表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虐げられた私の身代わり婚約、そして見つけた幸せ  作者: 柚木(ゆき)ゆきこ@書籍発売中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/42

18、魔導皇女

「私の母の話、ですか?」


 私は思わず首を傾げた。今までの話を総合すると、今回ユーイン殿下は公爵家にお忍びで来ている事になる。その理由が私のお母様である事にどのような意味があるのだろうか。

 まさか以前のルノーのように、お母様の昔話を伝えに来たわけではあるまいし……。


 私の疑問がユーイン殿下に伝わったのだろう。私に向けてひとつ頷いた。

 そして一旦私から視線を外した殿下は、隣の公爵様に向けて声をかける。


「レオネル、防音の準備は?」

「終了しております。斥候なども見当たりませんでした」

「流石だな」

 

 嬉しそうにユーイン殿下は公爵様へと声をかける。その二人の言動で信頼関係が見てとれた。口角を上げていた殿下は、沈痛な面持ちで私へと顔を向けている。


「その前に、君たちには我が国の極秘事項を伝えなければならない。この件は口外禁止だ。分かったか?」


 公爵様も知らない帝国の秘匿……? 無意識に私は隣にいる彼の顔をチラリと見た。すると公爵様も丁度私へと顔を向けていたらしく、視線が交わった。最初は驚きからか、口が半開きになっていた公爵様だったけれど、今は力強い表情で私を見ている。まるで鼓舞してくれているようだ。

 私は軽く頷いた後、ユーイン殿下へ目を据える。決意を感じ取ってくださったのか、殿下は話を続けた。


「何処から話したらいいものか……ソラル帝国の東方の海上に、島がある事を知っているか?」


 私は知らなかったので、首を横に振る。王子妃教育はあったけれど、家庭教師にはこの大陸の地理しか教わらなかったため、島がある事を知らなかった。一方で、公爵様は知っているようだ。


「東の王国、と呼ばれる国ですね。我が国とは違う独特の文化を持ち、以前から帝国とは交易を行っているという」

「そうだ。その国は我々上層部の中ではこう呼んでいる『神の祝福を受けた国』と」

「神の……祝福でございますか?」


 そういえば王国でも、『魔法は神が与えてくださった奇跡だ』なんて話もあったけれど、それと似たようなものだろうか。そう思っていた私だったが、この後の話で耳を疑う事になる。


「あの国では『予言の巫女』と呼ばれる存在がいる。そしてその予言は必ず当たるとされている。実際東の王国では何度も予言の巫女が誕生しているが、彼女たちの予言に狂いはなかったという」


 まさに神の奇跡と謳われる所業。公爵様もその事は知らなかったのか、驚きを隠せないようだ。二人の表情を確認したユーイン殿下は言葉を続ける。


「そして私の高祖母が実は東の王国で予言の巫女だったのだ。何故高祖母がこちらに来たのかは聞いていないので割愛するが……予言の巫女は東の王国から嫁ぐ事はなかったので、よほどの特殊事例だったらしい。ちなみに高祖母は、王国の飢饉を数年前に予言していたそうだ」


 王国の飢饉といえば、戦争終結直前に起きたあの飢饉だろう。その時代、今は隠居中である先代国王様や先代宰相様たちが、必死で休戦協定を結んだと聞いている。ただ、それを強行した反動からか……彼らを見てきた次代は先代の穏健な政策に反発する者たちが台頭している。

 その筆頭が現国王であるグレゴリーなのだ。

 

 だが、帝国に『予言の巫女』と呼ばれる者がいる事は把握した。けれども、それが何に繋がるのか……そこまで考えて、ハッと気づく。

 

「もしかして、私の母にその力があったのではありませんか?」


 機密事項である『予言の巫女』その話をここでユーイン殿下がする必要はない。けれども、お母様がその力を発現させたというのであれば、話が繋がるのだ。その考えは正しかったらしく、殿下は「そうだ」と賛同した。


「エスペランサ嬢の母君であるバレンティナ元皇女は、戦争終結の直前の時期に『予言の巫女』の能力に目覚め、将来を見通したらしい。そして先代皇帝に、停戦協定の条件の中に自分をホイートストン公爵家に嫁がせる条項を盛り込むように告げたのだ」

「あの条件は、バレンティナ様が提案したものだったのですか?!」


 公爵様も初耳だったらしく、目を剥いている。予言の巫女としての力を手に入れたお母様……何を思ってホイートストン公爵家に嫁いだのだろうか。私はお母様の想いに心を馳せる。

 ユーイン殿下と公爵様の話は続く。そして私は二人の話に口を挟まないで聞いてると、殿下は驚くべき事を口にした。


「彼女は自分がホイートストン公爵家で自分が死ぬ事も、エスペランサ嬢があっちの王太子と婚約白紙になって帝国に送られてくる事も予言していた。ついでに禁呪をかけられる事もな……彼女の残した予言は、全て当たっていた」

「……だからお母様は、私にアレを……」

 

 全て予言で理解していたから、私にあの首飾りを託したのだ。

 いつも笑顔だったお母様……けれど、「頑張りなさい、そうすれば貴女に幸せがやってくる」そう言った時のお母様だけは、悲しそうな表情だった。きっとこの事を知っていたからなのかもしれない。

 私は首にかけていたものを手に取る。今は土台だけになってしまっているが、母の愛を感じた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
★ 作者おすすめ作品 ★

【追放×元聖女】完結済!
偽物扱いで追放された元聖女たち、
最強の相棒と自由な冒険者ライフを始めます


一気読みできます!

──────────────

【本作】虐げられた私の身代わり婚約、そして見つけた幸せ
*ベリーズカフェ様でも公開中
*ファンタジー(総合)・恋愛ファンタジー1位作品

──────────────

魔法少女おばあちゃん
〜78歳のおばあちゃん、16歳の侯爵令嬢に転生?!〜


ドタバタ転生コメディ作品です。

──────────────

【受賞作品・書籍発売中】
虐げられた精霊の愛し子は、隣国で魔石屋を開く事にしました


書籍化された人気作品です。

──────────────

気づけば全部のフラグをへし折っていた転生悪役令嬢ですが何か?
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ