蘇った白き魔物!!絆再び!?
遺跡により突如現れた魔物?
そいつは、ホーエンハイムとバサラを・・・
俺は三蔵だ・・・
訳わかんねぇよ!
ハッピーエンドで終わるんじゃなかったのか?
ダメだ・・・何がなんだか・・・頭の中が真っ白だ!
時は再び遡る事、俺とゼロが壮絶な空中戦を繰り広げていた頃、遺跡内部では不穏な動きがあった。それは、白いスライム状の生き物?
そいつは垂れ流れるように、崩壊した遺跡の更に地下へと進んでいた。
《くそぉ・・・危なかった・・・危なかった・・・危なかった・・・危なく・・・死ぬ所だった・・・この私が!この私がだぞ!》
スライム状の生き物は地下遺跡の一番奥にある通路まで出ると、その本来の姿を現す。
そいつは?
《奴は・・・何なんだ?もう少しで私の核[魂]が消滅されてしまう所だったじゃないか!だが、私は絶対に死なない!・・・何故なら私は、この世界の君臨者なのだからなぁ!ハハハハハハハハハハハハハハハ!》
《あれ?》
その時、そいつの顔が半分崩れ落ちる。
《ぐぅわああ!あの野郎!奴の変な力で、私の核を傷つけられていたのか?許さんぞ!ゼロ!うぐぅう・・・》
そいつの名前はラスプーチン。
ラスプーチンはゼロによって消滅させられたかと思われていた…
だが、その体は妖精遺伝子より生み出されたファーストの身体!
ファーストは『核』さえ残っていれば、死ぬ事はない。
しかし、ラスプーチンは考えたのだ。
いくら不死身でも勝てなければ意味がない!
そこで思い出したのが、カミシニ博士達が研究していた化け物を生み出す実験だった。
クローリーは晴明を素材にした百鬼夜行であった。
だが、この遺跡にはクローリーの他にもう一人カミシニ博士がいたのを覚えているだろうか?
その名前を『シュタイン博士』と言った。
シュタイン博士は喋り好きなクローリーとは違い、(内心は、何を考えてるかは不明)ラスプーチンとはあんまり話す事はなかった。
一種の引きこもりなのだ!
『奴の研究している化け物を素直に渡してくれるかは解らないが、その化け物を私の身体に取り込めば・・・私はさらなる強さを手に入れられるに違いない。そして手に入れた力で、再びゼロを始末し、奴の力も私が戴いてやるぞ!』
ラスプーチンは、通路の最深部にある研究所にまで着くと、その部屋の扉を開いたのだ。
『!!』
そこでラスプーチンが見たものは!
数えきれぬほどの針で串刺しにされていた人間サイズの物体?
その足元には血が大量に流れている事と、この部屋にはシュタイン博士しかいなかったはずだと言う事から・・・これは、シュタイン博士の変わり果てた姿なのだと察した。
『シュタイン博士の身に何が?一体誰が?』
が、少し考えた後に、
『どうでも構わん!考えてみたらシュタイン博士から化け物を奪う手間が省けただけの事!』
ラスプーチンはさらに部屋の中央に進むと、そこには巨大な水槽のガラスの中に白い化け物が入れられていた。
そいつは、牛頭人身で、目が四つ。
腕が六本、指は蹄。
その頭上には、白い二本の角が生えていた化け物であった。
『これがシュタイン博士が言っていた最強の化け物だと?』
ラスプーチンは机の上にある資料に目を向ける。
それには、こう書かれていた。
[私達は、東京タワーでのヤオヨローズとの戦争の最中、かつてカミシニ七賢者最強と言われたホムンクルスの身体を手に入れた。
実にラッキーだ・・・
あのホムンクルスが、その魔道研究により強化させた肉体。まさに最高の素材だ!
だが、この素材には魂が存在しない。
そこで、この肉体に魂を入れる事にした。
試行錯誤の中、化け物から仲間のカミシニ達、神から人間の魂まで試してみたが全て失敗に終わった。だが、私は見つけたのだ!
この遺跡にて・・・遺跡の奥底に封印されていた化け物。
この土地の伝説にあった白い化け物である事は後で知ったが、遥か昔この地を支配していた魔神だとか?まぁ、そんな事はどうでもよい事だった。
とにかく私は手に入れたのだ!
私はホムンクルスの作り出した肉体と、この白い化け物の魂を融合させて・・・
新たな化け物!最高の傑作を創りす事に成功したのだ!]
化け物の資料を黙読した後、ガラス越しに目の前の化け物を眺める。
『それが、この化け物か?』
ラスプーチンは不満げではあった。
『これが最高の化け物ねぇ?私のファーストの方が傑作だと思うが?まぁ、少しでも私の力の足しになるのなら構わんよ・・・』
ラスプーチンは中央にある起動スイッチを押した。
それと同時に目の前のガラスにヒビが入り、中の化け物の目が見開き、襲い掛かったのだ。
『ふふふ・・・セッカチな化け物だ!だが、ファーストである私には!お前など、ただの餌に過ぎないのだぁー!』
ラスプーチンの姿は巨大な恐竜の頭の姿にメタモルフォーゼし、向かって来た目の前の化け物を飲み込んだのである。
『ギャハハハ!飲み込んでやったぞ!飲み込んだ!飲み込んだ!飲み込ん・・・・・・ん?』
歓喜に浸る間もなく、ラスプーチンの身体は次第に小さくなって吸い込まれていく?
当事者であるラスプーチンすら、何が起きたか解らないまま?
逆に、内側からその化け物に吸収されてしまったのだ。
《ゲップ・・・あ・・・あい・・・う・・・え・・・》
化け物はラスプーチンを吸収した事で、ラスプーチンの持っている知識までも吸収していく。
《カン・・・ジル・・・カンジル・・・感じるぞ!!
近くに・・・いる・・・?
憎き・・・美猴王の・・・魂!》
その化け物は部屋の天井を見上げると、その先に感じる存在に向けて飛び上がり、天井を破壊しながらよじ登っていく。
最後に研究所の資料に、その化け物の名前が記されていた。
名を・・・
魔神蚩尤と!!
蚩尤は地上に向かって猛スピードではい上がる。
地上に出て蚩尤が最初に見た者は・・・
空を飛び、炎の翼を羽ばたかせた金色に輝く俺だった。
「ミツケタ・・・ミツケタゾ!アノトキト・・・オナジダ!!
ニクキ・・・ビコウオウ!」
蚩尤の身体から触手が飛び出し、それは俺に向けて伸びて行く!
だが、その触手は触手は俺の目の前にいたホーエンハイムを貫き、ゼロの心臓を串刺したのだ!
蚩尤の目には二人は見えてはいなかった。
俺は何も出来ないまま、目の前でその惨劇を見ていただけだった。
「お・・・おい?」
崩れ落ちるように落下していく二人に、手を伸ばしたまま動く事が出来なかった。
触手は化け物に戻って行き、化け物は触手に付いた血を舐めていた。
俺の怒りが爆発した!!
「キサマぁー!」
俺は地上に突如現れた化け物に向かって急降下して行った!
化け物は数十メートル級の図体だった。
俺は降魔の剣を化け物に向けて突き刺すが、俺の降魔の剣は化け物には当たらなかった?
化け物の振り下した拳で殴り落とされ、地上に衝突したのだ。
俺は再び立ち上がろうとしたが、
「ぐはぁ!」
身体中を強く叩き付けられ血ヘドを吐き出した。
激痛が走り、指一本と動かせなかった。
既に立ち上がる力すら残ってはいなかったのだ。
化け物は叩き落とした俺に向かって迫って来る。
「動け!動け!動けぇー!!」
ダメだ・・・力が入らねぇ・・・
化け物は弱り切った俺に向かって来る。
その時、化け物の前に何者かが立ち塞がったのだ。
俺は薄れゆく意識の中でその者の声を聞いた?
そいつは言った。
「ありがとう・・・三蔵・・・私を助けてくれたのが、お前だったなんて・・・
今まで・・・お前を憎み・・・お前を殺そうとした私を・・・
お前は・・・命をかけて・・・救ってくれた!私を、友だと言ってくれた!
だから!!今度は、私がお前を守ってみせる!」
『友であるお前を!』
俺は、そいつの顔を見る事は出来なかった。
顔を上げる力すら残ってはいなかったから・・・
だけど、解る・・・解るぜぇ!
俺を・・・ようやく友と言ってくれたんだな?
なぁ・・・晴明?
そこには白い陰陽衣を纏った晴明が、俺を庇うように立っていたのだ。
次回予告
三蔵「まさか、お前が俺を助けてくれるなんて・・・」
晴明「当たり前だろ?私はお前には返しても返しきれない借りがあるからな?」
三蔵「水臭い事言うなよな~」
晴明「それに、昔にお前に貸したお金も返して貰ってないしな?」
三蔵「えっ?あはは・・・そんな昔の話を?」
晴明「・・・・・・」
三蔵「・・・・・・」
三蔵「子供の時の話だもんな?でっ、幾ら借りたんだっけ?俺?」
晴明「二十万だ!」
三蔵「・・・・・・」




