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回環〜君と紡ぐ幾億の記憶  作者: 天賜 撫子
2章 過去と現実の関係

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6/20

混乱

 

 オフィスに到着。誰もいないオフィス。

 「さて、昨日のメールはなんと書いているかしら?」 

 他のメールはすっ飛ばして、政府からのメールを先に開けた。そこに書かれていたのは……大した内容は書いておらず、決定されたことなので指定金の受け取りについての案内のみ。アヌに例のこと忘れずに探してくれているかな……。アヌから連絡が来てから返信しましょ!」

 

 昨日はショックを受けて寝込んでしまった分、意外にも穏やかに過ごすことができた。

 私は、監視下に置かれているから、一時間後の取締役会議に出て報告のあった希望退職者についても整理しなければ。



                ***


 銀河連合からは、イエーゼス教団の動きについて報告が来た。どうやらペロイオネ政府を脅迫してたみたいだ。だが、その後ろで何を企んでいるのかはまだわからないが、レイダのお願いごとを実行しなければ。

アーヴに連絡してみるとしよう。


「アーヴか?お願いごとがあるんだけど、少し時間あるかい?」

「アヌか?いいよ、お前のところの彼女、確かペロイオネ製薬の代表だったよな?創業者?大丈夫か?」

「大丈夫なわけないよ!知っているなら情報が欲しい。あと、誰か政府の高官と仲がいい奴がいたら紹介してくれないか?仲介を頼みたいんだよ」

「ああ……俺かな?はは!お前の絵を仲介してやっているじゃないか?何ができるというわけではないが、お前とレイダさんとの関係は有名だからな!俺が行くのが妥当だろうよ」

「そうか……じゃあ頼むよ。レイダからまた連絡させる」


 とりあえず、約束は守れそうだ。だけど、自分も何かしてあげたいな……。レイダにメッセージを送っておこう。あと、今日の夕飯は何がいい?っと。



                ***


「アヌから連絡が来たわ。アーヴさんという方ね。この前の個展にいらした方だわ。こんな形でお世話になるなんて、思っても見なかったわ。早速お礼とミーティングの設定をお願いいたしましょう!」


 早々にアーヴさんと連絡が取れ、高官との面談が叶った。

 こちらは、私とテレサ。先方は厚生大臣と防衛大臣が出てきてくれた!え?なんだか只事ではない雰囲気だわ。ペロイオネ製薬なんて中小企業相手にどうしたのかしら?


「アーヴさん、初めまして!レイダ・シュワルツと申します。いつもアヌがお世話になっております。この度はお手数をおかけしてしまって……。」

「いいんですよ。私はアヌらお世話になっているので、彼からのお願いごとは断れません!気にしないでください。日程についてはご連絡したとおりです。あと弁護士も連れていきますので、面談には彼は同席いたします。」

「ありがとうございます!あの、お伺いしたいのですが、今回直接大臣がお二人も出席してくださるなんて、想像もしておりませんでしたので、面食らっております。自体は私が思っているよりも壮大な問題になっているのでしょうか?」

「そうですね。新薬エターナについては情報が錯綜しているのですが、例のイエーゼス教団が目をつけているそうで……僕は当日はお二方をご紹介したら席を外しますので、ご安心ください」

「ありがとうござます。御恩は忘れません」内心はそのまま同席して欲しかった……。ここで諦めないようにしなければ!


                ***


 面談当日、アーヴさんの手配通り、私とテレサ・弁護士のアロンさん、厚生大臣と防衛大臣とで行われた。

 先方からの内容は、『イエーゼス教団の脅威に晒されており、まるでアメーバのように勢力を侵食されている状況下、更に新薬エターナについての圧力(イチャモン)がきたと。奴らが言うにはこの新薬は神への冒涜であり自然界に違反しているので、神からの裁きが下らないように自分達が処分するので、すべて渡しなさい』そんな内容だった。


「我々とて、この星の財産として期待していたのだよ。もっと大きな工場を作ることの提案や民たちをもっと楽にさせたかった。本当に申し訳ない」

「では、5億では我々の建て直しができないです。せめて20億はいただきたい」とアロンが頑張る。

「君ね、この星の人口でそんな金額が払えると思っているのかね。あはは……」厚生大臣が呆れたように失笑した。しかし、開発費・人件費を合わせると20億でも足りない。二人でせっておくして18億までもらえる交渉ができた。あとは、依願退職を募り別の製薬会社へ移動してもらうか……。


 面談はたったの1時間しかなかったが、法的なことについても含めてアロンさんが頑張ってくれたものの

たったの5億から18億まで引き上げられたことは良かった。しかしイエーゼス教団は大臣たちが話ていた内容のとおり、破壊させるのだろうか?

 イエーゼス教団にも開発チームがいると聞いた。

「テレサ!辞表を出してきた人達、もしかしてイエーゼス教団に引き抜かれるのかな……そして情報を持って行ってしまうことも考えられるわ……」

「ありえるわね。タイミングが良すぎる」

「どこから手を打てばいいのやら、とりあえず情報を持ち出した場合の契約書にもサインさせておくようにしないとね、アロンさんこの手配をお願いいたします」

「はい、承知しました。他に気になることがありましたら、お申し付けくださいね」

 私とテレサは、アロンさんに深々とお礼をした。



 私とテレサはオフィスへ戻り、一緒に一息ついた。たった1時間だったけれど、相当な体力を使った。もう汗だく……。

「テレサ、さっきの話なんだけど……例の辞職組の件。もう面談は済んだのかしら?」

「いえ、まだだったはずよ。どうします?引き留めをやってみてもいいけど、どちらにしても依願退職を募っているからそのままでもいいかと思うのよ」

「でも、重役の2名からは話をしてみる方が良さそうだと思わない?」

「わかったわ。時間をとってみましょう。その時にアロンさんにも同席してもらって書類も並べて頂こうかしら」

「そうしましょう!」私たちは着々と準備を始めていた。まだテレサには私が施した「新エターナ」のシークレットについては黙っていた。


翌日にはアロンさんから、書類ができたのでいつでも面談の同席は可能だと連絡が来たので、早々にセッティングをした。

・アシ・リトバク

・デボラ・カッツ


【アシ リトバクとの1時間】

Qこのタイミングでの退職がタイミングがいいため、その理由について教えてください。

回答 :個人的に出した結果だ。何もいうことはない。

Q同時期に退職届が出された後の4人について、関連はありませんか?引き抜きでしょうか?

回答 :私は関与していない。

Qイエーゼス教団との関連は?

回答 :ある。私は勧誘を受けているので、私は受ける予定だ。だが、このようになるなんて私には知らなかったのだ。それは信じて欲しい!レイダ、あの教団に目をつけられたらもう終わりなんだよ……。

どこにも逃げられない!私は君の代わりに行くようなものだ。奴らはなぜ私に目をつけたのかわからないが

君を守るためでもあるのだよ。


一同、沈黙した。だが、アシはそう言い放ったが悲痛そうな感じではなかった。もしかしたら喜んでいるのかしら??


Qイエーゼス教団からの交渉内容は?

回答 :それは言えない。だが、一生豪華に暮らしていける報酬は約束されたよ。私は家族も守らねばならない。私に当たった的は運命だと思って身を委ねるしかない。



 面談が終わった後、3人で話し合った。もう我々だけでは手に負えない状況になっているようだ。社員の命も守れない…… きっとデボラもそうなんだろうなー……


【デボラ カッツとの1時間】

Qこのタイミングでの退職がタイミングがいいため、その理由について教えてください。

回答 :はい。タイミングよく私の能力・功績を見てスカウトしてくださったので

Q同時期に退職届が出された後の4人について、関連はありませんか?引き抜きでしょうか?

回答 :特に他の人たちの情報をもらっていないので、存じませんでした。

Qイエーゼス教団との関連は?

回答 :はい。正直に申し上げるとイエーゼス教団からのスカウトを頂けました。

研究者として、とても潤沢な資金投入をしていただけるということで、私が今までできなかた研究に没頭できると思ったので、受けることにいたしました。


 アシとは違う勧誘方法で驚きだわ。これは本心で言っているのかしら?ただの研究バカだったのかしら??あと、目が今までの彼女の輝きがないような気がする……。アロンさんが準備してくれた契約書にはサインをもらったし、形式上は問題ないとして、もう社員を疑うことは終わりとしよう。後の3名については人事面談お結果を聞き、同じように契約書を回収だ。


                ***


「さて、すべての面談が終わったようですが、やはりイエーゼス教団の関与が認められ、このまま権利を渡すと危険な感じがいたしますが、政府も逃げ越しなのでこのまま進めるとかなりヤバいことになってしまいますね」

「また、一からやり直すしかないのかしら……今のメンバーだからこそできた完成度の高い新薬ができたのよ。皆んなと祝杯をあげたかった!」

 思わず感情的になって、机を叩いてしまった。テレサが抱き寄せてくれて彼女の胸の中で号泣した。


「大丈夫よ。次はもっといい新薬ができるわ!私には未来が見えてるもの!私たちには必要な経験だったのよレイダ!」そう言って彼女も泣き出した。


 アロンは、その様子を大層哀れに思い、携帯電話を取り出した。

「アーヴさん、あなたの出番かもしれませんよ。ええ、これ以上は私の範疇ではないので適切な判断と行動ができかねますので……ではお願いいたします」

「レイダさん、僕はここからはお力になれそうにないので、アーヴからの連絡をお待ちくださいますか?」

「え?あ、はい。何から何までありがとうございます。社内で何か動きがあれば、またご連絡させてください」

「ええ、いつでもどうぞ」

そう言ってアロンさんはスッと消えていった。


 まだ何か方法があるのか、アロンさんがアーヴさんに託した。その内容はこれから……。


 



    






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