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青いキラキラの村  作者: バッシー0822


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21/21

21.鋼の絆、言葉を超えたエンジニアの対話

ピコの姿が確認できた瞬間、彼女の胸は、昨日の追いかけっこよりもずっと激しく鼓動しました。彼女にとって、金色の髪をなびかせて走るピコは、退屈な日常の終わりを告げる「空からの王子様」そのものだったのです。


ピコはスクーターを止めると、誇らしげに荷台から銀色の包みを取り出しました。


「ゲンさん、持ってきたよ。ベアリングと、テラじいちゃんから預かった工具だ!」


新品の「奇跡」

ゲンがその包みを開いた瞬間、その場にいた全員が息を呑みました。 そこにあったのは、廃墟で拾い集めた錆だらけの鉄屑とは違う、一点の曇りもない、完璧な新品のベアリングでした。


「……信じられん。これは、ただのスクラップじゃない。本物の、作りたての『部品』だ。こんなものがこの世にまだ存在していたなんて……」


ゲンの指が、精密に磨き上げられた鋼の表面に震えながら触れます。ヨコタという場所が、単なる廃墟ではなく、「今も生きている文明」であることを、彼はその金属の輝きから理解しました。


無言の共鳴

二人はさっそく、風車の中心部へと潜り込みました。 はじめは、ピコの持つヨコタの高度な工学知識と、ゲンの持つ現場での創意工夫がぶつかり合う場面もありました。


ピコは、チェンを通じて最適なトルク値を計算し、論理的に組み上げようとしました。職人気質のゲンには、ちょっと理解できない行動でした。彼は 長年の経験で、その日の風のクセや塔の傾きを感じながら微調整を加えることが普通だったからです。


しかし、言葉の壁を越えたのは「機械を愛する心」でした。ピコがボルトを締めれば、ゲンが次に必要な工具を差し出す。チェンの翻訳を待たずとも、二人の視線は次に直すべき箇所で一致していました。それは、何百年も断絶していた二つの文化が、一つの「軸」を中心に溶け合い、理解を深めていく時間でした。


風の歌が変わる瞬間

ついに新しいベアリングが組み込まれ、ゲンがゆっくりとブレーキを解除しました。


「…………」


最初は静かでした。 そして次の瞬間、風車はこれまでのような「悲鳴」を上げるのをやめ、絹が擦れ合うような、軽やかで心地よい回転音スゥゥゥゥ……を響かせ始めたのです。


「回った……! 昨日よりずっと、速くて静かだ!」


フウカが歓声を上げました。風を力に変える巨大な羽根が、何の抵抗もなく空を切り裂き、村中に力強いエネルギーが流れ込んでいくのがわかりました。


新しい時代の鼓動

風車の下で、油にまみれたピコとゲンは顔を見合わせ、言葉ではなく「やり遂げた男の笑顔」を交わしました。


フウカの眼差しは汗を拭うピコの姿にそそがれました、フウカはますます目を輝かせます。彼女にとって、この村を救ったピコはもう「お客さん」ではなく、かけがえのない「ヒーロー」になりました。


ゲンの古いクワと、ピコの精密な工具が並んで置かれています。それは、立川の「土」とヨコタの「知恵」が手を取り合った象徴でした。



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