第179話 リカルド初仕事
「リンドバーグ領から、バスの乗り入れの依頼があったぞ」
やはり、ダンジョン踏破による情報公開と、ダンジョンホテルの接続が多大な影響を及ぼす様で、冒険者が次々と押し寄せているらしく、街の開発も急ピッチで進められているらしい。
「路線については、商会のリンドバーグ、ブルノ、ペルンの3つの支店と打合せ中だが、とりあえずバスを最低でも30台位は作っておいてくれないか?」
「わかりました。その前にリカルドを呼んでもらえませんか?」
「リカルドを?」
「リカルドに、私のスキルや魔法をこまめに覚えさせてます。そろそろ、そのスキルを使う事に慣れさせた方がいいと思うのです」
「そうだな。二人でやれば負担は減るし、拡大も楽に出来る様になるな?」
「ええ。備蓄することも可能になります」
「わかった」
まず、亜空間倉庫の作り方とその倉庫を魔石に封じ込める作業から始まった。リカルドはかなり優秀で、その作業をものの数秒でやってのけた。
次に、物体複写のスキルを使って携帯電話とマイクロバスの製作に取り掛かった。これも難なく、クリアしてみせた。
そして、図面を読み込む3Dプリンターを使ったバスの製作もクリア出来たのだが、終了後に二日間寝込む事態となってしまった。
「ごめんなさい…二日間も」
「私も最初は、そんなものだったよ。ホテルを作った時なんか、四日間寝込んだからね〜。魔力量が増えれば、一日で回復出来るようになるよ」
「今朝起きたら、魔力量が倍になってました」
鑑定してみると、魔力量が既に150万に達していた。リカルドの成長の早さには、ディアナも驚いた。
「私以上に規格外だわ…」
リカルドは学校がある為、帰宅して寝る前に魔力が尽きるまで作業をしている様で、週末に会った時には魔力量が500万近くになっていた。
週末、ダンジョンホテルを案内しながら、部屋やバックヤードの増設を一緒に行い、ついでにドラゴンの魔石に魔力を注入して帰った。
「お仕事のお手伝いが出来て、嬉しいです」
「我がグラディウス商会は安泰だな」
侯爵は、ディアナとリカルドからバス500台が入った亜空間倉庫の魔石を受け取った。
製作の報酬は、それぞれの口座に半分ずつ入金された。
リンドバーグ領でのバス乗り入れが決定し、バス停や車庫などが設置され、25台のバスがリンドバーグ領内を走る事になった。
ダンジョンホテルの方も、部屋数や1階カウンター、従業員がスタート当時の3倍になっていた。これまで、ホテルの事務関係はグラディウス商会内で行われていたが、従業員の増員と共にホテルのバックヤードに経理及び庶務課を置く事になった。
また、1階のテナントにグラディウス商会直営のマジックバッグ店を出店した。
「やっぱり、1階に軽食や甘味と飲み物が摂れるカフェが欲しいなぁ…お父様、出店してくれそうな店に心当たりありませんか?できれば、テイクアウトもできる店で」
「あぁ、女性従業員からアンケートを採ってみるか?」
「お願いします」
「ホテルをもう一件作るのは無理があるか?」
「出来なくは無いのですが、ドラゴンの魔石を入手できなければ維持が難しいかと」
「現況では、1日に2個のペースで魔力の消費がされているようだが、どうなんだろうか?」
「ダンジョンからも少し魔力を貰って消費が1日に2個、維持するにはギリギリです。今のドラゴンの魔石の数が13個ですので、一週間程度しか持ちません。が、策はあります」
「策?」
「リカルドに少しずつホテル建設をさせ、その間に私がドラゴンを狩りまくる…?」
侯爵は苦笑いで頭を抱えた。
「テナントのクオリティが下がる事も懸念のひとつになるか?」
「そこも考えなければなりませんね。とくに、装備屋はラルフ装備店が基本となってしまった今では、それ以下の店を置く事は出来なくなりましたし」
何しろ、国内にあるダンジョンの半分もまだ繋げてはいない状態なので、2件目を作るという事に着手どころか予想すら立てる事ができないでいた。
結果的に二軒目のホテル建設計画は保留となった。
だが、この話を知ったリカルドは、こっそりと亜空間にホテル建設を始めた。




