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独身貴族は異世界を謳歌する~結婚しない男の優雅なおひとりさまライフ~  作者: 錬金王
二章

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独身貴族はお隣さんに文句を言われる

『転生大聖女の目覚め』書籍1巻が6月2日に発売。

コミカライズも開始です。


 コーヒーミルの納品をアルトに任せた俺は、その日の夕方に王都に帰ってきた。


 帰り際に泊まっていけなどとしつこく言ってくる父さんの言葉を振り切っての帰還。


 今日は屋敷に顔を出したり、工房で従業員の前で挨拶をさせられたりと疲れた。


 ミルの製作もようやくひと段落が付いたので、夜くらいは一人でのんびりしたい。


 精神的な疲労をやや感じながらもアパートの前に到着。


「ああああっ!」


 すると、後ろの方で奇声が聞こえた。


 振り返ると、こちらを指さして大きな口を開けているカタリナがいた。


 楽器ケースを背負っていることから今日も演奏帰りなのだろう。


 そういえば、コイツと会うのはレナードの主催したパーティー以来か。


 確かあの時はレナードの生贄人形として捧げた記憶がある。


 間違いなく文句を言ってくるつもりだろうな。


 それがわかっている俺は即座にエントランスに駆け込む。


 そして、速やかに魔力認証のカードを差し込んでロックを解除。開いた扉を潜り抜ける。


「ちょっ、待ちなさい!」


 しかし、カタリナの反応は良く、扉が閉まる前に身体を滑り込ませた。


「チッ、意外と素早いな」


 それなりに重いヴァイオリンケースを背負っているので間に合わないと思っていたのが、少し甘かったようだ。


「はぁ、はぁ、運動神経は良い方だから!」


「その割に息が上がっているぞ? 室内で演奏や作曲ばかりしていて、運動不足なんじゃないか?」


 自慢げに主張するところ申し訳ないが、この程度のダッシュで息を上げているとはそう指摘せざるを得ない。


「うるさいわね! あなただって同じようなものでしょ!?」


「俺は定期的に外に出て運動をしている。この程度で息を荒げたりしない」


「えっ、もしかしてランニングとかしてるの?」


「依頼を受けて王都の外に行っている。俺は冒険者だからな」


「ええっ!? 冒険者なの? でも、ランクは高くないんでしょ? 魔道具師が本業なんだし……」


 驚いたカタリナであったが、すぐに意地の悪い笑みを浮かべる。


「そうだな。趣味でしか活動していないからソロでBランク程度だな」


「ソロでBって高ランク冒険者じゃない!? 魔道具師で活動しながら高ランク冒険者でもあるって……本当にあなたって外だけ見れば完璧ね」


「だけとはなんだ。勝手に品定めをするな」


「あっ、ちょっと待ちなさい。あなたに文句を言うのを忘れていたわ」


 そう言って会話を切り上げて去ると、カタリナが猛然と追いかけて横に並んでくる。


 忘れる程度の文句であれば言わないでもらいたい。


「文句とはなんだ?」


「あなたのせいで酷い目にあったんだけど!? アクウィナス子爵の紹介の件!」


「お前がレナードを紹介しろと言うからしてやっただけだ、文句を言われる筋合いはない」


「いや、そうかもしれないけど、私が着せ替え人形になるって知っててやったでしょう!? この間、一日中引きずり回されたわ!」


「ほう、一日中か……」


「ええ、一日中よ!」


 感心した風を装いつつ探りを入れると、カタリナは強調するように言い返してきた。


 どうやら彼女の言っていることは本当らしく、一日中レナードの着せ替え人形になっていたようだ。


「そいつは良かったな」


「私をバカにしてるわね?」


 俺の本心からの言葉であるが、彼女には上手く伝わらなかったようで額に青筋が浮かぶ。


「煽る意味で言ったんじゃない。レナードに気に入られて良かったと言っているんだ」


「気に入られて……? 確かに私を連れ回して楽しそうにしていたけど、どうして気に入られたなんてわかるの?」


「レナードは見た目のいい女を着せ替え人形にする悪癖がある。だが、ほとんどの女はすぐに捨てられる。その者の着こなしや振る舞いを見て、そいつに表面的な魅力しかないと理解するからだ」


「えっと、つまりどういうこと?」


「レナードの厳しい審査の目を潜り抜けなければ、一日中連れ回されることはない。つまり、あいつにとってお前は飾り立てるに相応しい女だと認められたということだ」


「そ、そうなの?」


「信じられないならレナードの評判を聞けばわかる」


 そういう意味であいつに泣かされた女は数知れない。少し尋ねれば、俺の言っていることが本当だということくらいすぐにわかるだろう。


「まあ、お前ならある程度気に入ってもらえることはわかっていたがな」


「えっ、それって私が――いや、なんでもない!」


 俺がそのように言うと、カタリナが一瞬驚いた声を上げて、すぐに首を横に振った。


「けど、なんか納得いかないわね……」


「それはお前の個人的な感情だ。俺には関係ない。レナードと知り合いになれた。それだけで十分だろう。じゃあな」


 俺は不服そうな顔をするカタリナを放置して、しれっと自分の部屋に入った。


 廊下から騒がしい声が響くが、今日は疲れているのでとても相手をする気にはなれない。話は終わりだ。


 これでようやく一人だ。明日は仕事も休みだし、久しぶりに一人でゆったりとしよう。







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こちら新作になります。よろしければ下記タイトルからどうぞ↓

『異世界ではじめるキャンピングカー生活~固有スキル【車両召喚】は有用でした~』

― 新着の感想 ―
[一言] 異性の友人とかは居るのだろうか。 いやまあ、異性ってだけで避けてそうですけどw
[良い点] クレーマーのあしらい方。 [一言] さすが、クレーマーカタリナ。「おまいう」に安定感がありますねw ^^
[良い点] 更新乙い [一言] 凄く綺麗な物言いに直すと、美術品を品評する様なアレやゾ だから、照れる必要は全くないゾ
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