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コア・オンライン  作者: marimo
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4/10

初陣

 

「がぁ~・・・」


 ここにおりまする生物は先程俺が創造したマイソウルモンスター、名前は[変テコな生物]。今はぼーっとしながら森の木々から見えている雲を見上げて座っている。え?名前どうしたんだって?システム先生が全てやったんです。俺が最初に喋ったのがまずいとかそういうことは断じてないぞくそぉ!!!


「ぐっ・・・・・・いや!まだだ・・・っ!」


 何かに気づいたハジメはおもむろにメニューを開きまくる。


「そうだ・・・はははっ!どうして気づかなかったんだ俺って奴ぁ!つまり!!容姿を犠牲にしてぇ!!!能力が強いパターンだろこれぇ!!!!そぉらメニュー回覧ん"!!」


 ヤケクソである。現実を見ないようにした俺はダンジョンコアメニューから、[変テコな生物]の項目を注視すると、情報が出てきた。


<創造モンスター情報>

 名称:変テコな生物

 種族:変テコな生物

 HP:3

 SP:1

 維持DP:1

 創造DP:1

 位階:1

<習得スキル>

 なし


「うわぁぁぁぁぁあぁあ!?」


 ずるりと体が崩れ、絶望する俺。絶対これ弱い、断言しよう。弱い。


「がぁ~」


 俺の叫び声を聞きつけ、のっそのっそとこちらへ歩いてくる変テコな生物。そして俺の顔に自分の頭をこすりつけてくる。なにこいつ可愛い、てか布団干した後の匂いがする。まじでぬいぐるみじゃないよなお前?てかあれ?強くなくても別によくね?可愛ければ正義じゃね?癒される~!


「ってちょっと待てぃ!!確かに!可愛いけどだめだぞだめだ!強さは必要だ!!」


「が~」


 復活した俺を見上げながら変テコな生物はわかっているのかいないのか、返事をしたかのように声を上げた。その目は太陽の光を反射して綺麗に光っている、くっそかわいいなこいつ。


「つか名前がちょいとなげえな、変更とかできないのか?」


 そう呟いた瞬間、ダンジョンコアからメニューが出てくる。


<種族:[変テコなモンスター]の名称を変更しますか?>


「お、できるのかよ。じゃあそうだな、お前の名前は今日から[ヘンテコ]な!」


 そう俺は変テコな生物、改めヘンテコに対して言い放つ。こういう元の名前を残すのは大事だと思うんだ、俺にネーミングセンスが無いとかじゃないよ?


<変更を受理、名称が変更されました>


「改めて、モンスター情報オープン!」


<創造モンスター情報>

 名称:ヘンテコ

 種族:変テコな生物

 HP:3

 SP:1

 維持DP:1

 創造DP:1

 位階:1

<習得スキル>

 なし


 本当に呼び方が変わっただけか、つか種族まじでそれでいくの俺?ここ拘ったほうがいいんじゃないか?でもかわいいからいいや。それよりこいつの事を知っていこうか。俺は各項目の説明を見ようと注視して、ウィンドウを表示する。


<各ステータス説明>

 @HP

 生命力、これが無くなると消滅する。

 @SP

 その生物が持っている魂力、ソウルポイント。略してSP、倒すとその数値分SPが手に入る。

 @維持DP

 その生物が生存するために必要なDP量。この数値分だけ最大DPが減少する。

 @創造DP

 その生物を創造する毎に消費するDP。

 @位階

 その生物の段階を表す。上がるほど能力は飛躍的に上昇する。

 @習得スキル

 その種族全てが習得しているスキル


 なるほど、色々分かるな。・・・ちょっと検証してみるか。


「スキル<変テコな生物創造*1>発動x9」


 俺がそう呟いた瞬間、目の前に大量の光の粒子が集まっていき、9匹のヘンテコが出現した。かわいい。


「がぁ~」「がぁ~」「がぁ~」「がぁ~」「がぁ~」「がぁ~」「がぁ~」「がぁ~」「がぁ~」「がぁーっ!」


 最後の泣き声は一番最初に創造したヘンテコである。仲間が増えて嬉しそうなヘンテコは鳴きあっている。ちょっとうるせえ。でもかわいい。そして各ステータスを再度確認してみよう。


<キャラクター情報>

 名前:ハジメ

 クラス:創造者

 職業:なし

 体力:10

 SP:50

 MAXDP:90[-10]

 DP:6

 生成DP:1

 登録モンスター

 ・変テコな生物(ヘンテコ)x10

<所持スキル>

 <変テコな生物創造*1>


 コアの情報がキャラクター情報に載ったな。こりゃいい、ウィンドウ開くのが1個減って見やすくなったわ。そして大体予想通りだな、現状はヘンテコが10体生存してるから維持DP1x10体で最大DP-10ってことなんだろうな。ヘンテコめっちゃ安いな、もっと作ってもいいか。今の俺が作れる最大ヘンテコ指数100って事なんだろう、何言ってるのかわかんなくなってきたがまあいい。これが意味する事ってのはつまり、単体で強力なモンスターを作りまくって無双するのができねえって事なんだと思う。雑魚モンスターの大群も制限があるってことなんだろうな。


「大体分かったな・・・あとは試すのが気が引けるが試さないといけねえ・・・」


 そう、後確かめるのは自分のモンスターを倒してSPを手に入れる事ができるかだ。このかわいいヘンテコを倒すのは忍びないが許せヘンテコよ。お前を見捨てたりはしない。あとついでにどれぐらいの攻撃でヘンテコは消滅するのかも確認しておきたいのもある。


「いくぞ、おりゃっ!!」


 とりあえず一番近くのヘンテコを思いっきり殴ってみた。大体2,3発で爆散するだろうと思ってたが甘かった。


 ブシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!


 ヘンテコの横っ腹を殴った結果、なんとヘンテコの腹が破けた。そう、文字通り破けた。破けた隙間から勢い良く大量の光のポリゴンが噴出し、そしてヘンテコは爆散した。殴った手ごたえで言うと、ベランダに干してあるタオルを殴った感触に非常に良く似ている。是非みんなも殴って確かめて欲しい、みんなってだれだよ。それよりも


「ぺらっぺらじゃねえかお前ら!!」


「がぁ~・・・」x9


「やめろ・・・そんな寂しい目をするんじゃない俺の心を抉るな」


<システムメッセージ>

<SP獲得:1>


 ヘンテコ達のつぶらな瞳に攻撃されながら、俺はメッセージを確認する。これを見る限り生成DP分だけSPに変換できるんだろう。ぶっちゃけ別のことして集めた方が早そうだ、エリーの話だと草集めるだけでSPは手に入るみたいだしな。しかしどうするか、まさかパンチ一撃だとは思わなかった。こりゃシザース所じゃねえな・・・ちょっと強化しねえとだめだ。別の生物創造しようにも今ヘンテコで埋まってて枠一杯なんだよな。


「登録枠の拡張って・・・どうすんだ・・・?」


 またもやヘルプウィンドウが出る。これとりあえず声に出してみるの重要だな。


<登録枠の拡張について>

 登録枠が一杯になりますと、それ以上の種類のモンスターを創造できなくなります。枠の拡張はプレイヤーが<スキル>を習得する事で増やす事ができます。

 代表例

 ・登録数増加

 ・登録枠拡大

 ・登録種増加


「これもスキルか・・・消費するコストだけでも見てみるか。えーっとスキル習得のアイコンは・・・これか」


 メニューからスキル習得のアイコンを選択すると、システムメッセージが流れる。


<習得するスキルをイメージして下さい>


「はいよ、<登録枠増加>っと・・・」


<スキルコスト:SP10000>


「たっけえなおい!!キャンセルキャンセル!!」


 まさかの5桁行くとは・・・それだけ強力ってことなんだろうか?ヘンテコの登録を削除するってのもありだろうが俺はそれはしないな。よくあるだろ?欲しいアイテム出るまでリセットしたりーって言うの。基本的に取得不可以外なら俺はリセットしない人間なんだ。むしろヘンテコを強くしていくのがロマン感じるぞ、最強にしてやる。・・・強化は後で考えるか、とりあえず戦闘してみよう。もう流れが掴めてきたぞ。ヘルプ先生、出番です。


「モンスターを戦わせるにはどうしたら良いんだ?」


 ダンジョンコアからヘルプウィンドウが出てくる。


<ダンジョン操作について>

 ダンジョンコアの影響範囲内に限り、プレイヤーはカメラウィンドウを使用する事ができます。このカメラウィンドウに映る景色は自身が創造したモンスターの後ろからモンスターを見たような視点となります。各モンスターに視点を切り替える事ができ、その視点を利用してモンスターに指示を出して行動して下さい。影響範囲から出るとカメラウィンドウは強制的に消滅します。


<モンスターへの指示について>

 基本的に声に出せば、自身がダンジョンエリア内に居る間は、モンスターへ声が基本的に届きます。どんな呟きでも声を出せば届くのでご活用下さい。


 2個もウィンドウ出てきたけどそうか、基本は遠隔操作なんだな。モンスターの後ろから回り見えるのは結構強そうだ、試しにやってみるか。カメラウィンドウのアイコンは・・・どこだ?


「ヘルプ先生、カメラウィンドウはどうやって出すんですかっ!」


<カメラウィンドウについて>

 ダンジョンエリア内のみ、マップ表示画面からウィンドウを呼び出す事ができます。また、ダンジョンエリア内に居る間は、その中に居る全ての生物がマップで表示されます。


 おいさらっと重要な事書いてあるじゃねえか、カメラはわかったけどこれ創造者はプレイヤーの位置とか把握できるのか?つまりシザースは俺の位置確認してスキル増やしたんじゃねえかなやっぱり。これだけ見ると創造者がかなり有利っぽいが何か理由があんのかな・・・。


「とりあえずマップ・・・っとおぉ、まじで見れる。カメラはこっち・・・おぉぉ!!9個のカメラが起動したぞ!そして全部のカメラが俺向いてるんだけどお前らこっちみんな!!」


 ヘンテコ達全員が俺の顔を見ていたらしい、映し出された9個のカメラが全部俺に向いてくる。自分の顔が9個も並ぶとさすがにきもいわ。それよりもマップを見るといくつかの点が見える、緑点が9個に、黄色の点が20数個と白く大きい矩形が一つ。照らし合わせてみると俺自身が黄色で、ヘンテコ達が緑、遠くの方で黄色い点が蠢いていて大きい矩形はダンジョンコアみたいだ。黄色はたぶんプレイヤーとモンスター含めてると予想しておこう。よし、準備は整った!!


「よっしゃいくぞぉヘンテコ共ぉ!!出陣じゃぁ!!」


「がぁ?」


「あれ・・・そうか、指示だっけか。えーとじゃぁ・・・」


 何を言ってるんだっていう目でヘンテコはだら~っと俺を見ている。これどれぐらい具体的な指示すりゃいいんだ?とりあえずマップに映っている1個の黄色い点を見ながら・・・


「じゃあ、『一番近い生物を襲え』」


「がぁぁぁぁ!!!」


 ヘンテコ達は嬉しそうな雄叫びを上げ、俺が見ていた黄色い点に向かい走り出した。・・・大丈夫か?効果音がぼっふんぼっふん鳴りそうな感じで若干跳ねながら走っていく。気にしたら負けか。ある程度具体的に言わなくてもシステムが補正してくれてるみたいだな、さてカメラを起動するぞ。











「ふぅ~、色々集まったなぁ!なぁにつくろっかな~♪」


 製作者のメルは友人の付き添いで最初の街の南西の森に来ていた。取り合えず適当に草を引っこ抜きながら、<鑑定*2>を掛けていき草を選別している。


「お、痺れ草!!武器に使ったら強そうじゃん!らっきぃっと、もうこんな時間か」


 メニューの時計を確認し、ここにきて大体1時間ほど採取していたメルはそろそろ引き返そうとしていた。ここは近くの街道から少し距離があり、木々の間の雑草は腰のあたりまで伸びている。これ以上深くなると製作者のメルでは出現するモンスターに対する手段が乏しいため危険なのだ。


「さーて戻るどー・・・・・・ん?」


 変な音が聞こえてくる。草の根を掻き分けてくる音だが所々にぼふんという音が混ざった奇妙な音だ。その方向に首を向けたメルはとっさに身構えた。


「きゃっ!?モンスター・・・しかも4匹!?」


 四方の草むらからそれぞれピンク色の、尻尾が特徴的な二足歩行のナニかがメルに襲い掛かってくる。


「ひぃっ!?」


 とっさに縮こまるメル、彼女は武器を持っていないため攻撃手段を持っていなかった。もう殺されるのを待つだけと覚悟したメルに4匹分のモンスターの突進が、小柄な少女メルを襲う!!


 ぽふっ!!ぽふっ!!ぽふっ!!ぽふっ!!


 ポップな軽快音を奏で、メルの体は衝撃とは程遠い、まるで風のような圧迫感を感じた。


「あれっ?この子達・・・襲ってこない・・・?」


(そうじゃねえよぉぉぉぉぉぉぉぉおおぉおおおぉ!!)


 何か魂の声が聞こえた気がしたがきっと気のせいだろう。


 メルが警戒を解きつつしっかりと目の前のピンク色の4匹を見つめだす。にも関わらず目の前の4匹は今もなお体をぶつけては引きぶつけては引きを繰り返している。


「良く見ると・・・か、かわいいぃ!!名前は・・・ヘンテコ?なにそれ!あっはっは!」


 黄色い声を上げながらモンスター:ヘンテコを抱きしめるメル。


「創造者は・・・ハジメさん?っていうんだ!今度探してみよっかな?ペット育成プレイでもしてるのかな、私もこんなの欲しいんだよなぁ!」


 どこかで心が砕ける音がしたような気がした。


 それから10分ほど、メルがヘンテコと遊んでいると茂みの奥からメルと同じぐらいの身長の少女がひょっこり顔を出した。


「あ、メル!アンタこんなとこに居たの!材料集まったからさっさと毒薬作ってよー!そして一緒にあの憎たらしいカマキリ狩りに行きましょう!」


「あ、エリー!見てみて!かわいくない?この子達!!」


「は?何言って・・・ってそれモンスターじゃない!?さっさと離れなさい!」


「え?でも襲ってこないんだよ?そしてかわいいよ?」


「いやいやそういうわけじゃ・・・ん?ヘンテコ?ハジメ・・・ってあいつじゃない!?あいつにそんな趣味が・・・いや、人の趣味をどうこう言うのはダメね。理解はできないけど、意外だわ」


「この子達持って帰ろうよぉ!」


「とりあえずメル、そこにヘンテコ達並べてみて」


「?・・・こうで良いの?」


 そう言ってメルは一列にヘンテコ達を並べた。


「そーっらぁ!!!」


 そして特に理由のないエリーのフルスイングが、ヘンテコ達を襲う!!


 ボォォォォォォン!!


 気持ちの良い程のヘンテコ達の爆散音が鳴り響き、4匹のモンスター達は消滅した。


「あっひどぉい!!」


「ひどいじゃないわよさっさと行くわよ!ってうわぁ・・・SP4ってしょっぼ・・・っと。それにここで遭遇したならまた今度この近く探せば良いじゃない。あたしも協力してあげるからとりあえず今はカマキリよカマキリ」


 そうエリーは言い放ち、ずんずんと街道の方へ進んでいく。


「もぉ、仕方ないなぁ・・・ん?」


 4匹のヘンテコが爆散した所に細長いピングの円錐状の何かが落ちている。


「<鑑定*2>っと・・・」


<ヘンテコのしっぽ>

 謎の生物、ヘンテコのしっぽ。

 触感がフニフニで癖になる手触り。


「おぉぉ!可愛いなぁ、アクセサリーにできないかな?!」


 そう満面の笑顔で言いながら、メルはヘンテコのしっぽをインベントリに突っ込んで鼻歌交じりでエリーを追いかけていった。




<システムメッセージ>

<ヘンテコがエリーによって倒されました>

<ヘンテコがエリーによって倒されました>

<ヘンテコがエリーによって倒されました>

<ヘンテコがエリーによって倒されました>


(うわぁぁぁああぁぁぁあぁぁあ!!!)


 誰かの絶叫が、聞こえた気がした。

無慈悲なり

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