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第一王女を探さないで〜隠された愛と男装王女の誓い〜  作者: 国士無双
第2章:王子様、ぼくを探さないで

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放課後のご褒美と、秘密の着替え時間

 放課後。

 今日は待ちに待った金曜日!


 当初は、放課後になったら保健室へ向かい、オーちゃんと一緒におじさんの家に帰る予定だった。


 だけど、お昼休みにケイちゃんから「実技試験でわからないことがあるから教えて!」と相談を受けた。


 答えはもちろん「Yes!」

 恩人であり、担任でもあるキーちゃんが「クラス全員が赤点を取らないよう助けてほしい」と言っていたし、大切なお友達のためにも、ここは一肌脱ぐことにした。


 オーちゃんには、事前に「帰る前に、ケイちゃんと試験勉強してくるね!」と伝えてある。

 

 ケイちゃんはしっかり者だ。

 すでに実験部の部室を確保していて、入り口のホワイトボードには、力強い筆跡でこう書かれていた。


『実技試験対策中! 本日の課題:至高のデリシャス・ハンバーグ! 集中しているのでお静かに!』


 ケイちゃんがもう中にいるのかもしれない。

 ぼくは小声で挨拶しながら、そっと扉を開けた。


「ケイちゃん、お疲れ様……!」

「ん?」

「あれ?! ニコくん、どうしてここに?」

 

 そこにいたのは、ケイちゃん……ではなく、ニコくんが所在なげに座って待っていた。


「オレも、ケイに勉強を教えてほしいと言われてな」

「そうだったんだ……」


 ぼくがキョトンとしていると、「待たせたわねッ!」とケイちゃんがアダムさんを引き連れて現れた。

 

「みんなで支え合えば、試験なんて怖くないわ! さぁ、早速教えてちょうだい!」


 やる気満々のケイちゃんに、ぼくとニコくん、アダムさんでアドバイスを送る。最初は魔法の加減を間違えて、黒焦げの炭塊が生み出されたけれど……三度目の正直で、魔法の光と共にじゅわっと肉汁が溢れ出す、美味しそうなハンバーグが現れた!


「これでいけたんじゃないかしら?」

「やったー! さすがケイちゃん!」


 ぼくはケイちゃんと顔を見合わせ、力強くガッツポーズを交わした。


「これなら、赤点回避できるわよね?」

「うん。大丈夫だよ!」

「ありがとね、サラ」

「どういたしまして!」


 ケイちゃんと喜び合っていると、ガラリと扉が開いた。

 

「サラちゃん、お待たせ……!」

「おぉー。みんな、頑張っているな〜。お疲れさん!」


 オーちゃんとキーちゃん――大好きな二人が、ぼくを迎えに部室へやってきてくれた。


(嬉しい! って、急いで帰る支度しなくちゃ!)


 アダムさんがキーちゃんたちと挨拶を交わしている間に、ぼくは手早く身支度を済ませ、みんなに手を振って部室を後にした。


 * * *


 校舎を出て、ぼくたちはキーちゃんの車に乗り込んだ。

 運転席にはキーちゃん、助手席にはオーちゃん。ぼくは後部座席に座り、キーホルダーから本来の姿に戻ったルルを膝に乗せた。


 本当は、オーちゃんと二人でバスと電車を乗り継いで、おじさんの家へ帰るつもりだった。


 けれど、キーちゃんが「夜道は危ないから」と車を出してくれた。


(「至れり尽くせりスパダリ」って、まさにキーちゃんのことだ!)


「キーちゃん、送ってくれてありがとう。この前、二人に助けてもらったから、ちゃんとお礼がしたいんだ」


 ぼくが話を切り出すと、キーちゃんはバックミラー越しにオーちゃんと視線を合わせた。


「サラちゃん、気にしないでくれ。今回はね、私も行く理由があるんだよ」

「えっ、理由? キーちゃん、何か予定があるの?」

「あぁ。今日は、オウレンの夢を叶えようと思ってね」

「オーちゃんの夢! 素敵だね、気になる! 知りたいー!」

「わたしも気になるわ!」


 ぼくと同様に、ルルも興味津々な様子だ。

 オーちゃんは少し照れくさそうに、それでも嬉しそうに、夢を語ってくれた。

 

「今日のお昼に、ピラティス講師の実技試験の結果が出て、合格したの。せっかくだから、今日、私のレッスンを受けてみない?」


 なんとオーちゃんは、密かに目指していた目標を今日、見事に達成したらしい。夢に向かって、着実に歩を進めていたオーちゃん。そのお祝いを兼ねて、おじさんの家でレッスンを披露してくれるなんて――本当に優しい!


 ちょうど運動したいと思っていたぼくにとっては、まさに渡りに船の申し出だった。

 

「わぁ、おめでとう! ぜひ受けたいよ、オーちゃん!」

「すごいわ、オーちゃん! おめでとう!」

「さすがだ。私も参加するからね、オウレン」


 みんなでオーちゃんの合格をお祝いしている間に、おじさんの家に着いた。

 車から降りて、期待に胸を膨らませながら、玄関の扉を開ける。


「ただいまー!」


 すぐにリビングへ向かったけれど、そこにおじさんの姿はなかった。


「あれ……お出かけしてるのかな?」


 ふとダイニングテーブルに目をやると、かわいいウサギのイラスト付きのメモが置かれていた。


『お友達から鮭を五人分もらってくるよ! 今日中に帰るからね。 by ニボル』


 丁寧に『五人分』と書いてあった。


(おじさん、オーちゃん、キーちゃん、そしてルルの分も入れてるんだ!)


 ぼくたちの分をちゃんと数えてくれているおじさんの優しさに、胸が温かくなった。


「鮭おいしそうだね〜、楽しみ!」

「えぇ。じゃあ、オーちゃんたちのところに行きましょう?」

「うん!」


 ぼくはルルと一緒に、トレーニング用の部屋へ向かった。

 ドアを開けると、すでに準備万端の二人が待っていた。オーちゃんは体のラインが強調されたピラティスウェア姿、キーちゃんも動きやすそうなスポーティな格好だ。


「オーちゃん!」

「サラちゃん。このお洋服、キハダさんと一緒に選んだの。貴女の分よ」


 オーちゃんが紙袋を渡してくれた。


「えっ! いいの? ぼくの分も……」

「あぁ。毎日頑張っている君へ、私たちからのプレゼントだよ。ぜひ着てごらん」


 キーちゃんがぼくの肩に優しく手を当てた。


 二人の優しい言葉とお気遣いに甘えて、ぼくは洗面所で着替えることにした。


 渡された紙袋を開けると、入っていたのは、くすみピンクのクロップド丈トップスに、黒いレギンス。

 いつもと違う系統のお洋服にドキドキしながらも、着替えを済ませて、鏡の前に立つ。


「こ、これ……似合ってるかな?」


 ちょっと恥じらいを覚えたと同時に、あることを思い付いた。


「あっ。せっかくだし……これから運動するから、ちょっと付けてみようかな?」


 ぼくは制服のポケットに入れていた小さな香水スプレーを取り出した。


 手首にワンプッシュだけ、香水をのせて、軽く擦り合わせる。


(うーん、気合い入れすぎかな? でも、ピラティスだから、華やかな気分になってもいいよね!)


 深呼吸し、香水の柔らかな香りを纏いながら、みんなが待っている部屋へ足を踏み入れた。

【※ご挨拶】

あけましておめでとうございます。

皆様、いつもご愛読いただき、誠にありがとうございます。


「続きが気になる!」

「誰の香水?!」

「オーちゃんの教えている姿を見たい……」

と感じていただけましたら、

高評価やブックマーク、リアクションで応援していただけますと幸いです。


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それでは、また次回。

次のお話も、どうぞお楽しみに。

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