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EPISODE7.笑えない冗談

次の日、いつものように希々が練習をしていた。

みんなが来るよりも早くからひとりでコソ練していた。

「・・・暇。一人で練習することはこれまでなら何度もありますが、いかんせんバドミントンの素振り練習より辛い」

剣を振る練習、剣の力を引き出す練習、コントロールする練習の三種類を休みながら続ける。

「はぁ・・・はぁ・・・これを続けないと・・・強くなれないってわかってるから・・・」

部活もないからか、集中して練習に励むことができている。

「素振り終わり・・・」

スポーツドリンクを飲もうとした時、ふと思い出した。

「そういえば、兄さんの戦闘映像見れるんだった・・・」

近くにあった端末にUSBメモリを差し込む。

「これから見よう」

一本目の動画は、一年前の蓮唯と藍翔の戦いだった。


「蓮唯。今日こそ勝つぜ」

「はぁ・・・朝早くから呼び出してやることが対戦でいいってどうかしてる・・・」

蓮唯に呆れられる藍翔。

「その件はすまなかった。だが、今日は勝てそうな気がしたからな」

「・・・そうか」

蓮唯の空気が変わったのを希々は画面越しに感じることができた。

「最後に聞くけど、藍翔。今日こそ俺は本気で戦える?」

「・・・あぁ。信じてくれ」

藍翔のニヤニヤに蓮唯が無言で頷き、武器を取り出す。

「行くぞ」

藍翔の得意技でもある銃弾の雨を蓮唯目掛けて容赦なく撃ち込む。

「前より精度と速度が上がってる・・・!?」

驚きつつも無傷で突破し、藍翔の近くまでやってきた蓮唯。

しかし、接近したことを後悔させることになるのだった。

「!?」

藍翔が銃ではなく、ナイフを構えていたからだ。

「っぅ!!」

「後ちょっとで行けたのに・・・速度が人間離れしてやがるぜ」

藍翔が残念なそうな顔をする。

「危なかった・・・」

「油断すんなよ?」

蓮唯が息を整えようとするが、藍翔が許さない。

再び銃弾の雨を降らす。

「どこから銃弾を供給してるんだよ・・・」

「秘密だな」

頑なに公開しようとしない。

実際、蓮唯とは何回も戦っているが、かわされてばっかだった。

だからこそ、今回の戦いは秘密兵器を追加で持ってきていた。

「蓮唯、気が緩んだな?」

「なっ!?」

銃弾の雨をすべてかわしていたのにも関わらず、蓮唯の右腕に銃弾が撃ち込まれていたのだ。

「銃弾の雨は囮さ・・・拳銃で右腕狙って撃って見たけど、ビンゴだな」

「・・・なるほどな」

ポタポタと血が落ちるが、蓮唯が躊躇わず右腕を落とす。

「相変わらず腕を斬り落とすのに躊躇いがないな」

「後でくっつければいい。それに、こっちの方が俺らしいからな」


ここで一度映像をストップした希々がドン引きしてた。

「え?いや、腕斬り落とした・・・んだよね・・・?躊躇いなさすぎる・・・これ本当に兄さん?何かの間違いじゃなくて?」

恐る恐る動画を続きから再生する。


「来い!」

「じゃあ、遠慮なく」

蓮唯の踏み込み速度の速さに驚きつつ、再び銃弾の雨を降らす。

「さっきより銃弾の速度が上がった!?」

蓮唯が迷いを捨て、低い姿勢で接近する。

「ふん!」

藍翔が構えてたナイフと蓮唯の振り上げた片手剣がぶつかり、キーンという音を響かす。

「一撃が片手剣にしては重いっ!」

「ナイフが厄介だな」

蓮唯が斜め後ろに飛び、距離を取る。

「遠距離攻撃使わなくていいのか?あれが本気なんだろ?」

藍翔の煽りに蓮唯が「お望みならいいよ」と言って、片手剣を、まるで銃を構えるように持つ。

「勝負だ」

「ああ」

藍翔の銃から放たれた銃弾は連射機能を使った五発。

対しての蓮唯は片手剣から眩い光が放たれた。

「銃弾を溶かすのは想定してたよ!この勝負、もらった!」

「っ!?」

蓮唯が藍翔の一撃を受けて倒れ込んだ。

「蓮唯・・・おーい。起きてるか?」

「ん・・・起きてる。空癒の元へ連れて行ってくれ」

「ああ。行こう」

これが蓮唯と藍翔による戦いの映像。


見終わった希々はドン引きと目をぱちぱちしていた。

「腕を斬り落とすのもおかしいけど、剣から光線みたいな線が出て銃弾を溶かすのもイカれている・・・。兄さんって、本当に何者?」

希々が動画を見てた時間、実に三十分。

水をひとくち飲み、剣を握り直す。

誰か来ないかなと期待しながら一人で練習すること五分。

「おーい。希々。一人で練習か?」

「そうですけど・・・もしかして終わったのですか?」

藍翔がいつもの銃ではなく拳銃で来ていたことに希々は見逃さなかった。

「あれ?拳銃ですか?」

「ああ。気分が拳銃だったからな」

藍翔が標準的な姿勢で拳銃を構えるが、すぐに下ろす。

片手剣を大事そうに抱える希々に聞いてみる。

「銃に興味は?」

「少しだけ」

希々の目が輝いたのを見逃さない藍翔が試しに拳銃を渡す。

「剣だけでは限度があるし、万が一敵を対処できない時に使うんだよ。拳銃はな。構え方はこんな感じかな」

試しに一般的な拳銃の構え方を希々に教える。

「そう。そんな感じ。で、トリガーを引くと銃弾が出る。やってみて」

「こ、こうですか?」

試しにトリガーを引くと、銃弾が壁に向かって進んで行った。

「いい感じだ。ところで希々は、自分に合った銃が欲しくないか?」

「欲しいですけど・・・どうやって手に入れれば?」

希々が首を傾げる。

「武器開発部に行くぞ」

「・・・なんですかそれ」

希々の質問には答えず、藍翔は武器開発部の元へ向かう。

「ちょ、ちょっと待ってください!」

希々が走りながら藍翔の後ろを追う。

訓練所から歩くこと六分。

「ここが武器開発部の実験室だ。邪魔するぜ」

「藍翔さん・・・うげぇ・・・」

希々の目の前にいた女性が藍翔の顔を見てだるそうにした。

「藍翔さんが関わることはだいたいろくでもないことですから」

「あ、こちらは希々。一応言っておくけど、目の前の人じゃないや、菜珠こそ、今となっては俺の十八番と言われている銃弾の雨を実現させた張本人だからな」

「そうなのですか?」

希々の問に菜珠と呼ばれた鮮やかな緑色のショートボブの女性が頷く。


そう、あれは藍翔が北海道に任務で行ったあと、すなわち七月二十九日の二日後の三十一日の話。

武器開発部という部署が本部にはあり、メンバーは三人だけだが、メンバーの要望に沿った武器を作ることで人気を博している。

そんな武器開発部のリーダーポジの明日香菜珠(あすかなず)が藍翔の言葉に呆れつつ困惑した。

「銃弾を雨のように降らしたい・・・?馬鹿なの?」

「馬鹿は酷いが・・・まあ・・・そうだ」

藍翔の肯定に菜珠がまじかよこいつと言わんばかりの顔をする。

「今使ってる銃次第・・・しか言えない」

「これだ」

取り出した銃を見て菜珠が困惑した。

パッと見はスナイパーライフルのような銃。

色は純白で繊細な彫刻が施されていた。

なおこの時の藍翔が使ってた銃は希々と共闘した時に使ったスコープなしのスナイパーライフルとはまた違う銃である。

「いや、え?この銃を一人で????」

「そうだが?」

試しに菜珠が持とうとすると重すぎて「ギブギブギブ」と音を上げるくらいには重かったらしい・・・。

「この銃をベースで銃弾の雨を実現させろと?」

「銃は関係ない。銃弾の雨を完成させないと、多分蓮唯に勝てない」

「あくまでも、蓮唯に勝つために武器を作って欲しいと?」

菜珠の質問に首肯する藍翔。

「はぁ・・・身体いじってもいいなら、できないことも無いけど・・・」

「ほんとか!?」

「前提として・・・身体をいじらずに使えるようにしてみるけど、難しかったら、身体をいじる手段も取るから覚悟してね?」

菜珠の手で弄んでいる手のひらサイズの箱に藍翔は困惑した。

「それでいい。ん?なんだそりゃ。新種の武器か?」

「この箱のこと?」

「ああ。関係ないとは言わせないぞ」

菜珠があー?うーん?とごにょごにょしながらどう説明するか悩んでいるようだ。

「簡単に言えば武器の起動装置みたいな感じかな。まだ試運転の段階だけど・・・ちょっと待ってね」

菜珠が端末にコードを繋げ、既存システムを書き換える作業を行うが、藍翔にはシステムのことは一切わからないのでモニターに映る言語が何も理解できなかった。

およそ五分後。

菜珠が藍翔に箱を渡す。

「一応、銃の雨を降らせるという希望をシステムにして、半ば無理やり入れてみました。試運転してみたらいかがでしょうか?第三訓練所を今日一日極秘モードで貸切としてますので。一応、未完成ですから、何かあったらシステムを書き換える必要があります。なので私も行きますね。恋登に優亜、二人とも、何かあったら連絡ちょうだい」

残ってた二人は瓜二つだった。

「は、はい!菜珠さん」と恋登と呼ばれた人が頷く。

名前は、桜庭恋登(さくらばこと)

見た目は中学生くらいでも立派な高校二年生。

「菜珠さん・・・開発途中の武器はどうすればいいんですか?」と優亜と呼ばれた人が武器を指さす。

名前は、桜庭優亜(さくらばゆあ)

見た目は恋登とは逆で大人しさが垣間見える。

二人は双子。そして二人の両親は小さい頃に交通事故で亡くなっている。

二人を育てたのは本部の上層部のメンバーで、二人の父の兄、白咲之助シロサキノスケ

恋登と優亜は髪型が違うので区別しやすい。

恋登が銀髪のポニーテールで優亜が銀髪の三つ編みとなっている。

「二つは改善点書いてるからシステム書き換えておいてくれれば助かるわ」

「かしこまりました」とビシッと決める恋登。

「わかったよー。ねむねむの目をかっ開いて頑張るよ」と眠そうに優亜はエナジードリンクを飲み干した。


「さて、試しにどうぞ。箱の側面にスイッチがあると思うのでそこを押してください」

「じゃあ、行くぞ・・・」

スイッチを押すと、天井からたくさんの銃が現れ、数秒後には銃弾が降り注いだ。

「悪くないのだが、発動してから発射までの時間を短縮したいのと、銃が隠れた状態で撃ってるようにしたいんだが行けるか?」

「ま、マジで言ってるの?それこそ・・・結構ギチギチになるし負担かかるよ?いいの?」

「構わないさ」

藍翔の即答に呆れた菜珠がシステムを書き換えること四時間。

書き換えて試運転しては不具合が起こり、不具合を直したら別の不具合が発生するという悪循環。

すっかり日は沈み、定時退社なんか叶わない時間に菜珠は涙を流しながら端末を藍翔に渡す。

「これで、どうかな・・・」

「行くぞ」

藍翔がスイッチを押した瞬間、銃弾の雨が降り注いだ。

誤差がない、ほぼ完璧な零秒射撃だった。

「いいな。銃弾も偽物ではなく、本物の銃弾だ。申し分ない」

「ほんと!?うわああああああんようやくできたよおおおおおおお」

菜珠が泣き出す。

「おい、泣くなって・・・」

泣き止むことに五分かかった。

「なあ、ところでこの端末を銃にはめ込んで使うことはできねえのか?」

「ひっく、え?いや、あ、え?ええ?」

藍翔の発言に菜珠が口を大きく開けて叫んだ。

「はああああああ???????なになに、何を言ってるの????怖いんだけど」

「怖いって言われてもなあ・・・冷静に考えたら武器を二つは少し厳しいんだが」

藍翔の正論に菜珠が倒れ込んだ。

「わ、わわわ、わがったたたたた。あんたが使ってた銃をベースに新しい武器を作ればいいんでしょ?」

「話が早くて助かるぜ。その都度試運転で呼んでくれて構わねえからな?武器開発部だからこそ、頼んでるんだ。頼んだぞ」

「ま、まあそうですよね。だって藍翔が戦って、私は裏方なんですから、当然ですよね・・・。納期は最長一年だけど、大丈夫?」

菜珠が端末を大切に扱いながら聞いてみた。

「構わない・・・完成さえすればいい・・・っぅ!」

「ほら言わんこっちゃない」

菜珠が言っていた負担が藍翔の身に起こった。

主に頭痛が負担の九割。

残りの一割は・・・人それぞれだが藍翔の場合は、目眩。

菜珠が作った武器の一種である端末は、使用者の身体とリンクして発動するため、使用後に負担が発生するのは当たり前である。

「これが負担か・・・」

「十回も使ってたんだよ・・・当然負担も出るよね・・・」

菜珠の発言に「そうか・・・」と頷く藍翔。

「一応見てもらうべきですよ。一人で歩けますか?」

「無理だ・・・目眩も襲ってきてる」

「・・・わかりました。私も責任少しあるので、空癒さんにここまで来てもらうよう連絡しますから。待ってくださいね」

菜珠が空癒に連絡を飛ばす。

「あ、ああ。助かるよ」

こうして駆けつけた空癒に事情を話しながら怒られている菜珠の姿を目眩がする中でも少しだけ見えた藍翔は気を失った。

「ちょ、藍翔!?と、とにかく次から気をつけたらなんも言わないからね????菜珠は気をつけて帰るんだよ」

空癒が急いでストレッチャーに藍翔を置き、消えていった。

その様子を見届けながら、使用終了ボタンを押し、端末と機械を持って開発部の実験室へ向かう菜珠だった。


武器が完成したのはそこから四ヶ月後だった。

重さや形状は藍翔が使っていた銃がベースで、藍色の銃身に白の薔薇が彫刻されていた銃となっている。

「蓮唯からも武器を頼まれてね同時進行で開発したから。ちなみに今日が初起動だよ」

「うげぇ・・・蓮唯も武器頼んでたのかよ」

「あ、管轄は別ね?私は藍翔、恋登が蓮唯だから。お互いの武器の特徴は知らないから大丈夫」

菜珠のグッドポーズを見て藍翔が銃を受け取る。

「重さも申し分ないな。よし行くぞ」

普通に銃を撃ったり、銃弾の雨に切り替えて撃ったり色々してみるが・・・完璧と言える仕上がりだった。

「完璧だ」

「よかったぁー」

ヘロヘロに倒れ込む菜珠だったが、藍翔が銃を軽々扱う様子に驚く。

「重さは軽くない?」

「菜珠。重さは気にすんな。なにせ、銃弾の雨という最強の技を手に入れれたからな。ありがとう。そろそろ任務だから行ってくるよ」

急いで駆け出す後ろ姿に菜珠が心の中で「行ってらっしゃい」と言った。

こうして出来上がった銃弾の雨は多くの敵を倒すのに効率がいい一方で人に対しては、銃弾の合間を縫ってかわされてしまうので精度と限界以上の精度が必要だった。


「とまあ、こんなことがあったんだよ」

「もう懲り懲りですけどね。新入りの、えっと、」

菜珠が頭に指を当てて悩む。

「希々」

「ああ!希々ね。覚えた。ところで何用?藍翔の武器はもう作らんよ」

菜珠が藍翔を睨む。

「俺じゃない。希々専用の銃を作って欲しい」

「ふーん。藍翔じゃないならいいよ。今ちょうど恋登も手空いてるし。大丈夫だよ。さあ、希々さんこちらへどうぞ。武器の希望を聞くので。ところで藍翔さん、中部支部からメッセージ来てますので、後で確認をお願いします」

菜珠と恋登、希々が扉の奥へ消えていった。

「中部支部から?一体何事だ?」

藍翔が武器開発部の実験室を出て、中部支部に回線を開く。


「こちら、藍翔です。中部支部からメッセージが来てると伝えられ、追って連絡した次第です」

通話に出たのは、雷樹の父で中部支部のリーダーを務めている、鳴動漠メイドウバクだった。

「今日は他でもない。雷樹の状態と新たな共有すべき情報を手に入れたからだ。いやはや、手練なのは分かっているが、やはり我が子の雷樹のことは心配で仕方がない」

「雷樹なら無事昨日の任務を成し遂げました。もう少し本部で勉強させてから中部支部に帰らせますのでご安心ください。ところで、新たな情報とは?」

藍翔が本題を聞こうとする。

「新たな情報・・・端的に言えば、愛知県に敵組織のアジトができているという情報をいただいた。そこで、本部にいる新入りである、希々に経験を積ませるために任務を課して見ようと思うのだが、どうかね?」

「そうですか・・・」

藍翔が悩むと、藍翔の背後から声が聞こえた。

「僕は賛成ですよ?」

「遥斗・・・」

いつの間にいたか分からない遥斗に藍翔が驚いている。

「これは、遥斗さん。まさかそう言っていただけるとは。ちなみになぜ賛成かね?」

「本部の上層部も新入りの訓練が終わり次第、任務をすべきという意見が上がっているんで。まあ僕もそこは正しいと思ってます。あと、僕が一緒に行動するので安全は保証できるかと」

遥斗が自信ありげに言うと、漠が無言で頷く。

「よろしい。では、訓練が終わり次第、雷樹と共に中部支部へ来い。上層部及び本部のリーダーには後ほどこちらから伝えておこう」

「感謝します。失礼します」

遥斗が電話を切る。

「おいおいおい。本当にいいのかよ!?」

「いいんだ・・・そろそろ任務やらせるべきだし、まあ本部襲撃の希々の使用は藍翔の独断が原因だ。そして希々に今のところお咎めなしだからいいか。って思った。とりあえず、ここにいても意味がないから、雷樹と楼梨に会いに行こう」

遥斗が藍翔を引き連れて雷樹と楼梨の元へ行く。

せっかくだからということで、本部の屋上に四人揃って夕日を見ることに。

既に日は沈みかけていた。


「せっかくだしみんなの今日の一日を聞こうぜ」

藍翔がコーラを飲みながら聞く。 

「じゃあ私から行くね」

楼梨が元気よく一日を話す。

「昨日の夜、空癒さんの元に行って治療してもらって、今日は一階のカフェテリアで夏帆さんとお話を・・・」

「ぶふぉっ。おい何それ知らないのだが」と遥斗が飲んでいたカフェラテを吹き出す。

「普通に真面目な話なので誤解しちゃダメですよ?」

「じゃあ次は僕?」

遥斗がカフェオレの缶をゴミ箱に投げ捨てる。

「昨日、久々にマンション行った」

「どうせ物が必要最小限しか置いてないんだろ?」

「う、うるさい!と、とにかくだ。マンションで久々に寝て本部にやって来て昨日の出来事のレポートを出した。今日はそれくらい」

藍翔に痛いところ突かれて顔を赤くした遥斗をほか三人で笑う。

「どっち行く?」

「藍翔さんからで」

雷樹に言われて藍翔が「マジかー」と嘆きながら今日の出来事を思い返す。

「さっき、雷樹の父と電話した」

「!?」

藍翔が空を見上げて言葉を紡ぐ。

「新入りが本部にいる。それも、かなりいいセンスしている新入り。そいつの訓練が終わったら新入りと遥斗で任務行かせるついでに雷樹を帰らせるって言った。だから・・・もう数日こっちにいていいってさ」

「そ、そうですか。父上が・・・」

雷樹が複雑な感情を抱いた。

「どうかしたか?」

「顔色悪いですよ?」

藍翔と楼梨が雷樹の心配をする。

「いえ、なんでもありません。強いていえばそうですね。父上を信用しない方がいい。あ、いえ、お気になさらず。ちなみに今日の僕は観光してましたね」

雷樹が必死に言葉を濁そうとするが、無理だった。

「嘘だな。父上を信用しない方がいい?どういうことだ」

藍翔が聞いてみると、雷樹が真実を言おうか悩んだ結果、言うことを決意した。

「父上の素性を知らないから、みなさんは父上の狂気に気づかない。故に言わせていただきます。父上は・・・“内通者”です」

「「「は?」」」

漠の子である雷樹が嘘をついてるとは思えない。

衝撃から最初に立ち直った遥斗が雷樹に聞く。

「詳しく話してもらおうか」

「わかりました・・・全て、お話します」

雷樹が重い口を開けた。

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