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一
入部して初の天体観測の日。準備をしている先輩の背中を、屋上に一つだけあるベンチに座り眺めていた。
「そういえば、テル君のそれすごい古そうだよね」
「・・・そうですね」
俺はそう言い、先輩の反応を横目に少し伺った。
先輩は天体観測の準備の手を止めた。
「何か思い出があるのかな?」
先輩はスカートの汚れを払う。
「・・・どうでしょうね」
俺がそう答えると、先輩は不満そうに、けれど子どもが悪知恵を働かせようとするときみたいに笑い、ベンチに腰を下ろしニヤニヤしていた。
目を合わせるのを妙に避けたくなり、目をそらして自分の手の中にある星形の絵が彫られた円形のストラップを眺めていた。




