女Bは魔法を練習する?
タイトル通り練習そっちのけに
Side:女B
私のスキル説明の後、午後になってから魔力量が高いとかで魔法の練習をすることになった。午前中何してたかって?私を押し倒そうとするバカ娘から逃げ回ってたのよ!何が『まてまて~♪なのじゃ~♪』よ!普通『まつのじゃまつのじゃ~♪』じゃないわけ!?そして私にそっちの趣味は無いって何度言ったらわかるのよふざけんじゃないわよ!!
城内の魔族達誰も見てるだけで助けてくれないし!微笑ましいモノ見る目で見てきたのはまだいいわよ!でも睨んできたヤツっ!そんなに羨ましかったらいっそ変わりなさいよ!!私はイツでも変わるわよ?
「ふむ、順当にいけばイトハは火が得意なはずじゃな。では早速試すとしよう」
魔界の青空の下で魔法の練習…シュールね。あ、今のリリーは真面目に教えてくれてるんだしちゃんと聞いてないと。
「どうやればいいのかわかんないわよ?私、魔法なんて昨日のバインドしか見たことないし」
正直思い出したくない。うえ…思い出しちゃった…
「そうじゃな…まぁ見ておれ」
そういって空に手を向けて何かを唱え始めた…
「火球よ 爆ぜよ ファイヤーボール」
ごぉう!…ぼぉんっ!
…何アレ…空が燃えた?
「う~む、目一杯魔力落としてアレか…まあよい。イトハ、試してみい。大事なのは想像力じゃ!」
「…本当にやるの?」
「わらわの魔力が大き過ぎるからあの様な事になっただけじゃ。そなたも魔力量は中々のもんじゃがあんなことにはならんから安心せい」
正直安心できる要素が無い。でも教えて貰ってるんだしな~…
「わかったわよ、やるわよ。ふ~…火球よ 爆ぜよ ファイヤーボール」
同じように空に手を向けて唱えてみた…
しゅぅぅぅ…ぽんっ
可愛らしいサイズの火の玉がフラフラ飛んでシャボン玉みたいに消えた…アレ?
「…イトハ…想像力、無いんじゃの」
「残念そうに言うな!…その微笑ましいモノ見るような顔も止めて!」
恥ずかし~///何もあんな微妙なの…だったら出ない方が全然マシだったわよ~…
「まぁ、始めてじゃしこんなもんであろう。上手くなるには練習あるのみじゃ!」
励ましの言葉が重かった…
その後5回程イメージを整えて試してみたところ…
「火球よ 爆ぜよ ファイヤーボール」
ごう!…ぼん!
リリー程じゃないけど使えるようになった。よかった、一時はどうなることかと…槍だけで戦うなんて絶対無理だし…
「ほう、やはり火との相性はいいようじゃの。込められておる魔力もわらわと変わらんようじゃしな」
「ん?同じ込める魔力が同じなのになんで違うの?」
私とリリーじゃ大きさが全然違ったわよ?
「どんな結果を想像したかが違うからじゃな。試しにあれに当ててみようかの」
そう言って指差されたのは壁に描かれた的。本当にただの的。ダーツみたいに色々分かれてないただの3重丸だ。
「何、アレ…」
「弓などの練習用に作られた的じゃ。が、もっぱら魔法の精度を試すのにしか使われておらん。ここに立って打つのじゃ」
的から10メートルくらい離れた位置に引かれた線に立って手を構えるリリー。野球のピッチャーみたいだ。そうしてファイヤーボールを放った……って自分の城壊す気なの!?
ごぉん!…どぉぉぉんっ!
「ちょっと、自分のし、ろ…でしょ…」
的の一か所が光ってる…それは別にいいんだけど…
「何で傷一つ付いてないのよ…」
「この城は頑丈でな。これぐらいではビクともせん。この城壁は今まで何人もの人間の侵入を阻んできた、いわば魔界最強の防壁なのじゃよ」
「人間に、攻められた?」
あんまり聞きたくない話だったけど聞かなかった事にもできないわね…
「そうじゃ。わらわが魔王に成ってからは一度も無いがジジイの時はよくあったようじゃしな。何でも異世界の人間を召喚したと言う話じゃったな。全く人間は色々考えるの。それでもこの城壁は無事じゃったが」
よくよく考えれば分かる事だったーー!魔界なんて呼ばれてるんだから人間が攻撃しないわけないじゃない!普通に気付きなさいよ私ぃーーー!!
「まぁ人間には魔獣と魔族の区別はつけ辛いじゃろうし仕方ない、とジジイは言っておったの。同じ種族ではないから見分け辛いのは分からんでもないが」
「…どんな違いがあるの?」
「そうじゃな。魔族は魔獣と違い人間と話せるし同じよううな生活をしとる、じゃな。通貨も同じじゃしな」
「…なんで人間に攻撃されんのよ…」
「まぁ、中には『魔族は人間より優れているのだから支配するのが当然』等とのたまう輩がいるからの。あとは人間の恐怖心やら権力欲なんかが原因じゃな。全く、皆祭り事が好きなようで」
「何か愚痴入ってるわよ。魔族から見て人間ってどうなのよ」
「うむ…まずエルフと見分けがつけ辛いの。年寄りはドワーフともじゃな。獣人にも幾つかわからんのがおる。大体こんなじゃな」
「…ほとんど全部ってこと?」
「うむ。まぁ、これらの種族は基本的に『神祖』を祖としておるからの。似ていても無理はないじゃろ」
「そうなの?何か結構違うイメージがあったから意外ね」
「まぁ神祖とゆうのはどんな種族とも交わることが出来ると言われておるからの。本当に色々な種族と混じり、獣人やエルフが出来たんじゃろ」
「今はもういないの?」
「いや、絶滅は流石にしとらんはずじゃ。じゃが迫害はされておるじゃろうな」
「どうして?自分達のご先祖様みたいなもんでしょ?」
「そうじゃ。じゃが神祖達は何にでも成れる見た目が自由自在な種族での。それは人族には些か不気味過ぎたようでの。数も少ない神祖達はドンドン避けられ、虐げられ、最終的に戦争に成り、恐怖の対象として人族の社会にはいられなくなったはずなんじゃ」
「…人って…何か…」
「…仕方のない事じゃ。人族は他を排除することで自らの集団を守っておる…
話が逸れたの。魔法の練習は…今日は終いじゃな。イイ時間になってしまった」
リリーの言う通り、日が傾きかけている。
ちょっとしんみりしちゃったわね…
どうやら作者にギャグオンリーは難しいようです
このキャラはギャグだけでいこうかと思ってたんですけどね~