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傷だらけのGOD 樹海の怪 地獄のサバイバル!  作者: 吉田真一
第7章 夕やけ
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第8話 召集

何だ?......


美緒と圭一の二人は、示し合わせていたかのようにポケットをまさぐり始める。休みだろうが、仕事だろうが、起きていようが、寝ていようが、スマホだけは絶対に体から離さない。それは昨今の営業マンと何ら変わりは無かった。


さては何かあったか?......二人はポケットからスマホを取り出すと、幾分緊張した顔付きで画面を注視した。


「「エマさんからだ」」


二人は顔を見合せ、ほぼ同時に声を上げる。


「......」


「......」


未来は、二人のただ事ならぬ様子に思わず無言で唾を飲み込んだ。


なんか良からぬ事のような......憶測が憶測を呼び、ろくでもない事ばかり考えてしまう。考えたところで、自分に何が出来る訳でもない。まないたの鯉のような状態だ。やがて美緒が顔を上げ口を開いた。視線は未来に向けられていた。


「未来。新宿の事務所に移動だ。すぐに支度しろ」


「えっ、今ですか?」


「そうだ。樹海に潜り込んだポールさんに動きがあった。エマさんからの緊急召集だ。すぐに出発するぞ。急げ」


「はっ、はい。解りました」


未来は即座に立ち上がると、自分の荷物をそそくさとまとめ始めた。


「おい、忘れ物だ」


圭一はニヤリと笑い、雑誌を未来の荷物の上に投げた。女の二人暮らしのには無用の長物だ。


皆が慌ただしく動き回る中、ももはどうしていいか解らない。


「お母さん......ももは......どうしたらいいの?」


眉毛をハの字なの曲げて、何とも言えぬ愛らしい困り顔だ。


「あっ、も~ちゃんごめん!」


美緒は持つ物を投げ捨て、ももの前でひざまずいた。自分はちょっとワイルドな探偵であると共に、人一人の母親でもある。両立を誓った一年前の事を決して忘れてはならない......こんなんじゃ母親失格だ! 美緒は阿修羅の顔から即座にマリア様の顔へと変貌させた。


美緒は両手で紅葉のようなももの小さな手を取り、視線をももの目の高さに合わせた。


「いい、も~ちゃん。よく聞いて......お母さんはこれから熊五郎おじさんと仕事なの。今度はちょっと長くなるかも知れない。その間おばあちゃんのところに行ってて欲しいの。も~ちゃんはおばあちゃん大好きでしょう。大丈夫よね」


美緒は溢れんばかりの笑顔を浮かべ、諭すように語った。


「うん......解った。でも......今度は居なくならないでね」


「......」


美緒は思わず言葉を失った。自分はももと暮らし始めてからと言うものの、一度たりとも居なくなったりはしてはいない。亡くなった実の母、即ち自分の姉である恵子の事を言っているのであろう。大好きだった実の母が亡くなってから、まだたったの一年。そう簡単に忘れられる訳も無かった。


「も~ちゃん。あたしは居なくなったりはしない。なんてったってあたし強いから。そう簡単に死んだりはしないよ。だから安心して」


美緒は眼力にものを言わせて、自分の力強さをアピールした。


「うん......必ず戻って来てね。約束だよ」


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