光が通り過ぎたあと、かろうじてだが二人の無事な姿があった。
しかし、その代償に大盾は原型を留めないほどに融解してしまっていた。ジャラックは大盾を放り投げるとミズキを抱え、入り口へと走りだす。
後ろから迫る光を横へ大きく跳んで避け、ミズキを入り口へと投げ入れた。真横からなぎ払われる光を前方へ跳ぶようにして回避する。
間一髪、ミズキの居る入り口通路へと滑り込むことができた。
「ジャラックさん、大丈夫ですか!?」
「なんとか無事ですよ。盾はおしゃかになってしまいましたが、っと話はあとです! 走りますよ!」
通路の奥へ走りだした瞬間、もと居た場所が光に飲み込まれた。ミズキたちは必死に通路の奥へと逃げ込んだ。
ようやく追撃されない位置まで逃げ込んだ二人はどちらもボロボロだ。特にジャラックは服の多くが焦げ、足の辺りがことさらにひどかった。




