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13.今の関係

あらすじ

同じ学科の男子を虜にした。

そんなつもりはない。

 講義室の喧騒を抜け出したハル達は、ひとまず昼食を摂ろうということで意見が一致した。

 ガイダンスは一コマ分しかやらないので、午前中には終了する。あとは各自解散するため、まだ時間的には正午を回っていなかった。


「ひとまず、飯はどうする?食堂か?」


 と、優也が切り出す。優也は積極的に意見を出してリードしてくれるので、正直次何するかを決めることは苦労しない。こうやってリードできるのなら、彼女が出来ればベタ惚れされるだろうに…。残念なイケメンっていうのはやはりいるものだな、とハルはしみじみ思った。

 しかし食堂か…。SNSのこともあり、はやくこのキャンパスから抜け出したい。どこで誰がみているかもわからないし、食堂に行けば騒ぎになることがなんとなく予想がついたからだ。

 このSNSで俺のことを知った人間は、俺が『男だった』ことを知らない。正直、『同性』を好きになるイメージが全く湧かないので、言い寄られても困る。


「それなんだけど、あまりここで食事を取るのは…今は嫌だな。近くのモールでも行こうよ。ちょうど欲しい小説もあるから。」


「ああー、それもそうか。じゃあそうしよう。」


 優也は、俺の考えを察して特に異を唱えず頷いてくれた。…ほんと、なんでこいつモテないのかな。


「あー…悪い!俺ちょっと理沙のとこ行かなきゃいけないから、ここで帰るな。」


 と、ここまで歩きながらスマホをいじっていた康平が気まずそうに切り出した。気まずそうとは言うが、実はいつものこと。理沙とは告白してきた後輩ちゃんで、康平の現彼女さん。ポニーテールで少し勝気な感じの可愛らしい女の子なのだが、なぜかこの猿にベタ惚れしている。スマホをいじっていたのは理沙からのお呼び出しがかかっているからだろう。

 事情も、理沙のこともよくわかっている三人なので、特にそのことで責めたり嫌味を言ったりはしない。…多少からかう程度で。


「おーおーお熱いですねぇ。りーたんから呼び出しですかぁ?どう思います優也さん?」


「ふむ、けしからん。」


 りーたんこと、理沙は、康平に自分のことをりーたんと呼ばせている。理沙はそう呼んでもらえないと拗ねるらしく、理沙に四人で会ったときに、康平が顔を真っ赤にしながら小声で「りーたん」と呼んだ時から俺たちの中でからかい言葉として定着した。なんとも悪趣味な話である。


「バッカお前やめろりーたん言うなぁ!」


 と、嫌々しながら頭を抱えてうずくまる康平。そしてそれを見下ろしながら手で口を押さえてニヨニヨする俺と優也。


「そこらへんにしてやれよお前ら。康平も、早く行ってやれよ。」


「おお、こんな時間か!じゃあまた明日な!」


 苦笑しながら、見かねた涼が康平に助け舟を出す。俺と優也は人をからかい始めると暴走するところがあるので、涼はその歯止め役だ。いつもご苦労。


「明日って言っても、明日講義入ってないから誰もこないぞ…」


 涼は呆れた顔で呟く。


「あいつは何しに来るんだろうな…」


「やっぱバカなんだな。」


 三人の意見はそこでも一致した。そして、顔を見合わせてくくっと笑い、キャンパスを後にした。


 やっぱり少しお腹空いたなぁ…あ!そういえば、あそこクレープ屋さんあったよね。にひひ、ちょっと楽しみかも…。


 だらしなく頬を緩めているハルを見て、心臓がドクンと跳ねた。しかし、それは顔に出さず隠すことにした。


 まさか…な。ないない。


 人知れず彼は動揺し、それを悟られないよう無表情を貫いて歩いた。

これからどんどんハルが可愛くなります。

その予定です。


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