あとがき 感謝を込めて
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
第一部『少女になった元警察官は、誰かを救い、自分も救われる。』
第二部『元警察官は女子中学生になる』
本作は、この第二部をもって完結となります。
現時点では続編の予定はありません。
ただ、もし朱音のように「発作」が起きてしまったら、その時は番外編という形で、またどこかで会えるかもしれません。
完結にあたり、これまであまり語ってこなかった執筆のきっかけや、キャラクターたちへの思いを少しだけ綴らせてください。
■ 執筆のきっかけ 法学と事件の「裏側」
もともと私は大学の法学部で刑法を学び、ゼミでは事件の判例を深く調べていました。不能犯の成否や既遂時期など、一つひとつの論点を追っていく中で強く感じたのは、「事件の裏側には、法だけでは割り切れない事情や感情が渦巻いている」ということでした。
被疑者の背景にある物語。
被害者の消えない傷。
そのどちらにも目を向けた物語を書きたいと思ったことが、本作の原点です。
■ 朱音という主人公について
キャラクターを作る上で大きな影響を受けたのは、大好きな小説『本好きの下剋上』です。全巻、何度も読み返しています。
大きな魔力を持ちながらも身体は弱く、目的に向かって一直線に突き進んでしまう主人公。その魅力を、自分なりに「元警察官の正義感」と掛け合わせ、さらにもう一つの歪さと切実さを加えるために、TSという要素を組み込みました。
その結果として生まれたのが、病弱で、危うくて、それでも誰かを放っておけない田中朱音です。
作者としても本当に手を焼かされる主人公でしたが、最後までこの子らしく走り切ってくれたと思っています。
■ 一番心に残っている場面
日常の尊い場面や、朱音の論理が冴える場面も好きですが、やはり一番心を動かされながら書いたのは、白川管理官との対峙でした。
朱音の孤独な奮闘が認められ、国家という巨大な組織が、たった一人の少女のために本気で動き出す。
大宮駅からの緊迫した流れと、最後の敬礼。あの一連の場面は、作者である私自身が一番感動しながら書いた場面かもしれません。
■ キャラクターたちへ
美桜へ。
最後まで朱音を支えてくれてありがとう。まっすぐで、一途で、でもほんの少しだけ怖い、最高の相棒でした。あなたがいなければ、この物語はここまで辿り着けなかったと思います。
ゆかり姉へ。
第二部では出番が少なめでしたが、実はとてもお気に入りのキャラクターです。短編も含めて、読者の皆さまに強烈なトラウマを残した人物でもありました。これからは穏やかな日々を送ってほしいと願っています。
田中朱音へ。
君の、自分を顧みない正義感には、作者として本当に何度も振り回されました。ここは通報して終わらせたいという朱音の現実感と、でも物語としてはそれでは終われないという作者の思惑。そのせめぎ合いの中で、君をどう動かすかを考え続ける時間は、とても苦しく、同時にとても楽しかったです。本当にお疲れさま。これからは、自分の身を守ることも覚えてほしいです。
■ 執筆について思うこと
初めての執筆活動でしたが、これほど多くの方に読んでいただけるとは思ってもいませんでした。
応援コメント、レビュー、フォロー、そしてXでの交流。
その一つひとつが、執筆を続ける力になりました。書いている途中で迷った時も、苦しくなった時も、読者の皆さまの言葉に何度も背中を押していただきました。
本当に感謝しています。
今後は、いったんカクヨムで一人の読み専に戻り、皆さまの作品を楽しませていただく予定です。
もしまた何かを書きたくなった時には、その時は別の世界で会えたらと思います。
田中朱音の物語を見届けてくださり、本当に、本当にありがとうございました。
2026年5月30日
著者:電柱になりたい




