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ここからはルルア……私の話を聞いてくれ。
私は確かに彼女を愛していた。
けれど彼女は私を認めてはくれなかった。それもそうだろう、幼い子をひとり置いて仕事に出かけるような親だ。私ですら、嫌いになるだろう。
彼女を殺すときは、涙も出ない自分の体を呪いたくなった。
彼女の名、ソフィアという名をソフィーと愛称に変え、そう呼ばれるようにして本性を隠し、チカラを与えたくせに、最後には自分で手にかける。
最低な親だ。
彼女の本性は、本当にたちの悪い性格だった。
こんな性格にしてしまった私は、それ以上に悪いともいえるのだが。
彼女が世界を創ったのは、苦しむヒトを観察するため、だったらしい。
けれど私が名を変えてしまったため、ソフィアはソフィーという心優しい娘になり、そして穹というヒトの子とも融合した。
ハッピーエンドを迎えられたらどんなによかっただろう。
ミサイドという良き友人も持ったというのに、我が娘はどうして。
アレクサンドルは彼女が創りだした存在ではない。
私の大切な子だ。
もちろんアレクサンドルもソフィアと同じく腹を痛めて生んだわけではない。
それでも二人とも、私の大切な子だ。
アレクサンドルはソフィアが世界を創りだした後、私が生んでソフィアの世界に送り込んだ。
ある世界を捻じ曲げる事くらい、私には造作もない。ソフィアは自分の創りだした存在だと思っていたが、そう仕向けたのは私だ。
アレクサンドルには、ソフィーがソフィアに戻らないよう見張りを頼んでいた。
テュール。
彼も私の子だ。こっそり紛れ込ませたが、アレクサンドルでさえも気付いていなかったらしい。
これで彼女と彼の――ソフィアとミサイドの物語はおしまい。
私はこの物語を、喰う他ない。




