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傷だらけのGOD 樹海の怪 地獄のサバイバル!  作者: 吉田真一
第4章 オーラ
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第1話 ゴンドラ

挿絵(By みてみん)


「ちょっと、あれ貸して。あれ!」


美緒は赤鬼のごとく顔を紅潮させ、未来に向かって叫び声を上げる。


「あれっ、あれって何?!」


未来は雪降る極寒の中、トランクス一丁で慌てふためいた。全身から湯気が立ち上がっている。しかしこの状況下において、寒いなどと弱音をはいている場合でもない。


「銃! 銃だよ。早くしろ!」


「あっ、はっ、はい!」


未来は凍える手で危うく銃を落としそうになるも、気力で踏ん張り美緒に手渡した。美緒はニヤリと不適な笑みを浮かべると、素早く銃口を頭上へ向け、間髪入れずに引き金を引く。


バーン! 


雪夜の沈黙を打ち破るかのように、銃声が辺りに響き渡った。突然の威嚇射撃......さすがの狩人逹も怯みを隠せない。そして僅かながらではあるが、後方に一筋の突破口が見える。


「走れ! 死ぬ気で走れ!」


後方を指差し、未来に檄を飛ばす美緒。


「はっ、はい!」


2人は僅な隙間を抜けるべく、一気呵成に駆け出していく。尻に火が付くと、人間は思わぬ力を発揮するものだ。ローギアから一気にトップギアへとシフトチェンジしていく。


一方、狩人達はラグビーのディフェンダーのごとく、横っ飛びに掴み掛かるが、彼女らに手を触れることは出来なかった。


しかし......彼女らが走り進む方角は、階段の塔屋とは全くの逆方向。階下へ逃れる為には、狩人が無数にたむろす階段の塔屋を抜けなければならない。


他にも階下に逃れる術はあるのだろうか?


まさか屋上から飛び降りるつもりなのか? 


未来はそんな疑念に捕らわれるも、ただ美緒に付いていく事しか術を知らなかった。


「こっちだ!」


美緒が指を指した方向......その先には、窓ガラス清掃用のゴンドラが掛けられていた。暗くて余りよくは見えないが、所々穴が開いていて、真っ赤に錆び付いている事位は遠目に見ても分かる。


「まっ、まさか......こっ、これで降りる......とか?!」


「そうだ。早く乗れ!」


後ろを振り返れば、黒服の狩人逹がもう目と鼻の先に迫って来ている。複数の狩人達が蹴り上げた雪が、煙幕のように舞い上がっていた。2人が必死ならば、狩人達も必死だ。彼らが浮かべている鬼の形相を見れば、それがすぐに解る。


「待ちやがれ!」


これは捕まったら、バラバラにされる!......未来は、寒さを忘れる程の恐怖に全身が縮み上がった。


一体この連中は、何でここまでしつこく青年を追い回すのだろうか? この青年は何を知っていると言うのだ? そして......この青年はなぜ青島麗子を殺そうとしたんだ?


自分の意思で実行を企てたとは到底思えない。ただ、今はそんな事を考えている場合ではない。


まずはこの窮地を抜け出さなくては!


やがて青年は美緒に言われるがまま、錆び付いたゴンドラに足を掛かた。ミシミシと嫌な音が立ち上がる。安全かどうかなど、悠長に確認している時間などある訳もない。


「南無阿弥陀仏......」


未来はお経を唱えながら、覚悟を決めてゴンドラに飛び乗った。ドンッ! 古びたゴンドラに鈍い音が響き渡る。結果論になるが、底が抜けなくて良かったと言えよう。


「よし!」


美緒は未来がゴンドラに乗り込んだ事を確認すると、下降のレバーを一気に手前に引いた。すると、


ガタン、ガクガクガク......ゴンドラは鈍い音を立ち上げながら、ゆっくりと下降を開始した。


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