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49話 下に向かおう


 さらにかなりの時間がたったころに、ジャラックたちが起きるとミズキがカバンから食料を取り出していく。今回はパイに包まれたひき肉料理だ。


 焼きたてでサクサクしているそれらを配ればやはり好評だった。再開した探索も極めて順調だったが、ふとしたルーリアが立ち止まった。


「少し待ってちょうだい。今ほかのところと会話してるから」


 目をつむり無言になることしばし、ルーリアの周りには風が吹いている。やがて風が収まると目を開いた。


「終わったわ」

「どうでしたか団長?」

かんばしくないわね。ただ下に向かう通路は見つけたらしいからそこへ向かいましょう」


 アルクの問いかけに応じると今後の方針を決める。しかし、ミズキがルーリアにそれならばと尋ねた。


「下に向かうのでしたら穴、開けちゃいましょうか?」

「ミズキ、現在位置がわからなくなったらどうするんですか」

「あ、そっか……」


 ジャラックが懸念を指摘するとしゅんとしてしまう。


「一体なんの話をしているの?」


 ルーリアは何のことかわからなかった。


「ミズキが下の階にショートカットしたいと言うので、今下にりたら地図もありませんし、位置がわからなくなるという話をしています」

「そもそも下にいくということがわからないわ」


 ジャラックが説明するもルーリアは要領を得ないとぼやく。


「普通はそうですよねぇ。以前ミズキが床に穴を開けて迷宮探索を短縮したことがあったのです」


 ミズキが腰に手を当て胸を張っているのを、ジャラックはチラッと見るが気にせず説明を続ける。


「あの時は詳細な地図がありましたので階を移動しても大丈夫だったのですよ」

「位置なら〈風の知らせ〉でわかるわよ?」

「おや、そうなのですか」

「複数のグループにかけてあるから、ほかのグループとの位置関係でわかるはずよ」


 ルーリアが問題はないと保障した。


「なるほど。そういう使い方もあるのですね。ではどうしますか?」

「良くわからないけどやっちゃっていいわよ!」

「わかりました! うりゃああ!」


 ミズキが待ってましたと言わんばかりに振りかぶり、長柄戦斧の切っ先を床へと叩きつけた。


 床への直接的な衝撃が加わると同時、『ばとるん二号改』の機能により床から返ってきた衝撃が跳ね返された。


 途方もない力が加わり、床が粉砕され粉塵ふんじんが舞い上がる。文字どおり大穴が開き、ミズキたちは瓦礫がれきと共に下の階へと落ちていった。


「あいたた、それにしても信じられない威力ね……」

「やっべぇな……」

「びっくりしたぁ」


 ルーリア、ペルナキア、アルクと驚くなか、頭上からカレヒスが飛び降りてきた。


「あっはっは、ほんとびっくりだよねぇ」

「ミズキ、前より威力が上がっていませんか?」

「リティス様が強化したんです!」


 ジャラックが尋ねるとミズキが元気よく答えた。粉塵が晴れ、気を取り直して探索を再開。とはならずミズキが別の場所でもう一度大穴を開けた。


 何回か繰り返すと床が粉砕されるだけで穴が開くことがなくなった。


「あれ、できませんね?」

「恐らく最下層に達したのだと思いますよ」

「なるほど!」


 ジャラックの説明にミズキはなるほどと手を打った。今度こそ探索を再開し、分岐路を曲がった先にある長い通路へと差しかかる。


 通路の先に出口なのか光が差し込んでいた。到着するとそこは、巨大な円柱の形をした空間への入り口だった。


「まさか……」

「この部屋の大きさ。恐らく迷宮の主の部屋でしょう」


 ルーリアが驚く横でジャラックが推測していた。


「じゃあ、あとはほかの奴らに知らせればいいんじゃねぇの?」


 探していた部屋が見つかりペルナキアがそう提案する。


「団長、僕たちの位置はどうなっているんですか?」

「ほかのグループとは大分離れているから集合するのにかなり時間が掛かるわ」


 アルクの確認にルーリアが答えた。


「さっきの縦穴に案内したほうが早いかもね~。まぁ、ほかのところの位置なんか知らないけど」


 カレヒスが投げやりに言ったがその案が採用され、早速といったルーリアが目を閉じて連絡を取り始めた。


「とりあえずは休憩できる場所を探しませんか? ミズキも限界のようですし」


 ルーリアの周りに風が吹き始めてすぐだったが、ジャラックがそう提案した。その横ではミズキがすでに船をぎ始めていたからだ。


「それもそうね。集合までには時間が掛かるしゆっくりしていましょう」


 ほかのグループとのやり取りを終えたルーリアが目を開き同意する。


 探索を再開し、しばらく進み続けるも魔物とは一度も遭遇することはなかった。どうやらこの階層には魔物が居ないようだった。


 進んだ先にちょうどいい小部屋を見つけ、すぐに野営の準備をする。


 ミズキが寝てしまう前に急いで食事を取り、ルーリアたちはなんとかご馳走ちそうにありつくことができた。


 なんでもいいので暖かいものがいいとの要望から、今回も串焼きだった。


「ありがとね。掛かった金額を教えてくれればあとで別途に分配するから教えてね」

「わかりました。おやすみなさいです」


 天幕の中へミズキの姿が消え、物音がしなくなったのですぐに寝てしまったようだった。


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