変テコ生物、爆誕
<システムメッセージ>
<創造者:ギースに倒されました>
<SP没収:50>
そんな言葉が、無機質な声で俺の脳内に響き渡った。まじか!?いや無いほうがおかしいんだけどな・・・。つまりこれは<デスペナルティ>。死んだ代償に何かを失うみたいだ、プレイして間もなくこれはやっちまった感じがあるな・・・ガブの話だとSPってーのは通貨であり経験地でもあるって話だったな。ギースって奴に創られたシザースにやられちまったみたいだ、野郎待ってろよ!今すぐ近くにコア設置して奪い返してやるぅ!!そして俺の現状は今、無様に仰向けの状態で寝そべってる状態だ。体がだるいが起き上がるとしよう。しかしまぁ・・・。
「やっちまったなぁ・・・」「やっちゃったわ・・・」
不覚にもすぐ横に同じような体勢で寝そべっていた冒険者、エリーと声がハモる。俺の声に気づいたエリーは首をぐわっとこちらに向け、驚いたように喋る。
「えっ?なにアンタもやられたの?遠くで座ってるからアンタがギースなのかと思ったわ・・・。というか見てたなら手貸してよまったく」
不満げな顔をしながら立ち上がり文句を言い出すエリー。外見は黒髪ロングで布服に武器はメイス、顔は美人とかわいいの中間くらいで結構美形じゃねえかな。目がおっとりしてるから大人しい印象を受けるが先ほどの言葉遣いを聞く感じギャップがすげえわ。
「いや俺も武器無かったしな・・・あと面白そうだったから見てた」
「あたしはアンタを殴らないといけない気がするわ」
冗談なのか本気なのかメイスを握り締めるエリー。
「待て待て、つかスキル見た感じ<鑑定>で何してたんだよ?俺始めたばっかでちょっとそこらへん気になるんだよな」
「結構図太いわねアンタ。ま、別に隠そうとか思わないし教えてあげるわよ!あたしの友人が製作者で、その友人に渡すための毒持ってる草探してたって感じかしら」
「薬草探してたんじゃねえのかよ!」
完全に俺の予想を外してくるエリーだったがそうか。草にも色んな種類がありそうだな・・・こういうの聞いちゃうとあれなんだよな。使わないけどとりあえず1個取っておいて、全部倉庫に並べたいとかコレクター的欲求が生まれてくるんだよな、あるよなそういうの。・・・あるよな?
「あたしも始めたばっかだし詳しい事はわかんないけどね、薬草もあるんじゃないかしら?<鑑定*1>だとこれは食べられそうだ的な情報しか確認できないからぶっちゃけ感で集めていくしかないのよね。ただ雑草以外を手に入れるとSP増えるみたいだから結構楽しかったりするわよ。アイテム集めるの好きなのよねあたし。ちなみに毒草はメイスに毒塗りたかったから集めてたのよ、DOTダメージこそ最強だと思うわ」
やべえこいつ割とゲームやるタイプの女子だ。てか専門用語使ってる感じ結構廃人寄りか?顔可愛いのにさらにギャップが広がるぜ!DOTダメージっていうのは簡単に言うと継続ダメージだな。敵に毒を与えて時間と共に体力減少を狙うって感じだ、他のゲームだと呪いとか灼熱とか色々あるな。もちろんこの専門用語が分かる時点で俺もゲーム廃人に片足突っ込んでると思う。気にしたら負けだ!
「気合入ってるなお前・・・」
「フフフ・・・地獄の夏休み課題集を終わらせたあたしに待っているのはゲーム三昧よ・・・」
死んだような目でそう語るエリー。やばいな、シンパシーを感じちゃうぜ。
「というかSPで思い出したわ、ギースって奴に半分持ってかれちゃったみたいね・・・デスペナ結構きついわねこれ。ま、長話もこれくらいにしてあたしはさっさと行くわ。幸いアイテムは落としてないみたいだから武器に毒塗ってシザースぼこぼこにしてやるんだから!じゃ、この広い世界で再会するなんてあんま無いと思うけど次あったらよろしくね創造者くん!」
「知ってるか?それを人はフラグって言うんだぜ?」
「あっはっは!確かに!」
そう言って笑いながらエリーは走っていった。よろしくとはどっちの意味だろうと少し考えたがスルーしよう。さて今の俺の状況を整理するか。シザースに倒された俺は恐らく復活したんだろうな。現在位置はチュートリアル後に飛ばされた場所とまったく同じ場所、女神像が佇んでる噴水広場だ。ここが死に戻りポイントって所なんだろうな。俺や、エリー以外にも死に戻りしてる連中は多いみたいだ。光の粒子が集まっていき急にプレイヤーが仰向けの状態で出現した。ちょっとびっくりしたぞおい。
さて、これからどうするかっつってもまあ・・・決まってるよなぁ!?
「野郎ぶっ殺してやるゥ!!」
俺はそう叫びながら南門でダッシュしていった。
場面は変わり再び南門から出た後の右の道の道中だ。周りにもちらほらと冒険者が見えており、相変わらず草拾ってる奴が多い。木切ってる奴も居るな・・・こっち側は戦闘するタイプの奴少ないのか?戦闘スキル持って無くても武器があればある程度戦えるみたいだが・・・。
色々考えてる内にもう少しでさっきの場所に到着するんだがどうしたもんかな、このまま行くとまたシザースに殺られるんじゃないかと思ってると、向こう側から歩いてくる二人組みが見えた。結構ボロボロで明らかに戦闘後って感じだ、すれ違ったついでにちょっとだけ話を盗み聞きしてみる。
「いやーまいったよ、あのカマキリ強いよね?」
「だよなぁ、俺達じゃちょっとまだ早かったか?昨日来た時は結構戦えたんだけどなぁ、創造者側も黙っちゃいねえってことだよな。また今度リベンジに来ようぜ」
「戦い始めてすぐ1人やられちゃったしね、近くに毛玉が居て助かったよね、あれ擦り付けれなかったら全滅してたと思うよ」
「創造者VS創造者ってか、正直観戦したいけど巻き込まれて死ぬのは勘弁だな。気持ち切り替えていくかぁ!さっさと死んだあいつ拾って次どこ行く?」
「掲示板見た感じ、一番人が多い北門の周辺が出るモンスター弱いらしいからそこでちょっと稼いでみようよ。貯めたらまたリベンジってことで」
「おっしゃぁ!それで決まりだな!あと連携とか・・・」
と、すれ違った際にぎりぎりまで聞こえたのがこの辺の会話だった。もうちょい詳しい事聞いてみたかったが早くダンジョンコア設置したいって欲求が勝って俺はそのまま道を歩き続けた。
さっきの話を聞いた感じだとやっぱシザースと戦ったみたいか。結果はぼろ負けって所か、まあ死んだ俺よりマシだけどな!あと毛玉みたいなモンスターも居るのか。創造者のダンジョンエリアが被ってるパターンか?手を組んでるようには聞いた感じだと無さそうだったな。創造者対創造者か、今まさに俺がやろうとしてることだな。俺の作ったモンスターでシザースを蹂躙するのが目標だ。っと、最後に後ろを振り返って微かに見える二人組みの情報を見てみよう。
<キャラクター情報>
名前:アレス
クラス:冒険者
職業:なし
<所持スキル>
<防御*1>
<キャラクター情報>
名前:虎丸
クラス:冒険者
職業:なし
<所持スキル>
<連続切り*1>
おぉ、明らかにパーティー前提のスキル構成ってことか?ちゃんとスキルが揃ってきたら手強そうだな。残りの1人はさしずめ支援スキルって所だろう、俺もああいう奴らとモンスターをぶつける事を想定しないといけないのか、やっぱ面白そうだ。
「っと、そろそろか。ここらへんだったよな」
結構歩いて先ほどシザースと戦闘した場所に到着した。ここらへんに設置しようと思うがさすがに道のど真ん中はまずいな、道から逸れようか。
そう思いながら、俺は道から南の方へと歩いていった。
「よし!ここに設置してみるぜ!わくわく」
道から外れて歩く事約10分、結構歩いたぞ。周り見た感じプレイヤーもモンスターも見かけなかった。その場所は林っていうよりもはや森だった、木と木の間に身長と同じぐらいの雑草が生えまくってる感じだ。コアを隠すには最高の場所じゃないか?
「えーっと、イベントリから選択っと・・・おぉ!」
持ち物メニューからダンジョンコアを選択すると、俺の右手に拳大のクリスタルが現れた。
「えーと設置するにはどうした良いんだ?とりあえず前に出して・・・おっ」
腕を前に出すと、メニュー画面が俺の視界に現れる。「設置しますか?」という簡素なメッセージが表示された。迷わず設置するという意識を念じると右手にあった拳大のクリスタルは砕け散り、破片が目の前の地面に集まりだした。そして一瞬目の前が強烈に光ると、俺の体格と同じぐらいのでけえクリスタルが存在していた。出現と同時に周りの物体をなぞってスキャン光みたいな光のラインが走っていく。これがダンジョンエリアの認識化を表現してるのか?まあいい。
「これがダンジョンコア・・・でけえなおい。しかも光るのかこれ」
そう、発光しているのである。淡い黄色の光を出しながらクリスタルはゆったりと少し浮遊しながら回転している。これ夜になると目立つな・・・遠目からだとたぶん大丈夫・・・か?
「これで設置はできたんだろうか・・・おっ、軽いなこれ」
少し触れると、重さを感じさせないようなレベルでクリスタル自身が動く。確か自分の手で場所の微調整とかできるんだっけか。
「色々できそうだな、また今度調べるとしてこのダンジョンコアメニューはっと・・・このアイコンか?」
明らかに設置した後増えたアイコンを選択してみると、ダンジョンコアの情報が開いた。
<コア情報>
所有者:ハジメ
MAXDP:100
DP:100
生成DP:1
登録モンスター
・なし
おぉ、これがメニューか。各項目がわかんねえから注視してみるとこんな感じらしい。
@MAXDP
最大ダンジョンポイント。保有するDPの限界値、これを超えて保有する事はできない。
@DP
ダンジョンポイント。モンスターに関するあらゆる事に発生するポイント、これを消費する事でモンスターの登録、強化、進化、またプレイヤースキルによる生成、強化などにも使用する。
@生成DP
1分間で生成されるDPの量。MAXDPに達していると生成されない。
@登録モンスター
保有しているモンスターの種別毎に登録される、現在の枠数1
こんな感じらしいな、必要最低限の機能の塊って感じだろうか。MAXDPが100って事は消費DPが101以上のモンスターは作れないってことなんだろうか?時間に応じて生成されるみたいだからできるだけ使い切ったほうが良いのはわかるな。無駄のない運営をって事なんだろう、マネージメントは面白そうだ。色々調べる事項があるがとりあえずだな・・・。
「どうやってモンスター作るんだ?」
俺がそう呟いた瞬間、クリスタルの正面にヘルプウィンドウが出てきた。親切だなおい。
<モンスター生成に関して>
モンスター生成は主に<スキル>を習得し、そのスキルを使用して作成して下さい。イメージができなくてもシステムが自動補正してくれるので、まずは<スキル>を習得してみましょう。もしくはダンジョン・コアに触れながらモンスター生成と同時にそれに見合ったスキルをシステムが自動習得してくれます。また、生物創造にはダンジョンポイントが必要になりますのでご注意下さい。
代表例
・モンスター創造
・生物製造
・悪魔生成
・生命付与
・意思付与
こんな感じみたいだ、基本的にスキル+ダンジョンコアの組み合わせで作っていくみたいだな。自由度高すぎないか?ぶっちゃけここらへんでもう作りたくて仕方が無かったんでさっそくダンジョンコアに触れながらモンスター生成と頭の中で喋ってみると音が響いてくる。
<システムメッセージ>
<生成するモンスターの容姿、特徴をイメージしてください>
俺の中に眠るイメージ力が今ここに爆発する。とりあえずでか過ぎるとコストが大きすぎて生成できなさそうだからシザースよりも少し小さめの大きさで、体格は恐竜がいいな。やっぱりザ・怪獣って感じがするしな!二足歩行・・・尻尾が長めで・・・顔はこんな感じ・・・。よっしゃあ!!これでどうだ!!
<イメージを認識、自動補正完了>
<スキルコスト:SP0>
<登録コスト:DP100>
<上記を同時実行します、よろしいですか?>
「もちろんイェスだ!!出て来い俺の怪獣ぅ!!!」
テンションが全開な俺はそう叫ぶ。そして目の前に光の粒子が集まり、1匹の生物がその姿を現す。
「・・・・・・がぁーっ」
その生き物は出現と同時に発声した。鳴いた!声が出せるのか!!やべえ感動す・・・る・・・ん?えっとまってちょっとおかしい。・・・再確認してみよう。
「顔の造形や体は恐竜そのものだな・・・ただし目が綺麗な丸目でアレだ、ぬいぐるみの目に使われるよくある黒ボタンそのもの。口の中は・・・歯がねえじゃねえかてか喉の奥が塞がってるわ、舌はあるけどな。あと手がねえよ手が!脚だけかよ!!尻尾は長いけどトサカが無くて綺麗な長い円錐状の物がぐねぐね動いてる感じ。体の色は淡いピンク色・・・鱗なくねこれ、お前すっべすべだなおい。」
そして、俺は総合的な評価を口にした。
「何だこの変テコな生物は・・・」
俺の想像していたカッチョいい恐竜怪獣じゃなく、何か変なの生まれたぞこれ。つまり俺のイメージ力があまりにも貧弱だってことかこれ泣くぞ?すぐ泣くぞ?今すぐ泣くぞ?キャンセルできないのか?そんな思いをあざ笑うかのように、システムメッセージが無慈悲にこう告げる。
<システムメッセージ>
<モンスター:[変テコな生物]が登録されました!>
<スキル自動習得:<変テコな生物創造*1>習得!>
「え、ちょまって、今の名前じゃないですシステムさん、あと別にこれに限定して作りたかったわけじゃないんですよスキル先生ぃ!!!」
「・・・・・・がぁーっ?」
変テコな生物は、のんびりと産声を上げた。
読みにくい書き方など御座いましたら教えていただけると助かります。




