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毒の霧


 23階層まで来た。

 ここまで到達冒険者は、もしかしたら、少ないのかもしれない。


 時折、壁や床に希少金属が落ちている。

 親指ほどの黄金。


 小指の爪ほどの宝石。

 それらが、床に落ちていたり、埋め込まれたりしている。


「綺麗ですね。もしかしてこれはサファイヤでしょうか?」


 ルイズが、地面に落ちた宝石を拾い上げた。


「貸してくれるか?」


 俺はルイズから受け取り、宝石を鑑定する。


「ああ、間違いないな、サファイヤだ」

「にゃー♪ 水晶が落ちてるよ? ねえねえ、カイン、これ拾っても良いの?」

「ああ、トラップの気配はない。ひろっても良いぞ」

「水晶だ。綺麗だにゃ~♪」


 フローラが満面に笑みを浮かべて、小粒な水晶を指でつまむ。


「師匠! 金脈が壁にある!」


 エルフリーデが、壁に近づいた。 


 壁にキラキラと黄金色に光る金脈の筋が見える。

刹那、俺はゾワリと背筋に冷たいモノを感じた。


 この嫌な魔力の気配。

 これは罠だ!


「離れろ!」


 俺はエルフリーデめがけて走った。

 そして、エルフリーデの背中の服をつかみ、後方に投げ飛ばす。

 同時に壁に魔法陣のトラップが浮き上がり、俺にめがけて毒の霧を吹き出した。


「ぬぅ!」


 後方にジャンプして、避けようとしたが、全部は避けきれなかった。

 顔をかばった俺の左腕に、毒の霧がかかった。

 嫌な痛みが、左腕を走り抜ける。


「し、師匠!」


「先生!」

「カイン! 大丈夫?」 


 希少種の美少女三人が、叫ぶ。


「大丈夫だ」


 俺はすぐさま治癒魔法で、左腕を治療した。


 かつて、魔導師ベアトリスと、神官アリアの能力を模倣コピーしたので、俺は千を越える魔法を操れる。


 治癒魔法で、毒で焼けただれた腕を再生し、体内の毒を無効化する。


 よし。大丈夫だ。

左腕をグルグルと回してみたが、何の問題もない。


「心配をかけたな。もう完治したよ」

「良かったです」

「ホッとしたにゃー」


 ルイズとフローラが、安堵の吐息を出す。

 エルフリーデは、顔面蒼白になって俺を見ていた。


「ご、ごめんなさい。師匠……」

「どうしたんだ?」

「だ、だって私のせいで、師匠が怪我を……」


 エルフリーデが、水色の瞳に怯えたような色を浮かべる。


「気にしなくても良い」


 俺は苦笑して、青髪の精霊族の少女の頭をポンポンと撫でた。


「お前が、怪我をしなかったなら、それで良いさ」

「で、でも、私が不注意に壁に近づいたから……」

「今後は気をつければ良い。誰でも欠点もあれば、ミスもする。だから、仲間同士で助け合い、支え合うんだ」


 俺が、微笑すると、エルフリーデは、納得したようにコクコクと頷いた。


「エルフリーデが、ピンチの時は俺が助ける。だから、俺がピンチの時はエルフリーデが助けてくれ」


 エルフリーデは、頬を染めながら、


「はい」


 と答えた。




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