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三浦編3


「サードステージ」



三浦「!?」


三浦は気付いたらそこにいた。そこ、とはどこなのか?まったく見当のつかない場所であった。


三浦(足の傷…治ってんな)


白装束に受けたはずの傷が見当たらない。三浦がいるのは上下のみ黒い金属で一面ガラス張りの潜水艦の中。出入口の類いは一切見当たらない。天井からは雀の涙程の明かりが照らされている。潜水艦の半径3mぐらいしかまともに見えない。


三浦(深海かぁ?ここは)


潜水艦の外は深い闇に包まれている。三浦は光も届かないような深さなのだろう、と考えた。


三浦(つかガラスって…割れないのかよ)


水圧によるガラスの損壊の可能性を心配する三浦。もしガラスが割れてしまえば溺れて死ぬより先に圧力によって内臓が弾け飛ぶだろう。だが強化ガラスで出来ているのか、そのような問題はなさそうだった。



「操縦」



三浦「やっぱ操作しないといかんのね…」


ガラスに取り付けられた黒いレバーに近付いて三浦は呟いた。二つの間にあるボタンは静止した潜水艦の電源をつけるものだろう、と三浦は押す。バイクのエンジン音にも似た音がどこからか聞こえた。慎重にレバーを動かす。左が上下左右の方向転換用、右が前進及び後退するもののようだ。垂直に浮上する専用のコントローラーがないのは奇妙だった。そもそも元々基準の向きが水平であったのか分からないが、自分にかかっている重力を考えればおおよそは合っているだろうと三浦は思う。


三浦(つーかどこ行けばいいんだろ…、こんな暗闇じゃあ上か下か、ってとこか?)


暗闇で前進後退でなにかを探すとは考えにくい。上に浮上すべきなのか、下へさらに潜るべきなのか。それは究極の選択である。どちらも際限がある確証はないし、一旦決めてしまえば引き返すのは難しいからだ。



「選択」



三浦(どうすっかな)


三浦を悩ませる問。二択に絞ってはいるものの、実際、脱出の手掛かりがあるのは三次元の全方向だ。前々回、前回の舞台ではステージそのものが密室だったため、解を探す行為そのものは困難でなかった。今回は違う。潜水艦という密室の中で深海という無限の空間。


三浦(これは恐怖どうこうってよりかは運な気がすっけど…)


がんじがらめになった三浦の思考はすぐに停止する。


三浦(何…だ…?)


波の動きが変わった、深海の闇が深みを増した。三浦がコントローラーを操作していないにも関わらず。どこへ向かうかという問題は保留中だが、潜水艦周辺の様子が変わった問題はすぐに解決された。三浦の左後方の「それ」だった。



「魚類」



三浦(でかっ!!)


単純な感想が頭を占めた。潜水艦との距離は5mが良いところだろう。それでも全体像が見えない程に巨大な影があったのだ。それも動いている。


三浦(鯨か!?)


大きなシルエットは上へ向かっているようで数秒かけて尾ビレを見せた。少なくとも特徴のある鯨のそれではなかった。胴体との比率や模様からはフナやマグロな気がしたが、三浦自身魚には詳しくない。三浦は鯨ならば巨体に納得出来たのに、と青ざめる。今回もやはり恐怖があった。



「発進」



三浦(逃げねーと!)


三浦は沈み気味に前進を始めた。潜水艦は音もなく動いている。進行レバーは倒し続けると少しずつスピードアップしていく。一定の速度ではないらしい。動作はなめらかだが遠い前方が見えないため、三浦はスピードを上げすぎないよう調節しながら魚から遠ざかっていく。

30秒を過ぎた頃だろうか。


三浦「もう大丈夫だよな…」


360度見回す三浦。暗いことには変わりないが現状波が静寂であるため良しとする。始めの場所からどれだけ進んだのかも、今動いている方向が閉鎖から逃げ出す糸口に繋がっているのかすら不明だった。


三浦(………)


底の見えない絶望が三浦を包む。


閉鎖は継続している。

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