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悪役少女の歌声はお気に召しますか?  作者: 星花
1章 学園にはまだ程遠い?
12/13

12,本の精霊?

変な時間ですが投稿しちゃいます。かなり長いのですが読んでいただければ嬉しいです!

 入ってすぐの受付らしいところで、きっちりとしたスーツを着た男性から三人分の入館許可を貰うと、三人して私の魔力の『闇の魔法』について記された本がないかとだだっ広い図書館の中を静かに進んでいった。


 紙の変色を防ぐための仄暗い明かりに照らされながらも見える見出しの文字の一つ一つを確認し、気がついたら私達は図書館の奥の方まで来ていたらしく、入り口あたりにはそこそこいた人影も全くないことに気がつく。


 仮に人がいたら失礼だからと、そっと息を潜めながら肩にいるクロエと後ろについていたダーシェイさんに話しかける。


「なんか…すごく奥の方まで来ていると思わない?」

「そうだね…普通なら闇魔法関連の本は他の魔法書と同じところにあるはずだろうけど…。」


 不思議だなぁと眉をひそめながらも話すダーシェイさんのその言葉に驚きながらも、私は言い知れない違和感のようなものを感じていた。


 なんとも言えないが…強いて言うなら、何者かが私達を、意図的に人影の少ない奥の方に誘っているような感覚。だけどそんなことをできるような人がいるわけない…いたら怖すぎか、私はその考えをなくそうと首を横に振ってまた本を探そうと前を向き…






 不意に目が奪われるように、ある本に目がいった。





「…シャルル、何かあった?」

「いや…この本…。」


 私の様子に疑問を抱いたらしいダーシェイさんが不思議そうな声で私を呼びかけるが、私は夢の中にいるような感覚になって、フラフラとその目に止まった本の前に立ち…棚からそっとその本と抜いた。


 するとどうだろう、本がひとりでにパラパラとページをめくっていき、ダーシェイさんやクロエが悲鳴に近い声でシャルロッテと私の名を呼ぶ中、私はその本を離そうともせず、ただ目の前の光景に呆気にとられていた。


 パラリとページをめくる勢いがなくなったと思うと、ポンとそのページとページの隙間から黒髪で八重歯が生えた貴族のような風貌をしたクロエと同じ妖精のような小さい男の子が現れ、私の姿を認識したと思うと…不敵そうな笑いを浮かべ、面白いおもちゃでも見つけたような顔になって口を開く。


『アンタ、俺の事分かったのか。名前なんていうんだ?』

「私?…私は、シャルルよ。」


 言葉に詰まったが、すんでのところで私はシャルロッテではなくシャルルと言うことができた。しかしその現れた男の子は違うなあとニタリ悪魔のような笑みを見せるなり、本から飛び出して私の顔の真ん前に来る。


『いいか、妖精の前で嘘を言うのが一番いけねぇ。まぁ礼儀ってのもあるか、俺はアルト。』


 アンタは?と顔の前で凄まれて、少し怖くなった私はちらりと後ろで様子をうかがいながらも警戒していた二人に視線を送り、それからしばらく悩んだ末にシャルロッテ・フィルフィテッシャオ、その名前を目の前の相手…アルトに告げた。


 それを聞いたアルトはそれが偽名ではないと分かったのか満足そうな笑みを浮かべて腕を組むなり、後ろの二人にも声をかけた。


『そっちは…おお、植物の妖精か。んでもってそっちの奴は…誰だ?』


 そりゃ知らないでしょうに。なんとも当たり前のことを大きな声で言うあたり、少し抜けてそうな感じがする。クロエはパタパタ羽を羽ばたかせ私の肩にピッタリと寄り添ってくると、警戒心は少し薄れたのか、それでも真剣そうな顔でアルトに話しかける。


『僕はクロエ。アルト、アンタは…特殊な妖精だなぁ。』

『おっ、分かっちゃう?そうそう、俺ちょっとそこらへんの妖精とは違うんだよ。』


 クロエの問いかけに何故か嬉しそうに話すアルトは、チラッとダーシェイさんを見てソワソワと体を左右に揺らしながら相手から話しかけてこないかと様子をうかがっていた。


 それを見たダーシェイさんは、次第に呆れたような顔になっていって…仕方ないとばかりにため息をついては真っ直ぐにアルトを見つめた。


「俺はお嬢様の従者のグレッグ・ダーシェイ。あとすぐバレると思うから言うけど、この世界を作ったような集団の一人だよ。」

『おうおうまさかすぐに言ってくれるとは思わなかったぜ。』


 アルトは特に驚くわけでもなくダーシェイさんの話を聞くと面白そうに笑ってみせて、私の手にある本の上に戻って話を始める。


『何から話そうか〜』

『アンタの正体でも教えてくれれば嬉しいんだけど。』

『あ、それもそうだな〜。グレッグも多分俺のこと分かんねぇと思うし。』


 またハハッと笑いながら、アルトはダーシェイさんをチラッと見てから、私達それぞれを見ながら自分は『本の精霊』なのだと、あまり信じられないようなことを話す。


「本の、って言うのも気になるけど…『精霊』…?」

『何だよ教えてねぇのか?おいクロエ、教えてやれよ。』


 上から目線なアルトにはいはいと返事をしながらクロエは精霊というのは本当にちょっと不思議で妖精とは違った存在なのだという。妖精は自身で適正魔力を操ったりしながら生物と生きていくが、精霊にはそもそもの魔力といった概念がないらしい。代わりに彼らにはある力がある。


 それはちょうど私やダーシェイさんが使えるような、属性なしの特殊魔法が使えるということであった。だから『多言語者』でも妖精でもないダーシェイさんもアルトと話せるらしい。アルトは私と同じ『多言語者』を使えるらしかった。まぁそっちのほうが話しやすくて良いんだけれど。


 そして中にはかなり強力な力を持つあまりに物の中に封印されたような精霊もいるらしく、数も少なくないという。その少なくない数のうちにアルトは含まれていたのだとクロエは話す。


 問題は、精霊の封印を解くにはかなりの力が必要らしいが…まぁ私は悪役令嬢なので特に多くの魔力を持っているわけではない。なのに封印をおそらく解いてしまったというが…これはどういう事なのだろうか?


 聞くと、アルトは私の中に眠る魔法が関係してるんじゃないかと答える。自己紹介で闇の魔法を使えるとか、魔法を使えないとか話していないのにと驚いていると、アルトは余談でもするように自身を封印していた本の上に軽く座る。


『俺もうここ数百年は本と一緒に過ごしてたんだ。しかもこの本も少し変わっててな、新しい情報がひとりでに書き換えられていくんだよ。それもここに来る人たちの情報とかも。』


 そういうなり、アルトはバツが悪そうな顔をする。自分が悪いわけでもないのに、勝手に相手のことを知ってしまうということには気になることというか、引け目のようなものは感じているようだ。


 なんとなく、慰めようとした私はアルトの頭を指で撫でる。アルトは何すんだ!と叫ぶが、その顔はわずかながらも柔らかくなっていた。


『…まぁ俺の事は妖精でも精霊でもどっちでもいいんだけど。そうだ、ここには何探しに来たんだ?』


 ここにある本なら大体分かるぜ!と自慢げに話すアルトに対して、私は素直に闇の魔法についての本を探していると伝えると、アルトはふむふむと目を瞑って考え込んでから、何やら苦い顔をして私を見るなり悪いなぁという。


『どうやら闇魔法に関する本は俺のこの本しかないみたいだ。』

『何それ、どういう意味?』

「そんなはずないと思うけど…。」


 アルトの言ったことに対してクロエとダーシェイさんがそれぞれ驚く。もちろん私もどういう事かと眉をひそめてアルトを見つめる。アルトは言いにくそうな顔をしながらも、重い口を開いていってみせる。


『実は闇魔法はそんなに実例のない希少魔法だったんだ。だから国はそのことを危惧して、闇魔法関係で悪用が起きないようにとその手の本は全て回収されたんだ。』


 この本を除いてな、と自身が座っている本を指でさし、パラパラとページをめくりながらもそのまま話を続ける。


『きっとシャルロッテがこの本に惹かれたのも、この本が呼んでたのかもな。』

「…呼んでた。」

『そ、なかなか実例のない闇の魔法を持つ人物に。』


 言われて、確かにあの感覚は呼ばれたと言うのが正しいのかもしれない。そう考える。でも一体アルトは何のページを探しているのだろうかと不思議に思った頃、アルトが小さくあった…とつぶやく。


 クロエとダーシェイさんとでそのページを覗き込むと、そこにはつらつらと達筆な文字で何やら論文のようなものが記されていた。文字の認識などはできる。しかし見慣れない文字だなぁと私が不意に文字の一部分を眺めていたその時だった。


_【私には、闇の魔法があるのだと言われました。】_



 見慣れないはずの文字を、言葉として認識したその瞬間に、私は思いっきり顔を上げてはっと息を呑み込みどんどんと文字を目で追っていく。きっとクロエとダーシェイさんからしてみれば見慣れない文字程度で終わるのだろう。だが私は『多言語者』であるから、自然とその文字を理解することができる。


 必死に文字を追う私を見て、三人はそっと息を呑みながら静かに見守っていた。


_【✕✕✕✕、✕、✕✕ 実験台にされている。どんな魔法を使うかは未知数であるから。 ✕、✕✕ 今日は少し体調が悪い。けれどそれを言ったところで彼らは実験を止めない。




  ✕✕✕✕、✕✕、✕ 今日、私の、力がわかった。それは私のもう一人の私。影の私、闇の私。 その人は私を見るなり、もう怖くないよと笑いかけた。 騎士のような彼女は、その声は、私に似ていた。でも少し違う。影から生まれたもう一人の私。


  ✕✕✕✕、✕、✕ 影、シャドウと呼ぶのは気が引けるので、私は彼女を✕✕✕✕と呼ぶことにした。彼女は笑った。それを見た私は笑ってしまった。


  ✕✕✕✕、✕✕、✕✕ 私ももう長くない。そう言うと彼女は静かに頷きながらも、泣いてくれた。私が私のために泣いてくれた、なんて。他の人に言ってもおかしな顔をされるだけかしら?





  




彼女は亡くなった。✕✕✕✕、✕、✕ _彼女に安らかな眠りと、弔いを。

                                                                  ✕✕✕✕ 】






 読み切った私は、思わずため息をついてしまった。私は見守ってくれていた三人にそっと笑いながら取り敢えず読めたというと、内容を大雑把に話しておいた。話をしたあと、クロエとダーシェイさんは少し悲しそうな顔をした。当然だろう。闇の魔法の未知さ故に…この人は、実験台にされていたのだ。日付からして随分と前の事ではあるが。


『…どうだ、何かわかったか?』


 言いながら心配そうな顔をして私の顔を覗き込んでいるアルトに、頷いて答える。少なくとも自分の中に眠るその可能性には気づくことができただけなかなか良い収穫だったんじゃないかと思う。


 彼女が誰かも、執筆者が誰かも分からない。けれどこの本と巡り会えたことの幸運さと同時に、闇の魔法に関する本が回収されたのはかなり良い判断だったんじゃないかと思う。実際昔本当に実験が行われていたのだから、第二の犠牲者が現れるかもしれない。それを防ぐために、国は回収という策をとったのだろう。


「…きっとまだ私には魔法は使えないかもしれない。」


 本に載っていた話からして、ある何かかきっかけでこの執筆者である闇の魔法の持ち主はその魔法に目覚めた。そのきっかけはどういうものなのか等は私には分かりかねないけれど、その事は確かに分かった。話を大まかに知っている三人も、それに同意してか頷いてくれる。


「けれど私は、私が何をできるのか…それを知りたいとも思う。けど、高望みはしない。」


 それを知る事ができた時に、その事についてよく知ろうと思う。だからまだ今は分からないままでいい。その遠回しな私の思いに気が付いてか、クロエはシャロらしいと言って小さく笑ってみせた。他の二人も笑って、アルトはなんだか安心したような顔になっている。


 私は今まだ7歳なのだ。自身の力量くらいはわかっている、だからこそ無理をせずこの力と付き合っていこうと思った。私はぐっと手を握りしめて、自分の血に流れているであろう魔力を感じる。あたたかくて、でも掴みようのないそれに私は言い知れない決意のようなものを抱いた。


 ふと、カツンカツンという音にハッとなって顔を上げる。クロエやダーシェイさん、本を閉じ両手でそれを大事そうに抱えているアルトが慌てたような顔になっている。特にアルトは元からここに居たとしても誰にも知られることなく存在していたのだから、ここで図書館の人がやってきたら怪しまれるに違いないだろう。


 なにせ妖精を連れているのも不思議がられるのだ。妖精は気まぐれで、そして人とはあまり関わりなく過ごすというから、受付の人には好奇心で溢れたような目で見られたのだ。


 この状況をどうやって切り抜けよう。そうぐるぐる頭を働かせた果てに私は強引にも私の後ろの方にアルトを隠して、上手いこと隠し通そうと強硬手段に出た。それを察してかアルトは身を縮めて私の影に隠れ、本はそっとダーシェイさんに渡した。ダーシェイさんはそれを黙認してそっと本を手に取り、それを大事そうに腕の中に抱え込んだ。クロエはというとあまりすることがないようだが、アルトの前に飛んで上手くサポートに徹してくれていた。


 見事なまでの連携でフォーメーションをとった私達は、足音のする方を警戒していた。そしてその足音がコツンと私達がいる本棚のところで止まったと思うと。


「…あれ?もしかして…グレッグ兄さん?」


 茶髪で、まだ幼いけれどもキリッとした目つきが大人になる頃の彼の面影を残す。


「…ファルフォンド。」


 ダーシェイさんが少し警戒したようにその名を呼ぶと、ゲームに出てきたあのイケメン貴族とは思えない街の少年のような風貌をしたファルフォンドその人は、あどけない笑顔を見せるなり今度は私の方を向いて君は?と尋ねてくる。それに対してどう言おうかと一瞬言葉に詰まるが、すぐにダーシェイさんがカバーして言ってくれる。


「…その方は今の俺の主、シャルロッテ・フィルフィテッシャオ様だ。」


 本名を言ったことで、どうやら正体は隠すつもりはないということを察し、私はそっとお辞儀をしながらも後ろに隠れるアルトの存在を忘れず気を使いながら動く。ファルフォンドは驚いた顔をしながらも、すぐに懐っこい顔をして自分はファルフォンド・ダーシェイだと話してくれる。


 なんか、思っていたよりも怖くはなさそうな感じがする。そもそもヤンデレになったのはダーシェイさんが亡くなったことによるものだから、それが起きていない今では憎しみや復讐などといった感情とは関わりのない生活を送っているのだろう。今もにこやかな笑顔で話しているのだから。


「ビックリしたよ、独り立ちしてからというもの音信不通だったんだもの兄さん。」


 でも会えてよかった、そう言い安堵のため息をついた自身の甥っ子に対して、思うところがあるのかダーシェイさんは少し顔を緩めながらも申し訳なさそうな顔になる。それから二人はボソボソと話を始めたので、私はちらりとクロエを見る。


 クロエはというと私達の会話をほとんど聞いているのでファルフォンドの名前に警戒態勢をとったが、次第に雰囲気が柔らかくなったのを感じるとそれほど殺気立つこともなく落ち着いた様子になる。


 クロエがかなり警戒していたのは、きっと私がその話を出されたときに『ヤンデレのやばい人』という固定概念で苦手意識を持ってしまい顔がこおばってしまっていたからだろうと思う。何だか特に何もしていないのに一方的に警戒された今のファルフォンドには申し訳なく感じる。


 …と、ファルフォンドがふと私の方に顔を向けた。ダーシェイさんとの話はいいのかな?と不思議に思っていると、彼は不意にもこんなことを言ってみせた。


「フィルフィテッシャオ様、ですよね!今度僕のお家のお茶会に来てください!婚約者様も紹介しますので!」

「…え?あ、そうなのですね、ぜひ行かせてもらいますわ。」


 私が慌てながらもそう答えると、ファルフォンドは元気よくはい!と叫びながら、お手紙を送らせてもらいますね〜とか、兄さんも来てくださいね!とか言いながら、タッタッタッと軽い足取りで来た道を戻っていった。その姿は私には急に来てはすぐに過ぎ去っていく嵐のようであった。


 呆然となった私はまずファルフォンドに婚約者…?と首を傾げてみせたが、ダーシェイさんがどうやら没ネタが活躍してあのヤンデレ怖いファルフォンドに可愛い婚約者ができたのだという。ならば一先ずは安心かなと私は安堵のため息をついた。


 ポカンとしながらも足音が遠ざかり静かになったのを見計らって私の後ろに隠れていたアルトがそろそろと様子をうかがいながらも私の前に出てくる。そして周りには見知った者たちだけだということを知り、安心してため息を付きながらも肩をすくめて、ダーシェイさんから本をまた預かった。


『さっきのは、ダーシェイ伯爵家の子供…だよなぁ?街の子どもみたいだったぞ…。』


 げんなりとした顔で疲れたような声色で言うアルトがに対して、ダーシェイさんが甥が悪いことをしたと素直に、苦笑しながらも謝る。アルトはそれに苦笑して返し、別にいいぜ、と言ってから、私の方に向き直す。


 アルトは私の顔をじっと見つめて、そしてなぁ、と話を切り出してくる。


『俺さぁ、今さっき目覚めたからまた寝る気にはなんねぇんだよな。』

「…はぁ。」

『…アンタ何が言いたいんだよ、スパッと言えば良いじゃないか。』


 遠回しに言われてもシャロも困るだろう、話を遮ったクロエに対しアルトはそれもそうかぁなんて真剣な顔から少しおちゃらけた感じになって、話を続けた。


『俺、お前の近くにいたい。』


 …告白かと思った。


 唖然と、呆けて、驚く私にアルトは何かを察したのかそういう意味じゃないけど!と叫び、そんな声出したら誰かにバレるだろう!とクロエに怒られ、しまったという顔になりながらも焦りやらなんやらでオドオドとなる。


『あのな、まず俺の封印を解く奴って早々いないんだよ!だから、そのぉ…なるべくお前のそばにいたら良いのかなとか。あ、そうだ、俺の本がお前の役に立つかも知んないし、お前の事が心配だから!だから〜えーと…。』


「…別に、私は良いわよ?仲間は多い方がいいのだし。」


 必死に話すアルトに何だか落ち着かなくなり、苦笑しつつも私はそう返事した。すぐにアルトから本当か?!という嬉しそうな声が上がり、クロエは騒がしいやつが増えたとでも言うような呆れ笑いをし、ダーシェイさんは愉快そうに笑った。


 その後アルトは精霊の力で本とともに透明になり、私の肩にはすでにクロエが居るので少し悔しそうな顔をしつつも居心地が良さそうにダーシェイさんの肩に乗って受付の目をごまかした。ちなみに受付の人はクロエを興味津々な目で見て何かを言いたげだったが、仕事中ということもあってか何も言わずにいてくれた。クロエはあの人属性違うのにね〜と言っていたが、気になるものは気になるのだろう。まぁその後ろには精霊という摩訶不思議な存在もいるのだけど。


 図書館を出て近くの馬車までスタスタと歩きながら、ダーシェイさんから自然とファルフォンドの話をされる。彼はどうやら自身の水の魔法についての本を探していたらしく、そこで私達と会ったという。随分奥まで来たのは、他に関連する本はないかと歩いてたかららしい。彼の姿に関してはお忍びのものらしく、このあとは街を歩くからいつもの貴族の服とは違うのだという。なるほど今の私みたいな感じだったのか。


 だが私は街を遊び回る許可をもらってはいないのだ、残念ながら本日の外出はこれまで。でもその分アルトという新しい仲間もできたのだし、遊ばなくてもいいかなと思う。隣で歩くダーシェイさんの肩に乗るアルトとふと目があうと、二人してふんわりと笑いあった。


 近くから何この天使という言葉が聞こえてきたけれども、私はそれを聞かなかったことにしてるんるんとした軽い気持ちで馬車に乗り込み、明るい日差しのもと、はじめての外出を締めくくった。





 こうして無事に家についた私達にお父様とお母様が驚いた顔でアルトを見て、お母様はダーシェイさん同様至極愉快そうに笑い、お父様は余計に疲労した顔になって出迎えたのだった。





新キャラ登場!これからもどんどん出していきますよ〜

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