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バイキングレストランの二号店を作ろう

「わしらもそろそろ店をたたむかのぅ」

「そうですね。そろそろ休んでもいい頃合いでしょう」


この老夫婦は自宅兼店舗で何十年も飲食店を経営してきた。そこそこ常連さんもいたが、最近ではお爺さんが厨房に立つのが辛くなってきた。お婆さんも料理を運ぶのが大変だった。


後を継いでくれる子供もいない。


とくに夏の厨房は外よりも熱くなる。去年の夏、お爺さんが調理中に熱中症で倒れてしまったことも弱気になる原因のひとつだった。


「店を売るか」

「そうですね。いっそのこと田舎で暮らしますか」

「買ってくれる人がいればいいが」

「レミリアちゃんはどうかしら」

「ああ。さいきん繁盛してるみたいだな」

「店も近いし、きっと喜んでくれるわよ」

「どれ。さっそく話をしてみるか」


二人にとってレミリアは、小さい頃によく食べに来てくれた孫娘のような存在だった。


「二号店を作ろうと思うの」


レストラン"バイキング"の店主、レミリアさんが相談してきた。


「近くの老夫婦のレストランが店を閉めるの」

「買い取るんですか」

「ええ。お金はギリギリなんとかなるわ」

「ならば、やるべきですね」

「そうよね」


実は・・・行列は改善されたけれど、明らかに客数が減少していた。人は我慢できないもの。食べられると思って店に来たら食べられない。並ばなければならない。二時間後に来いといわれる。


それなら別の店に行こうとなっても仕方ないのだ。


ならばどうする。近くにもうひとつ店を出せばいい。


「その相談に乗ってほしいの」

「もちろん」

「ありがとう」

「人を募集しないといけませんね」

「収納庫スキル持ちを二人。コックを一人。案内はアナタにお願いしてもいい」

「了解です」

「二店舗で行列が解消するなら弁当はやめましょう」

「弁当は客単価が下がりますからね。詰める手間もかかるし」

「ええ」


実は考えていたことがある。今こそ実行するときだ。


ボクは神人かみとこより。異世界からやってきた中学三年生。現代日本の知識を活かすときがきた。


「レミリアさん、差別化しましょう」

「提供する料理を店ごとに変えるのね」

「そうです」

「なら店名も変えたほうがいいかしら」

「そのほうがお客様のためになります」

「いいわよ」

「一号店と二号店はまったく別のものを扱います」

「たとえば一号店は肉を中心に。二号店はカレーライス専門店にします」

「店名はどうする」

「一号店は、お肉は正義。二号店はカレーライス大好き、なんてどうでしょう」

「それ伝わるわね」

「サラダやスープ、デザートは共通にすれば調理の手間も減ります」

「スパゲッティやサンドイッチはどうするの」

「週に一回。そんな日をつくるのはどうでしょう」

「水曜日は一号店でサンドイッチ。金曜日は二号店でスパゲッティみたいに」

「お客様も飽きないわね」

「もちろんメニューは一週間ごとにすべて入れ替えます」

「なんだか楽しくなってきたわ」

「ボクもです」

「暑くなってきたわ」


シュル


レミリアさんが上着を脱ぐ。白い肌が露わになった。ゴクリ。


「ねぇ、こよりくん」

「はい」

「たまにはわたし一人だけ愛してくれないかしら」

「エミリアの妹ができちゃいますよ」

「それもいいわね」


ちゅ


レミリアさんが抱きついてくる。


「じゃあ頑張りますか」


夜のミーティングに突入だ。


はい異世界シニアです。


店主の高齢化、後継者問題。現代日本でも問題になっています。


次回、異世界バイキング。二号店の開店。


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