男勇者は公に戸惑う
Side:男勇者
「豪華過ぎだろ…」
部屋に入って最初の言葉がこれって…でも仕方ないんだ!俺向こうでは一般家庭で家族5人で自分の部屋あったけど手狭だったし友達にだってこんなでかい部屋のヤツいなかったしてか普通こんな部屋に住んでるヤツ漫画の中くらいだろって俺今まさに漫画体験してんじゃんうわぁ机綺麗だし装飾細かいな幾ら掛かってるんだこんな部屋があと何個あん…
「よう、勇者・勇人君」
…だろうそういや謁見の間の装飾もかなりすごかったよな…
「1国の長を無視とは、流石勇者と言うべきか」
「あれに一体幾ら掛けて…へ?」
「お~、やっと気付いてくれたか」
「なっ!ユビキタス公!何でここに!」
「勇人、邪魔するよ」
ノックもなしにフレイヤ入ってきたし。ノックの文化は無いのか…
「おや、ユビキタス公も来ていたのですか」
「うむ。窓から侵入など久しくしていなかったからな。中々に新鮮な気分を味わっておる」
「お~、それは楽しそうですね。では今度私も…」
「フレイヤよ、1国の姫がする事では無いぞ。はしたない」
「1国の長がすることでもないでしょう、父様」
「そうだったの。これは1本取られた。はっはっは」
「ちょっと待ってくれ!」
流石に耐えきれなくて声を荒げてしまった。
「何かね?」
「勇人、どうかしたの?」
「イヤイヤイヤイヤ!かなり色々聞きたいことがあるけどまずは、親子?」
2人に失礼だけど指交互に指して聞いてみた。
「うむ。なんだフレイヤ、話していなかったのか?」
「はい。その方が面白そうだったので、つい」
「まったく1国の長の娘が、なんて面白そうな事を」
「あんたもそっち側かよ!てかこんなんで大丈夫なのかよこの国!?」
国のトップがこれで娘がこれって…
「ん?公の推薦時の支持率は87%、今は90%だね」
「何だそのありえねぇ指示率!逆に支持して無いのはどんなヤツか気になるわ!」
「はっはっは。本当に皆には人を見る目が無くてほとほと困っておるよ。私は戻れるなら直ぐにでも前の職に戻りたいとゆうのに」
「国の長辞めたいって言っちゃったよ!」
「国民全員知っているから問題ないのよ」
「まったく、こんなオッサン1人に国の行く末を任せるなんてどんな神経をしているやら。興味が尽きんよ」
何だこの人…本当にこの人が1国を率いてるのか?てか公に推薦?
「推薦って?」
「この国では公を決めるのは選挙式なの。城内務めの人全員から、この人が次の公に相応しいと思われる人が投票されて公になるの」
「まったく。つまらない方法だ。他国のように子供に次の長が引き継がれれば良いモノを」
自分がトップに成って歯噛みしてる人初めて見た。国のトップって醜い争いして奪い合うんじゃないのか?
「城内全ての人、つまり給仕や騎士にまで公に成る可能性があるし投票者でもあるから賄賂や暗殺は対象多過ぎで無理なのよ。そんなことするくらいなら誠実に働いて周りに認められた方が速いでしょ?」
何で俺の疑問がバレたんだ…ん?フレイヤが俺の顔を指で指してる?ああ、顔に出てるってか…
「そんなに判り易い顔してたか?」
「うむ。ついさっき会ったばかりの私でも勇者の言いたいことはわかったぞ」
「表情に出やす過ぎね」
打ちのめされそうだ…
「それにしても、父様。公に成って10年も経っているのですからもう少し落ち着きを持ってください。窓から侵入など、子供じゃないんですから」
「フレイヤもさっき面白そうとかいってたよな」
「ふれいや子供だからよくわかんなぁ~いぃ」
「うむ。フレイヤは何歳に成っても私の可愛い娘だからな」
「論点が違うだろうが!てかまたその口調かよ!」
「ふれいや、ちょっと練習してくるねぇ~」
「止めんかい!」
「ふっ、勇人はからかい甲斐がありすぎるな」
「まったくだ。公なんぞやっていると色んな者に会うがここまでの逸材は初めてだ」
もうやだこの人達。…あ。
「そう言えば公は何でここに?」
「ああ、忘れておったな。今のうちに話せることは話してしまおうと思ってな。この世界の事、分かる範囲で全て、な」
そういって公は大陸、ギグの森、魔界、魔法、スキル、俺が呼ばれた訳を話し始めた。