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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
転生記~始まりの伝説編~
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聖獣の卵?桃食ったら出産!それは蟹の味噌汁??

桃源郷にて現れた老人は、かつて孫悟空の師匠であった太白金星仙人だった。


はい!私は沙悟浄です~

私達の前に突如現れた仙人の老人は、

自らを『太白金星』と名乗ったのでした。


「えっ!あの有名な太白金星仙人様ですか?」


「知っているらか?」


私はその名前にピンと来て驚いてしまいました。


「そりゃあ~有名ですよ!仙人でありながら、その霊力は最高神に匹敵し、仙術に関しては他に右に出る者はいないと恵岸( えがん)行者様がおっしゃっていました!」


「おおっ!オヌシは恵岸の弟子か?奴は元気にしとるのか?」


「はい!でも、今は私、こちらの三蔵様の下で修行しております」


「ん?三蔵?」


すると太白金星様は三蔵様の顔をじーと凝視したのです。


「………?」


「オヌシ…奇妙な星の運命を持っておるな?いや?運命を変えようと足掻いているようじゃ。しかも…それは世界を」


「!!」


すると太白金星様に向ける三蔵様の目付きが変わったのです。


「黙れ!俺の運命を勝手に見透かすな!」


三蔵様は太白金星様に触れては欲しくない事を見透かされたらしく、太白金星様の言葉を遮ったのでした。


「ふぉふぉふぉ…すまぬ!すまぬ!もう何も話さんよ?じゃから、そう怖い顔をしなさんな?」


太白金星様は三蔵様を軽くいなした後、


「ところで、爺ちゃん?こんな所で何をやっているんだ?確かもっと北に住んでいたはずだよな?引っ越したのか?」


今度は太白金星様の顔付きが怒りモードへと変わっていき、


「うごおお!オヌシのせいで!前いた山には住めなくなったのだぁぞー!」


孫悟空兄貴の顎を掴み上げる。


「苦労したんだな…」


「誰のせいじゃ!」


太白金星様は孫悟空兄貴の頭をポカスカ杖で殴り始めたのでした。


「いてぇ~よ!止めれぇ~爺ちゃん!」


「つまり…孫悟空兄貴のせいで住んでいた山から追放され、今じゃ誰も近寄らないこの山で一人隠居生活をなさっているのですね」


星「…………」


「世捨て人…いや?世捨てられ仙人てか?ウッキキ!」


(いつか必ず儂の手で殺す!)



太白金星様に殺意が芽生えた一瞬でした。



「じゃがな?儂は別に意味なくこの山にいる訳でもないぞよ」


「老後の生活は…皆引きこもるというらよ…引きこもり爺さんよ?」


八戒兄貴も太白金星様には毒舌ですね。

さっき殴られたからですかね?


「誰が引きこもり爺さんじゃ!儂はな。かの釈迦如来様より特別な使命をつかわさってこの地におるのじゃ!」


「おおっ!釈迦如来様から?それは大役ですね!」


「河童!ただの老人の戯言ら?聞き流してやるらよ!」


「そうだ!そうだ!それが憐れみって奴だぞ!」



同情半分からかい半分の二人に怒り沸騰の太白金星様。


「猿にしろ豚にしろ…ワナワナ!」


今にも爆発しそうな太白金星様にすかさず私が話を戻してフォローしたのです。


「で、大役とは何ですか?」


「それはじゃな~見えるか?あの山の先に見える桃の木が?」



太白金星様が指差したのは、この山のてっぺんにある大きな桃の木でした。


「あれはじゃな?聖霊獣の卵を生み出す桃の木なのじゃ。それがこの年、この時期に実ると言う事で、この三百年の間儂が見守り、頃合いをみて天界に献上する事になっておるのじゃよ」


「ボソッ…つまり責任負わされたらな…」


「アハハ!爺ちゃんも苦労してるんだな?モグモグ。で、後どのくらいで実るんだ?モグモグ…」


「そうじゃな…もう頃合いじゃと…ん?お前は何を食べておるのじゃ?」


「モグモグ…ん?」


「おっ?猿!お前一人で何を食ってるらか?オラにもよこすらよ!」


「誰が渡すか!これは俺様が見付けたんだぞ!」


孫悟空兄貴が食べている物って?

まさか?嘘?


「それって?」


孫悟空兄貴が食べていた物は間違いなく!


「うぎゃああああああ!」


太白金星様の叫び声が桃源郷に響き渡ったのでした。


そうです。

孫悟空兄貴が食べていた物は、太白金星が育てていた桃の木の実だったのです。


「この馬鹿猿!なっ…何て事を!?」


「おっ?爺ちゃんも欲しかったか?悪い!もう食っちまったよ?」


「おにょろろろ~」


太白金星様は顔がムンクになっておりました。

そりゃ~そうでしょう!

そして太白金星様は孫悟空兄貴の首を掴み殴る!

力いっぱい殴る!

その目には涙を浮かべながら・・・



「お前が!お前が食っちまったのがぁ~!その聖霊獣の桃の木じゃ~!」


「えっ?」



突然お腹の調子がおかしくなる孫悟空兄貴??


「痛い痛い~」


そして地面を転げ回りながら苦しみ出したのでした。


言わんこっちゃないですね~


自業自得です。




「何かいやぁ~」


「儂もいやぁ~」



見ると、みるみる孫悟空兄貴のお腹が大きくなり始めたのです。

それは、まさに妊婦の如く!


「あっ…あっ…こ…こんなの初めてぇ~」


「気持ち悪いら~」



私は泣いている太白金星様の頭をヨシヨシして慰めていました。


「うにょ~!儂の…儂の全てがぁ~!天界に戻る唯一の手段がぁ~!」



それから孫悟空兄貴は、暴れまくるようにのけ反りながら、頭を岩に叩きつけ、転がり回ってはお腹を優しく撫でてやり、その行為を幾度と繰り返し、これを一晩中続けたのでした。



仕方なく私達は太白金星様の住む小屋に泊まる事になったのです。


「兄貴苦しそうですね…」


「因果応報、自業自得だ!まったく余計な時間取らせやがって!」


「で、あれはいつまで続くら?」


「…………」


「まさか、死んじゃうなんて事は?」


「それは…」


「それは?」


「蟹の味噌汁」


ん?蟹?味噌汁が何ですか?

すると、すかさず三蔵様がツッコミを入れたのです。


「くだらん!」


えっ?

何がくだらないの?

ん?ん?あっ!!



「神のみぞ知るじゃよ!」



ズコッける私と八戒兄貴は床に頭をぶつけてしまいました。

駄洒落だったのですね~



「生憎、儂にも分からんのじゃ。本来聖霊獣の卵は、桃の木から実る桃を聖獣が認めた処女の天女に食べさせ誕生させるものなのじゃ」


「それ以外の者が食べたら?」


「うむむ…ちなみに聖霊に認められない、又は適合出来ずに桃を食べた天女は、聖獣に腹を裂かれ死んだという話はある…」


「オラ…食わなくて良かったら…」


「しかも、この猿は欲張りにも実った四つの桃を全てたいらげやがったのじゃからのぅ~。前々から知ってはおったが、本当に馬鹿な奴じゃ!」


「孫悟空兄貴」



孫悟空兄貴を心配しつつ、

このまま時間を無駄にする事もないと仰るもので、次の日の朝、私は三蔵様にお願いして、術札の作り方を教わっていたのです。

せっかく鉄扇さんの所で教わったので、術札を使いこなせるようになりたかったのです。

と言うのも、戦闘で役に立てない私が皆さんをサポート出来る唯一の手段だったから。


ちなみに八戒兄貴は面倒臭いと、昼まで寝るそうです。


しかし、


「違う!何度言えば分かる?念を集中したら、五行の理に従い気の質を組み換えるのだ!」


あっ!五行とは万物「火・木・土・金・水」という五つの気に分かれていまして、相互に作用するエネルギーの事なのです。

術札はそのエネルギーを媒介にして、自分の持つ妖力や霊力を組み合わせて作るのですが、そこで大切なのはバランス…頭では、理解してはいるのですが・・・


「鉄扇の城では出来たのだろう?」


(確かにコイツの作った術札が俺を救ってくれた。後から沙悟浄が作ったと思われる札を見てみたが、かなり純度の高い術札だった。俺でも作るのが難しいレベルの最高傑作と言っても良い。コイツが術札を作れるようになったら今後の旅に役に立つだけじゃない!俺が大分楽になるのだ!うむ!)


三蔵様に多少なりとも期待されて頑張る私。


「おかしいですねぇ~??確かに…あの時は?」


「何か今と違う事があったのか?」


「サッパリです!」


と、そこに?


「何をしておるのじゃ?」


太白金星様がいらしたのです。


「いや、コイツに術札の作り方を教えていたのだが…騒がしかったか?スマン!」


「いやいや気にする事はないぞよ?そうですか…術札ですか…」



すると太白金星様は私をじっと見るなり、突然?


私の頭を杖で殴ったのでした。

えっ~?何でですか~?


「いったぁ~い!何をするんですか?痛い痛いです~私が何かしましたかぁ?」


「見て見い?」


えっ?

すると私は河童の姿から人間の姿へと変わってしまったのです。

ちなみに私は半分妖怪で半分は人間ですから自由に姿は変われるのですが、太白金星様は強引に私に霊力を送り込み人間の姿にしたのです。


「三蔵殿、分かりますかの?」


「なるほど」


「へっ?」


すると三蔵様が私に分かるように説明してくれたのです。


「沙悟浄、今度はその姿で術札を作ってみろ?」


「えっ?あ…はい!」


私は訳も解らないまま、言われる通り人間の姿で術札を作り始めたのです。

人間の姿の私は河童の姿の半分以下しか力が出ないので、大した物は出来ないはずなんですが?


・・・アレ?


「出来ましたよ??」


「なるほど。妖気が術札を作るのを邪魔していた訳か?繊細な作業を必要とする場合、人間の姿の方が向いていると。しかも、コイツには神気も多少なりともあるようだから、これを五行と組み合わせれば更に高純度の気を練り合わせた術札が出来る訳だな?」


「うむ。灯台下暗しじゃったな?」


「さすがは仙人と言うだけの事はある訳だ…礼を言う」


「いやいや…そう褒めるでないぞよ?フオッフオッフオッ!」



そう言うと、太白金星様は去って行ったのです。


「…………」


「どうなさったのですか?三蔵様?」


「後は一人で出来るな?俺はあの太白仙人に少し話がある…」



そう言うと三蔵様は太白金星様の後を追って行ったのでした。


「?」



三蔵様は太白金星様を呼び止めると、


「太白仙人!少し話がしたいのだが…良いか?」


「来ると思っておったよ…何が聞きたいのじゃ?」



そんな二人のやり取りをよそに、桃源郷の頂きにて一人



「う…生まれちゃう~ひぃ~ひぃ~ふぅ~!」



と、出産を待つ孫悟空兄貴でしたとさ。


次回予告


三蔵「太白殿?この話はあいつ達には内密にしてもらいたい」


太白金星「解っておる・・・ただ」


三蔵「金か?」


太白金星「馬鹿者!儂は金に強欲ではないわ!」


三蔵「女か?」


太白金星「・・・え?」


三蔵「・・・否定しろよ」


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