第5回 「DTPってなに?」
ひなの「望月さん、DTPって結局なにしてるんです?」
伊織「ずいぶん直球ですね」
ひ「いや、言葉は知ってるんですよ? 制作のお仕事なのも分かってます。でも、ちゃんと説明しろって言われたら逃げます」
伊「逃げるんですか」
ひ「なので、逃げる前に専門家を捕まえました」
伊「なるほど。DTPは『Desktop Publishing』の略です」
ひ「はい」
伊「……」
ひ「それで分かった顔するのは無理があります」
伊「ですよね。ざっくり言うと、原稿とか写真とかイラストとか、そういう素材を実際のページの形にしていく仕事です」
ひ「ページの形?」
伊「たとえばカタログなら、MCから原稿や写真をもらいますよね」
ひ「渡しますね」
伊「でも、それだけだと原稿と写真があるだけです。見出しをどこに置くか、本文をどう入れるか、写真や図をどこに配置するか。そういうものを組んで、実際に読めるページにしていきます」
ひ「あ、そこからなんだ」
伊「そこから?」
ひ「私、原稿と写真を渡したら、もう半分くらい完成した気になってました」
伊「制作側からすると、そこからですね」
ひ「思ったよりスタート地点だった」
伊「そこから、見やすくしたり、読みやすくしたり、ちゃんとページとして成立するように整えていきます」
ひ「じゃあ、決められた場所に文章とか写真を置いて終わり、ってわけでもない?」
伊「そうですね。文章が長ければ入りきらないこともありますし、文字と写真が詰まりすぎれば読みにくくなりますし」
ひ「そこも調整するんだ」
伊「します。もちろん案件によって、どこまで決まった状態で来るかは違いますけど」
ひ「ということは……私たちが『ここ、一文だけ追加でお願いします』って言ったときも」
伊「一文だけで済むこともあります」
ひ「その言い方、済まないこともありますね?」
伊「ありますね。増えた分だけほかを動かさないと入らないとか」
ひ「うわ。今度から『一文だけなんで』って軽く言うのやめよう」
伊「別に言ってもらって大丈夫ですよ。難しければ難しいって返すので」
ひ「その辺はちゃんと言うんですね、望月さん」
伊「言わないと後で困るので」
ひ「なるほど」
伊「それに、DTPだけで全部作ってるわけでもないです。イラストならイラストの担当がいますし、翻訳や校正もあります。それぞれとやり取りしながら、一つの制作物にしていきます」
ひ「じゃあ……原稿とか写真とか図とか、いろんな材料を集めて、実際に読めるものにするのがDTP?」
伊「かなりざっくりですけど、最初はそれくらいでいいと思います」
ひ「おお。ちゃんと説明できる気がしてきました」
伊「逃げなくて済みそうですか?」
ひ「たぶん。あと、次に原稿を渡すとき、その後になにが起きてるかも少し想像できそうです」
伊「それなら十分ですね」
ひ「よし。DTP、理解しました」
伊「じゃあついでに、締切までどれくらい必要かも想像してもらえると」
ひ「最後だけ急に切実ですね」
伊「そこは大事なので」




