兆し
ソロモンとの通信を切断した後、ぐったりとベッドに横になった。
「エネルギーを使うと老けるんだよね〜」そう言って、両手を眺めていた。
「ソロモンさんは変わらないなあ〜」
ベッドでゴロゴロしながら、教団対策を考えていた。
「ま、今考えても仕方ないよね。僕のプリンスはまだ覚醒してないし。半覚醒と言えるかどうかの程度だし……とりあえずソロモン大元帥に任せるしかないね」
はぁ〜……
***
「アヌ!起きて!」
白く霞がかった映像が……。
「どうしたんだい??」熟睡中に起こされて頭が痛い——。
「赤ちゃんが動いたわ!触ってみて」
「え!分かるのかなあ」半信半疑で彼女の下腹部に手を当ててみた。
「あ!本当だ!」ぽこんと弾けた感触。
浅い眠りにの中で、最高に幸せだった思い出が蘇る。
これは何年前の思い出なのだろうか?
果てしなく、遠い記憶が出て来ると切ない気持ちになる……頭が痛い。
少し寝てたみたいだな。
ふと、ベッドルームの向こうに人影が見えた。
最近は誰でも入れるようになっているのか、防犯対策をしないと。
「おい!勝手に入ってきて何をしてるんだ!!」良く見ると白の上着を着たアーヴだった。
「ごめんごめん!家の前に来たんだけど、すんなり入れたからさ。この家、防犯がなってないな。ちゃんと設定しておけよ。」
「あ〜。早速アシに入られたよ。それで、色々ぼやきと教団についての内部通報をしてくれたから、ソロモンさんにも報告しておいた。誰か応援も配置してくれるようだよ」
「ちょっと!その情報聞いてないよ!!」
「たった今連絡したところだから、君には直ぐに伝えるつもりだったよ。なんだか疲れて寝てしまったよ。とりあえずお茶でも入れようか、友よ」
このところ起こった出来事を話し、今後についてどうやって進めるかを話し合った。
「そういえば、建人君は持っている記憶の結晶だけど、どうやって使っていくんだい?あれを解析できたら簡単そうだけど」
「うーん……それだんだよ。まだ建人には使い方がイマイチ分かっていない様子だしね、試験的に連合軍へ渡して解析してもらうこともできると思うが、適当に圧力かけたら壊れた!とかなると困るしね。
もう少し、建人が自分で使えるように待ってみようかと思っている」
「確かに……。ヒット&エラーは得意だからな!あはは」
「アシから聞いた教団の動きだけど、そっちに任せてもいいか?」
「ああ。君は一応一般人だからね、スパイ活動は僕に任せてくれ」
「あのー。こんにちは〜」
また不法侵入者!
設定を本格的に変えないと、人間は入れないが異星人の奴らは幾らでも入って来やがる!くそ!
「もう!お前誰だよ!今日は一体どうしたと言うんだ!また勝手に入られた!!」
「だって、ゲートが開きっぱなしなので……。私はソロモン大元帥からの指令できました、シャローム メッツガーと申します。よろしくお願いします」
比較的若い風貌で、髪色は銀髪。肌はピンクかかった血茶色で身長は低め145cmかな?瞳が薄いグレーぽいブルーだけど、まるで猫の目みたいた。瞳が大きくなったり小さくなったり。
良くみたら可愛いな……。こいつは許す。
「ああ、そうだったんですね。早速手配してくれたようで、助かります。あなたも何か飲みますか?丁度アーヴとミーティングをしていたところです」
「それは丁度良かった!レイダさんはどちらに?」
「現世の仕事に出かけているよ。今世は男だ。名前は建人。先日ペロイオネ製薬から教団へ引き抜かれたアシが建人に接触してきたので、一緒に住むことになったんだよ」
「そうでしたか。記憶はまだ……」
「ああ、まだなんだよ。ただ今回は記憶の結晶を作ることができるみたいだ。地球の変換期間でもあるからちょっと能力がありそうだと、変わった事が出来るになるんだな。ただ、その解凍方法が分からないから、それは保留だ」
「では、こちらで預かって調査してもいいでしょうか?」
「それはだめ。お宅らに任せてしまって破壊されたら元も子もないだろう」
「———。それを言われては仕方がないですね」やっぱり自覚あるようだ。
「結晶については忘れてくれ、こちらで何とかするよ」実は解凍方法に心当たりがあるが、今は言わないでおこう。あとは、そちらで地球内での教団の動きを教えてくれると助かる。アシを買収したら話しが早いかもしれないな!あはは!」
冗談混じりに言ってみたら、アーヴとシャロームは止まった。
「冗談だよ?」
「いや、いい考えじゃないですか?どれくらいの言い値で動くでしょうか……」シャロームが考えだした。
「そうだな……。ただ、あいつはセコいから、両天秤で工作するかもしれないぞ?情報も信用できるか分からんし。こっちに引っ張ってきたら、こちらの経費も削減できるし解決も早く済みそうだ。どうだ?アヌ」
「俺はあいつとの連絡先を知らんし、いつまたここに来るのかも分からん。それにこの家のポータルを制限するから、もうアイツが入ってくることができなくなる。アシは当時のアシではない。気持ちが悪いんだよ。もう建人と接触させたくない」
「シャロームさん、そう言うことだそうだ。残念だけど地道に教団の動きを探ってくれ」
「はあ……。いい考えなのになあ。アシを捕まえることも並行していきますよ。僕は諦めません!」
「俺の言ってることは無視かよ」
「いえ、ご迷惑はお掛けしないようにしますよ。安心してください」
そう言って、空中にシャロームの配下の配置図を見せてもらった。
他に、教団が使っているポータルも入手しているようで、その配置図も見せられた。
地球全土に艦隊の基地が既に配備されていて、安堵と『もうこれでエターナから解放される』と希望と戦いの結末に確信が持てた——。
「ありがとう!」涙が出そうになりながら、シャロームの手を握った。
「ええ!、もうこの今世で終わりにしましょう!」
アーヴも何か言いたかったようだが、ウィンクで済ましていた。
やれやれ、慌ただしい1日だった。
これで落ち着いて、仕事ができそうだ。
また寝落ちする前に、侵入されないように設定強化しなきゃ……。




