男勇者と女Bと男Aと氷の館part6
作者はウィザードリィとかのゲームでは各キャラは極振りで全体のバランスを取るタイプです
だからこの小説にはキャラは極端なスキルが多めになりがちです…
4万PV突破、ありがとうございました~
Side:女B
慣れない浴衣から動きやすいブレザーに着替えて準備完了。
このブレザーは耐物耐魔のルーンを込めて作られてて並みの鎧よりも硬いらしい。リリーがくれた。
「浴衣も良かったが、ブレザーも良いの~」
オヤジだわ…可愛らしいワンピース着たオヤジがいるわ…
「良く御似合いです」
「あれって高いんですよね~」
アンタの着てるドレスだって同じ作りでしょうが…
皆準備はバッチリ。あとは始めるだけね。
「打ち合わせ通りにわらわとイトハとロザリーで氷を融かす。準備は良いな?」
「OK!」
「大丈夫!」
「では、攻撃開始じゃ!」
リリーの号令で一斉に炎魔法を放つ。
リリーの魔法が1番かと思ったらロザリーちゃんの魔法も同レベル。見た目はリリーの方がスゴイけどロザリーちゃんのは1つの場所に対してスゴイ強い魔法を出している。ロザリーちゃんが攻撃してるトコは少しずつ融けて来てる。
これは…負けてられないわね…
ガ・ジャルグの能力でタイムラグ無しに炎を生み出してるから2人に見劣りしないけど、武器が無かったら確実にお荷物だったわ。
…それだけは、イヤ!それに氷は確実に融けてきてるんだからとにかく撃ち続ける!
そうして私の魔力が大分辛くなってきた頃、
「融けきった、のかな?」
「みたいじゃの。2人とも、ご苦労じゃ」
「これくらい、全然、平気よ…」
「そんなに無理しなくても…」
ジル、ウッサイわよ!
「…死神が出てくる様子は無いね」
「そうですね。では、予定通りに動きますか?」
「そうしよう。魔王の方はイトハの息が整うまで待機してな。いざって時に息切れしてるのは危険だ」
…しょうがないわね、ココは意地張らないで休ませてもらいましょう。
「私達は行くけど、そっちも気を付けてな」
「リリーちゃんもイトハちゃんも、無理はしちゃダメだぞ」
勇人ってロリコン?
「リリー、頑張ってね」
「ロザリー、涙目で言っても説得力無いよ…」
ロザリーちゃん怖いの苦手みたいね…
「いいから早う行くのじゃ」
皆行ったわね…私達も休んだら調査始めなきゃね…
「もう大丈夫。始めましょう」
「宜しいのですね?」
「無理はしとらんな?」
「怪我には気を付けて下さいね?」
私ってそんなに意地っ張りに見えるのかしら?
とりあえず通路を進む。
このメンバーで昨日死神を見たのはメイドさんだけ。でも死神の情報を1番持ってるのはリリー。この2人がコッチにいるのは当たり前かしらね。
向こうの戦力と比較しちゃうと申し訳なくなるけど…
「…扉ですね」
キッチンに行く時と同じくらいの距離歩いたら、ステンドグラスじゃない普通の両扉が有った。
「開きます。ご用心を」
ぎぃぃぃぃ…
ココも嫌な音がするわね…中は…
「…実験室?」
扉の先には薬品棚や実験器具の散乱した机。小動物の標本なんかもある…ホルマリン漬けみたいで気持ち悪い…うえぇ…
「しかし、此処も埃等は有りませんね」
「そうじゃな…まるで実験に失敗した直後のようじゃ。薬液は散乱しとらんがの」
そう。実験器具には明らかに液体が入ってたような物も散乱してるのに机も床も濡れてない。
全部乾いたってコト?それでも机に粉とか残らない?
「他の部屋に通ずる扉などは無いか?」
「無い様ですね。ただ、研究日誌なら見つけました」
「あ、コッチには床に収納スペース用のドアは有りましたよ?」
「…日誌はメイドさんに任せて、モリッシュの見つけたの開けてみましょうか?」
「いや、先に日誌を読むのじゃ。周囲の警戒は怠るでないぞ」
さて、どんな内容かしら?
「…此処は戦争の後から魔獣の実験をしていたようですね。この館に何匹かの魔獣が連れ込まれた所から始まっています」
「この館は前の戦争より前から有るが、持ち主によって用途が全く異なるからの」
「一番多いのが実験目的でしたけどね~」
「前の戦争って、100年前だったかしら?古いわね」
「はい、歴史だけならば相当なものです。この日誌も95年前の日付から始まっています」
「古いですね~。あ、続きをお願いします」
「はい。実験の目的は…魔獣に魔族のような理性を持たせられないか、とゆうものだったようです」
「魔獣に理性?」
「はい。そうすれば魔獣による人への被害を抑えられると考えたようですが…」
「どうしたんじゃ?」
「実験を指揮していた博士の息子が他界してから、研究手段が変わったようです」
「…具体的にどうなったの?」
「囚人を使った人体実験。各国から死刑ではない囚人を買ったようです。国としても牢に入れておくだけの囚人の為に食事を用意するよりは買い取ってくれる方が良かったのでしょう。どうせ奴隷のような扱いを受けるならと、被害者遺族も納得しますし」
「もしかして…」
「はい。魔獣に人の脳を移植したり、人の血を打ち続けたり…とにかく、あらゆる手段で人と魔獣を同化させようとしたみたいです」
「そんなもの…成功するはずがないのじゃ」
「確かに。違う生物同士を同化させようとも普通は出来ません…ですが…」
「…成功したのね…」
自分の声が震えているのが分かる。
「はい。数多くの実験中、偶発的に、また確率的に成功を引き当てたようです…それでも、人としての理性は持たない、全く別の生き物が生まれたようですが…」
「…成功と言うより、発見と言うべきなんでしょうね」
「それも魔獣も人も巻き込んだ悪魔の実験で、の」
「耐えられなくなった研究員も多かったようですが…その研究員も実験に使ったようですね」
「…気分悪いわね」
「全くじゃ…その成功例はどうなったんじゃ?」
「人としての理性が無いだけで、一貫した思考は持ち合わせてたようですから、そのまま観察対象として精神的な実験に移行された様ですが…駄目ですね。内容は書いてませんし、続きが書いて有りません」
「そうか…博士の名前は分かるかの?」
「はい。ギャレット・フェルマー。戦争で数多くの神祖を毒の霧等で殺した、稀代の生物学者です」
神祖って、ロザリーちゃんは、
「…無関係の者も数多く殺した、稀代の殺戮者でも在ったな」
何よそれ…関係無い人も殺したって…
『ママのコトを悪く言うな―――っ!!』
なっ、何の声!?
獣の呻き声にも、子供の喚き声にも聞こえる叫び。
「なっ!しまっ、」
リリーの足が凍り付けに…氷が少しずつ上に…
「リリー様!」
「触るなっ!速くエントランスにっ、」
「リリーっ!」
「イトハ様、今はリリー様の言う通りに!」
メイドさんが私を抱えてドアに走る。モリッシュも唇を噛み切りそうな表情で走ってる。
メイドさんに抱き上げられて部屋から出る時、扉の合間から見えたのは、完全に凍り付けになって固まってる、
リリーの安心した目だった……




