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40.これから本気

あらすじ

愛菜に相談した。

「おはよ、涼」


「ああ、おはよう。ハル」


 日曜も明けて、ハルは大学でいつも通り涼に会う。いつもと違うことと言えば……


「…な、なんか、ハル? 少し近くないか?」


「え、そうかな? いつもこのくらいだよ?」


 そう、いつもよりハルが座る位置が涼にいくらか近い。肩が少し触れ合う程度の距離感だ。


 ハルは先日の愛菜の相談から、若干自分の気持ちに踏ん切りをつけていた。


 今までは『元男』というレッテルやそれに対して涼はどう思っているのかなどを気にしていたし、男の自分が男を……なんていう考えに囚われていた。しかし、触れられたいのは男なの?女なの?と聞かれた時に確かに思った。涼だけに触ってほしいと。そんな想いにたどり着いた上で、愛菜はそんなハルを認めてくれて、それを笑う奴がいれば私が守るとまで言ってくれた。


 そこまで言われたら、もう自分の気持ちと向き合わないわけにはいかなかった。もうこの際涼が好きなのかとかいう気持ちは脇に置いておく。涼を見て自分がどう感じるのか、それだけを素直に見つめることにしたのだ。


 ま、その結果としては…うん、なんか、すっごい涼がカッコよく見える。フィルターでもかかってんのかってくらい。良く今まで誤魔化してたなって思えるくらい自分が涼に恋してることに気付いた。実に今更である。


 未だにこの距離感の正体が掴めない涼は頭上に疑問符をいくつも浮かべているようななんとも複雑な表情をしていた。そんな表情もなんだか可愛くて、ハルはクスクスと笑った。


 もう決めた。何時ぞやに「ハルちゃんの魅力で籠絡させてあげよう」なんて言ったが、あの時はほとんど冗談だった。ただ、今からは違う。本気だ。覚悟してよね? 涼くん?


 そんな風に不敵な笑みをこぼすハルに、涼は悪寒を感じたのか、体をブルッと震わせていた。



「あ、おはようハルちゃん!」



 そんな声がかけられてふと振り返ると、同じ学科の人だった。まあ、挨拶はいつもされるし別に不思議なことじゃない。ただ、こっちは涼のことで頭いっぱいになってるんだから、あんま不粋なことはしないでほしい。


「ああ、うん、おはよ」


 だいぶ素っ気なくなってしまった。気持ち表に出すぎじゃない? 大丈夫私?


「ハルちゃんは今日も可愛いね、今日も一日頑張ろうね」


 その人は笑顔で私に言いかけてくる。……うん、この人に可愛いとか言われてもなんにも響かんわ。一つも嬉しくない。ていうか、なんなら言わないで欲しかった………


「あ、うん、ありがとう。お互い頑張ろうね」


 とりあえず適当に返事をしてみると、その人は嬉しそうにしながら軽い足取りでその場を去っていった。


 思わず、「はぁ」とため息をつくと、


「ハルはやっぱモテるんだな。あいつすごい嬉しそうだったぞ」


 そんな風に言う。本当にモテたいのも可愛いって言われたいのもお前一人なんだぞと声を大にして言いたい。言わないけど。


「いや、うん。あんま嬉しくないけどね」


 誠にげんなりした様子でそう呟くハルを見て、少し眉を下げながら涼はハルに尋ねた。


「やっぱ、男は無理なのか?」


「男……っていうか…ほら…」


 「涼…しか…」とボソボソと小さく呟く。それは流石に聞こえなかったのか、涼が不思議そうな顔をして「なんて?」と言いながら顔を覗き込んでくる。


「い、いや! 全然、なんでも……」


 わたわたしながら涼から離れるハル。ふと、涼は私のことを可愛いと思ってくれているのか気になった。いつもからかって聞いているばかりだったからちゃんと聞いたことはないような気がする。


 涼をじっと見つめてみると、涼も見つめ返してきた。なんだか居た堪れなくなってプイッと顔を逸らす。なんだか顔が熱い気がする……


「おはよう、ハル、涼」


「う、わ!? あ、お、おはよ…」


「ん、おはよう、優也」


 珍しく少し遅れてきた優也が挨拶をしてきた。状況が状況だったため、なんだかオーバーなリアクションをしてしまった。すると、そんなハルを見て呆れたように優也は言った。


「なに、朝っぱらからまた喧嘩してるわけ? 好きだねー、喧嘩するほど仲が良いなんていうけどさ」


「べ、別に喧嘩なんかしてないよ! ちょっと、ほら、別になんでもないから!」


 顔を真っ赤にして否定するハルを見て、一瞬思案顔をした優也は、すぐに「ああ」と言っていつものニヤケ顔を作った。


「そうかそうか、ようやくハルも涼が好―――」


「おおおおい!? お前それ以上言ったらマジで○すかんな!? 末代まで呪って優也の来世も地獄にしてやる!!」


 本当に、人の気持ちを察するのが早いやつはこれだから困る。大体なんでそんな簡単に分かるんだ。そりゃ、顔には出やすいかもしれないけどさ…


「ふむ、ハルにもついにそんな顔が―――」


「お前、ほんとにつぶすよ?」


「すいませんでした」


 平謝りである。実に90度。ここまで潔いと逆に怒るに怒れない。「ぐぐぐ…」と歯を軋ませながら行き場のない拳を震わせるハル。すると、涼が笑いながら口を挟んできた。


「まあまあ、お前ら、喧嘩すんのもその辺にしとけ」


 その時、私と優也は多分同じことを思っていた。




「「お前が言うなよ……」」

これからハルと涼をくっつけるまでの秒読みを開始します………ようやく………ようやくイチャイチャさせられる………泣きそう………


悪魔TSのほうもよろしくお願いします! 更新遅め進行遅めですが、お付き合いいただけると嬉しいです!


感想もお願いします! ぜひともお聞かせくださいいい

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