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45話 思いは風と共に!?


 アラムと別れたミズキたちはルーリアに連れられ草原へと来ていた。


 どこまでも広がる、一面全てが緑の丘陵きゅうりょう地帯だ。そんな草原のなか、発見された迷宮を目指している。


 ミズキたち一行は六人に増えていた。ジャラックとルーリアとアルク、それにアルクと親しいペルナキアとカレヒスを加えた六人だ。


 ペルナキアとカレヒスはアルクと親しいこともあってか、自己紹介のときにジャラックを忌避きひすることはなく、そのことにミズキは安堵あんどしていた。


「ミズキちゃん、さっきはほんっとにごめんね! 急ぎすぎた私のミスで嫌な思いしちゃったよね」


 ルーリアが手を合わせ謝罪をしていた。


「別に気にしてないので大丈夫ですよ。ルーリアさんは悪くないですから!」

「ああ、かわいい! じゃなくてそう言ってもらえると助かるわ。良かったらちょっとでてもいいかな?」

「え、それはちょっと……」

「そっか……そうよね、嫌よね……」


 断られたルーリアがこの世の終わりとばかりにどんよりし、その目から光が失われた。


「い、いえ! 大丈夫です、構いませんよ!」


 ミズキが慌てて撤回てっかいした瞬間、ルーリアの目に光が戻るとミズキへ抱きつきその頭をで回した。


 息遣いも荒く、欲望が解放された姿からは凛々(りり)しい雰囲気などすでに吹き飛んでいる。


 ミズキは驚愕きょうがくしながらもされるがままとなっていた。しばらくしてから解放されるが、満足そうなルーリアに比べミズキはぐったりとしていた。


「団長~、そろそろ進まないと置いてかれるよ~」


 カレヒスが他人事ひとごとにように遅れを指摘する。


「あらいけない、早く進みましょう。といってもこの草原には強力な魔物も居ないし大丈夫だとは思うけどね」


 そういって移動を再開するが、特段急ぐこともなかった。


「そもそも主催者がほっぽってていいんかねぇ?」


 両手を頭の後ろに回して歩くペルナキアがぼやく。


「案内はほかの結盟の子に任せてるし問題ないわ。ミズキちゃんが向こうに居られるのなら早く合流するけど難しそうだしね」


 ミズキたちは多くが先行しているなか、少し遅れるようにして進んでいた。


 先ほどのジャラックの一件があり、ミズキがほかの者たちとあまり一緒に居たくなかったからだ。


「まぁ難しいですよね。僕もこっちのほうが居心地がいいので構わないですけど」

「アルクもあまり良く思われてないからねぇ。……こんなにかわいいのに」


 そう言って、アルクをじっと見るルーリアの目は少々危うい。


「やめてくださいよ団長」


 熱のある視線にアルクが一歩あとずさった。


「ふふ、冗談よ。ここでは我慢しておくわ」

「ずっと我慢していてくださいよ……」

「無理ね」


 あきれたアルクがため息をつく。


「それで野営はどうするんですか」

「野営は合流してからにするわ。交代で見張りを立てる必要があるしね」


 夜になったあともしばらく進んでいたが、今は野営の準備をしていた。一度別れたルーリアたちは、結盟での確認を終えたあと戻ってくる予定だ。


 そのあいだにミズキとジャラックが天幕を取り出し組み立てていた。


   *


 全体の調整を行うために残ったルーリアに先んじ、アルクたち三人がミズキたちの居る野営地へと向かっていた。


 ペルナキアが声を潜めながらアルクに話しかける。


「あの白い子と一緒になれるとか最高かよ。いや、今は黒か。しかしよく巡り合わせたな」

「それは僕がカボチャの人を団長に推薦したからなのかな? うちの団長なら僕がこんなだし、見た目に関しては忌避がないから」

「でかしたぞアルク!」

「うんうん、これを機になんとかお近づきになりたいよね~」


 ペルナキアが賞賛するとカレヒスもそれに続いた。


「それに僕の知り合いなら問題ないだろうって団長が割り振ってくれたんだ」

「どこまで完璧なんだアルク!」

「いいよいいよ。ほら、早速会話のきっかけを作ってきてよ」

「わ、わかったよ」


 アルクはカレヒスに背中を押され、ミズキたちの野営地へと足を踏み入れた。


「ミズキ、ちゃんだっけ。ちょっと質問とかしても大丈夫かな?」

「ジャラックさんを推薦してくれた人ですよね! 構いませんよ、なんでも聞いてください!」

「なんでも!? 下着の色って何色なの!?」


 カレヒスが突如割り込んだ。


「白です!」

「お、ま、え、はああああ! なに聞いちゃってんの!?」


 ペルナキアがカレヒスの首を絞めて黙らせた。


「ジャラックさんにも選ぶのを手伝ってもらいました!」

「ミズキ、誤解を招く発言はやめましょう」


 三人が寄り合いひそひそと話し始める。ペルナキアは小声ながらも驚きを隠せていない。


「手伝ってもらったってどういうことだ!?」

「僕はただ言い間違えただけだと思うんだけど……」

「白かぁ。真っ黒な服の下は白か黒か、はたまた可愛い系か予想してたけど、白かぁ」

「おまえちょっと黙ってろ」


 カレヒスの懲りない発言にペルナキアが再度止めにかかる。アルクが向き直り気を取り直して別の質問をした。


「ん、んん! 〈最強〉とはどういった関係なのかな?」

「えっと、アラムさんですよね? ボクが鉱石を採取してるときに手伝ってくれたんです。すごいんですよ! こう、バンバン壁を撃ったらあっという間に採れたんです!」

「ぶ、物騒だね……」


 ミズキの説明で、アラムが射杖を使ったことがわかりアルクが青ざめる。


「あの、ボクもずっと気になってたんですけど……アルクさんにお願いがあるんですけどいいですか……?」


 そう申し訳なさそうに、ミズキはもじもじとしながらアルクの返事を待つ。


「できる範囲ならいいよ」

「その……触ってみてもいいですか……?」

「ああ、僕の毛が気になるんだね? 別に触ってみてもいいよ」

「ありがとうございます!」


 ミズキがアルクの胸に飛びつき、その毛皮に幸せそうに頬ずりする。


「ふわぁ……すごいふわふわです! ふわふわしてます! ふわっふわです!」


 よく手入れされた毛並みは綺麗きれいにしているからか、天日に干した布団のような匂いがした。


 そんな暖かい毛皮に包まれたミズキの顔はふにゃふにゃになっている。


「ずっとこうしていたいです……」


 しばらくして戻ってきたルーリアが見たのは信じられない光景であった。


 ルーリアの目の前には可愛かわいらしいアルクともっと可愛らしいミズキが一緒になって丸くなっていた。


 二人が可愛すぎる光景のためか、感情のままに発動した風の魔法によって、ルーリアの思考があらしの如くぶちまけられている――


 可愛いアルクともっと可愛いミズキちゃんが合わさってダブル可愛いというよりもむしろ足し算ではなく可愛いと可愛いが掛け合わさって指数的なあれで最強に可愛い尊い可愛いもう私が可愛いものを可愛がっているから可愛いの神様が可愛がるようにと私の為にこんな可愛いものをくださったのだろうかそれ以外にありえないああなんて尊み二人とも可愛いくてしかたない本当に神様ありがとう――


 などという思考が直接頭の中に響いてきた。そしてルーリアが幸せいっぱいのだらけ切った顔で鼻息荒く跳び出してくる。


「かわいぃぃいいいぃいいい!!」


 とどろき渡る歓声に、ミズキとアルクは身の危険を感じ反射的に逃げ出そうとしたが、神(がか)り的なルーリアの動きはミズキたちの反応速度を軽く上回った。


「ぎゃぁああああああああ!」

「あー」

「可愛い! 可愛い! くぁわあいいいい!!」


 二人まとめて抱き締め悦に入るルーリアの目が据わっていて怖い。カレヒスとペルナキアは慣れた様子で関わろうともしない。


 可愛いを連呼しほおずりをし続けるルーリアをミズキとアルクは二人がかりでどうにか引きがしいましめから抜け出した。


 しかし、いろいろとねじの外れたルーリアはまだ全く二人をあきらめる気配がない。


「うへへへへへえへへへッ……!」


 恍惚こうこつとした表情でにじり寄るルーリアから二人はじりじりと距離を取る。背中を見せては駄目だと直感が告げていた。


 しかし逃げ出したい思いをこらえきれずアルクが振り向き走り出した。そのアルクの前にルーリアが現れあっさりと捕まってしまう。


 逃げ出したアルクをおとりにする気で、ミズキは反対方向へ逃げ出していたがその前にもルーリアが居た。


「うぎゃあああああ! なんでぇぇぇ!?」


 結局ミズキもアルクも再び捕まり、滅茶苦茶めちゃくちゃ頬ずりされた。そしてルーリアにとって至福しふくの時間が過ぎていった。


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