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ヒロインの事情

「それにしても、死人であるエスメラルダの代わりだなんて、死にに来たようなものよね」

騒ぎがなくなったからか、メイちゃんの顔色がだんだんと良くなってきた、そんな彼女を見て、はぁとコーデリアちゃんがため息をついた。

「…エスメラルダ嬢って、3日前に亡くなってるんだよね、でもメイちゃんを送ってきたってことは、それは秘密にされてる、のに、どうしてうチュロス達は知ってたの?」

とういか、コーデリアちゃんが知ってたことも驚き、確かにおじ様は爵位が伯爵で騎士団の中でもかなり上の立場だからチュロスが知ってることを知っててもおかしくない、でも子供にそんなことを簡単に教えるような人じゃない。

あたしの問いに二人はおんなじ顔、すこし困ったような顔をして、互いを見た。

「ルイちゃんなら言ってもいいわよね、親父様」

「……そう、だな、ルークも嬢ちゃんには加入して欲しいと言っていた、ただ機密事項だ、そこのお嬢さんから離れたところで話させてくれ」

「……」

シャノンは無言で出ていった、それだけ、他人に言えない話なのだろう。


あたしたちは部屋の隅に椅子を移動させて、声を潜めながら、会話を再開させた。

「…ルークさんがあたしに加入してほしい、っていってたことは、何かしらの国の組織が動いてて、二人もその一員ってこと?」

「理解が早くて助かるわ、まあでも重要なことはあんまり知らないの、アタシ達はアンタのお婆様、ナデシコ様の手足みたいなもんよ」

ほう、うちの鬼ば、お婆様の部下……え?

「えっと、なんで、お婆様?」

「……きいてなかったのか」

「うん、全く」

なーんも聞いてない、お婆様、何でもずばずばいうけど、結構口固いんだよね…確かにあたしに秘密にしてることが、あれ?なんだ、っけ?


「……む、無理、頭パンクする……」

えーっと、つまりは、お婆様は若い時は女だてらにめちゃくちゃ活躍していた将軍で、防衛戦の時に保護したお爺様に惚れて軍を抜け、元気に専業主婦ならぬ専業夫人、その傍らで戦争の時は口出しまくり……それでもって現在は国のために働く秘密組織のトップで、ルークさんは引退してからその補佐をしてて、コーデリアちゃんは実働部隊としてスカウトされて、主に潜入任務してたんだとか、あれ、世界観変わった?


「ここの侍女になれたのも、そのツテなのよ」

「はえぇ…」

ぱちんとウインクをするコーデリアちゃんに感心したような気の抜けた返事をする、まぁ、確かにそうか、綺麗だけど190㎝はあるムキムキだもんね、うん、謎が一個回収されたよ、うん……

「エスメラルダ嬢の家を、監視してたってこと?」

そして、監視するに足る理由がある、そういうことか。

「アタシ達もよく知らないんだけどね、王家の秘密を一つ知っているらしいの」

「王家の……え、なんで?」

「俺達が知っているのはそれが一介の男爵が知れるわけがない、国が滅びるほどの王家の醜聞ということだけだ」

どう漏れたか分からない故に監視することしか出来ないということか、ヒロインの元職場…一体どんな秘密を抱えてるんだろう。それにしても、ゲームでは本当に後宮入り間近で行けなくなったからって理由だったのに、死んだからっていうのは、ただ描写されてなかっただけ?それが世界が具現化したために、つじつまを合わすように…?


エスメラルダ嬢、彼女の描写は少ない、引きこもりがちお嬢様、ヒロインは見た目がそこそこ似てたから選ばれた、だから小柄でふわっとした子だったんだろうな、彼女のうわさは少ない、本当に引きこもりだったのか、茶会でも夜会でもその姿を見たものはいないとか、確か五つ上のお姉さんもいたけど、それも…あれ?エスメラルダは男爵の一人娘じゃなかったか?でもそれこそコーデリアちゃんが世話をやいたときに「エスメラルダ様のお姉様も五つも離れているからか世話焼きだった」って、ヒロインちゃんのモノローグが…没設定?確かにそこでしか言及されていないからそれもあり得る、うーん?

ってか、漏れ方が分かっていないけど、醜聞を知ってると王宮側が知っているのは男爵が自分から言ったってこと?なんでそんなリスクがあることを?交渉材料として使った?


「もしかして、醜聞を引き合いにだして、自分の娘を後宮入りさせるように言ったとか?」

だってだってだって!本当に噂聞かないんだよ?ゲームではあったことある令嬢が何人かいたけど、本当に少なかった、話したことあるような人はいなかったんじゃないかな?そんな事情でもなかったら確実に選ばれない。それにすぐばれそうな替え玉してるし!娘を後宮入りさせなくちゃいけない、何か理由があるんだろう。


「流石ルイちゃんね、大正解よ」

私が核心をつけば、二人の雰囲気がより重いものになる、手加減されていたとようやく気づいた、手加減というよりも言うのを躊躇われる内容だったのだろう、あまり、いい話ではない、そんな……

「…正確に言うと、そのまま正妃にするように言ったの」

「………は?」

頭にカッと血が昇るのがわかった、弱み握ったからって社交界にほぼ出ないような男爵の娘をそのまま正妃に!?

「……そうなると思った」

「だって、そんなの!この王国を堕とそうとしてるのと同じじゃない!」

つい、あたしは叫んでしまった、メイちゃんは起きなかったみたいだけど、だとしても……

「…そうね、そんなことになれば、公爵、伯爵、侯爵家の連中は確実に黙っていない、それに…」

「……うん」

この国が終わることだって十分あり得る、そんな話だ、どうしよう、明らかに別の娘で、メイちゃんは証言しろって言ったらしてくれると思う、でも、そうしたら国は、どうなる?醜聞が発表されたら……


「……あたし、行かなきゃ」

「ちょっと!どこに行く気よ!?」

「…ジュダス家、『娘さん』をくださいって、言いに行く」

ジュダス男爵、それが、メイちゃんの元雇い主、『娘』としている以上、男爵に許可を取らなくちゃいけない、ニールとお母様に任せる予定だったけど、あたしが行った方が早い。

本当は後宮に入った以上、そう簡単に外出出来ないんだけど……そんなこと言ってる場合じゃない、

『あたし』じゃないと男爵を黙らせられない。


「おじ様、馬と服貸して!」

「……嬢ちゃん、あのな」

「わかってる、性急な行動だって、でも、ここで見捨てたら、国が、終わっちゃうかもしれない」

だってさっきから目の前に、文字が現れている。


ージュダス家に真実を突きつけに行く

ーお祖母様達に任せる


選択肢があるってことは、何か大切なことなんだ、お祖母様達に任せてたら間に合わない!


「お願い!」

「ルイちゃん、男爵家は本当に得体の知れないところよ、正直何故この子が使用人になれたのか分からない程、閉鎖的なの、貴方を無事に返してくれるか分からない」

「でも、嫌!内乱なんて、見たくない、チュロス、おじ様、ミオード、シャノン騎士団の皆がこの国の人達を傷つけるところなんて見たくない!」

内乱になったら、騎士団は国を守るために、戦わなくちゃいけない、反旗を翻すと決めた貴族じゃなく、その領地の兵士、領民を殺さなくちゃいけない、そもそも騎士団の人達の中でも分裂するかも。そんなの嫌だ、こんなバカバカしいこと、あって溜まるものか!


「ルイ、行くぞ」

威勢を切ったあたしの体がふわっと中に浮く、違う、抱き上げられているんだ。誰に?いや、見なくても、声を聞かなくてももう分かる。

「シャノン!お願い!」

止めるおじ様とコーデリアちゃんの声を無視して、走るシャノンにしがみつく。

自分の騎士にお姫様抱っこをさせて、しかも手を回すなんて、こんな姿、きっと王妃を目指す令嬢として相応しくない、でもいい、だって、あたしは間違えたくない!


「あんただけはオレが絶対に守る、だから、『ご褒美』は弾んでくれよ?」

あっという間に厩舎についた、ここまで運び、あたしを自分の馬の後ろに乗せた時、ずるいことに断りづらい時にそんなことを言う……褒美、褒美か……

「じゃあ、あたしはこの国ごとシャノンを守ってあげる、それが報酬でいい?」

「……仕方ねぇ、後ろからのその乳の感触で……」

「…今からチュロス探すか……」

うん、その方がいい気がしてきた、というか、その方が話が早く進みそう、そう思って馬から降りようとした、けど、出来なかった。

「冗談、だから、行くなよ」

腰に手が巻き付いていて、あたしの体が前のめりになるだけで終わった。

先までのふざけが入った声とは違う、低くて、強引で……あたし、これ苦手だ。チュロスともニールと全然違う、みんなあたしにこんな風に接しないから、慣れない。

「……わかった、早く、行こ?」

「ん、ルイ様」

怖がるな、あたし、こんなんで怖がってたら国なんて救えない。

………あたし、ずっと周りに甘やかされてたんだな。












 

シリアス展開がつづきます

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