第173話 囚人の塔1
日常が戻り始めた頃、ダンジョンホテルの支配人から、部屋の増設依頼があった。
コピースキルを使い、個室を50部屋と5人迄のパーティー部屋を20室、6人以上のパーティー部屋を10室追加した。
それに応じて、ドラゴンの魔石も3個追加した。
ベアトリーチェと沙織が学園に戻ったため、ダンジョンホテルへの入り口を繋ぐ作業は一人で行う事にした。
かねてより依頼が強くあったリンドバーグ領に入り、3つあるダンジョンのひとつ目に向かった。
そのダンジョンを前にして、ディアナは驚きを隠せなかった。黒い森は別として、これまでに見たダンジョンというのは全て地下にあった。しかし今、ディアナが前にしているのは、80メートルにも及ぶ、高い塔になっていたのだ。簡易冒険者ギルドで許可を貰い、マップを手にした。最高到達点が20階層の、アンデッド系の巣窟、通称「囚人の塔」である。
ルーキウス王国に編纂されるずっと以前の話。この地の囚人を収容した牢獄だった。ところが、魔族の襲撃に遭い、囚人ごと打ち捨てられたものだと言う。その亡骸が放置され、長い時を経てアンデッド系のダンジョンになったのだろうと言われている。
「じゃあ、サクッと行きますか」
内部は石造りの牢獄となっていた。広さはあまり無いが、通路を真ん中に、左右に2つの大部屋があった。鉄格子は既に朽ちていて、触ればすぐにでも崩れ落ちそうだった。
1階層〜3階層は、ゴーストとスケルトンが出没した。ゴーストは浮遊する半透明の霊で、浄化魔法か回復魔法を使えばあっと言う間に倒せるのだが、剣で切り裂いても霧散するだけですぐ復活してしまう。スケルトンは、浄化魔法や回復魔法で弱体化は出来るが、胸にある魔石を壊さなければ倒せない。
スケルトンのドロップアイテムがほぼ皆無なのに対して、ゴーストは様々な魔石を落として行った。
4〜6階層は、スケルトンナイトとゴーストとグールが現れた。こういう場で、人型の魔獣と遭遇するのは気分的に嫌な気になる。スケルトンナイトのドロップアイテムが、鋼の剣と魔鉄の剣の2種類あった。
「魔鉄の剣は高く売れそうだな」
7〜9階層は、スケルトンナイトとブレードウルフとグールが出現。グールの落とす腐食液を大量に入手。そして、角自体が武器となるらしいブレードウルフの角20本を入手。
10〜12階層、シャドウゴーストとスケルトンナイトが出没。黒い影のシャドウゴーストはゴースト同様に魔法で倒さなければ霧散して復活するものだったが、回復魔法と浄化魔法のどちらで倒すかによって、ドロップするアイテムが違うようだ。回復魔法を使って倒した場合、ハイポーションか魔力ポーションもしくは回復の魔石のいずれかを落とす。浄化魔法で倒した場合は、浄化の魔石か魔獣よけポーションを落として行った。浄化の魔石は珍しく、アンデッドよけにも日常生活にも使える優れものらしい。
「沙織の熟練度上げに持って来いの場所だな…あとでマップを渡しておこうっと…」
13〜15階層、シャドウゴーストとシャドウナイト。シャドウナイトは、シャドウが武器を持った感じだが、力的には大差ない様に感じた。ただし、この辺りから各部屋に1個ずつ宝箱が置かれていて、どちらもミミックだったが倒せば宝石があしらわれた箱や飾り剣などが入手出来た。
16〜18階層、アシッドスパイダーとシャドウナイト。天井や死角から酸を飛ばしてくるアシッドスパイダーの攻撃が厄介で、結界を張って無いと確実に痛い目に遭わされていただろうと思う。ドロップアイテムは、それなりに需要がある強酸液10本と、浄化の魔石3個。
「意外とダルいなぁ、このダンジョン…」




