新居へ
平和な朝
やはり、マティアスと一緒にいた方がいいかもしれないと、ふと思った。
俺は本来、繊細でルーティン以外のことや予想外のことが起こるとストレスを感じてしまう。
なので、このところ日々起こる異変に対処するのは、心のキャパシティオーバーしている。
もう、無理しなくていいかな……。依存していいだろうか。
今日、いつものCafeで待ち合わせをしている。そこで話してみようかと。
***
爽やかに彼はCafeのドアを開けてやって来た。
あの爽やかさは、ワザと演出してるんじゃないか?と思うくらい、輝いて見えた。
もう自分の頭がおかしくなっているに違いない。
「や!元気そうだね!」
うっっ……くそ!この爽やかさが嬉しい。これは彼の作戦だ。自分を夢中にさせるための!
暫くの沈黙の間にバカなことを考えていた。
「元気だよ!ささ、座ってください」
「えー?どうしたの今日は様子が違う??」
「うん。例の話を受けようかと思って……」目を逸らしてしまった。
「……」
「え?なに?あの話は僕の勘違いだったの?」
「いや、嬉しすぎて胸がいっぱいなんだよ。どうしたの?何かあった??」
なんだよ、びっくりした〜。
自分の勘違いで話をしていた??とか思って心配したよ。
さて、正直にこの処あった出来事を伝えた。理子と両立しようと思ったけど、背負っている出来事から無理だと理解したことや、人生を賭けた問題であることも理解した。だから下手に理子の人生も無駄にさせてはいけない。その上、事件は夜に起こるからせめてはっきりと理子には自分を当てにしないで欲しいことを伝えるようにする……等をマティアスに伝えた。
「そうだね。君の今世は今までと違うくらい君の覚醒が進んでいるので、上手くいけそうな手応えがある。 僕は、君の考えに賛成だし、一緒にいた方が上手くいくルートを辿ると思うんだ。あと、理子ちゃんはテレサの生まれ変わりだよ。君達はいつもいつも一緒なんだよ。一つ前の前世では姉妹だったけど、波乱の時代だったから、離れてくれなくてね。僕なんか、側にも居させてくれない有様だったんだ」
なんだか、言い方が『目の上のたんこぶ』のようだ。
「テレサとはどうして、こんなに縁があるんでしょうね」
「まあ、魂の繋がりが強いとしか言いようがないね。じゃあ、特別な部屋を準備しておくから楽しみにしておいてね!」
そんな感じで、すんなりと話は進み、ドキドキしながら理子に伝えた。彼女としては僕が気が変わることを期待していたようだ。でも、思ったよりスンナリと別れることができた。会社の同僚だし、慎重に終わることができたと思っている。
「毎日顔を合わせるわけだし、これからも仲良くしましょ。どのように説得したとしても、貴方は変わらない人だと分かってるし、前もって話をされていたから大丈夫よ。本気の婚活を始めるわ」
そんな感じで、僕たちは穏便に話し合いを終えることができた。
その夜、早速マティアスの家へ移った。
***
指定の場所に行き、ドキドキしながらドアベルを押した。
「やあ、待っていたよ!さあ、入って」温かく歓迎してくれたことにホッとした。
間接証明で、休まる雰囲気の部屋だ……?
「こっちにおいで〜」別の部屋に行ったら、思ったより奥行きのある部屋に通された。
生活感のない、そっけない部屋だけど、置いているインテリアが現代美術館に置いてそうなフォルムの椅子や、テーブル、北欧チックなソファー。
「わ〜。ここが本拠地ですね!」しかし、全然生活感ないですよね!あはは」
「いや、君と一緒に住むことを考えてから用意したんだよ。だから生活感はないはず。気にしないでね!」
気にしちゃうけど、まあいいや。
「なんだか、ごめんね?こんなに気にかけてくれて……」
「何言ってんの?君と僕のことなんだよ!当たり前のことだ。それに久しぶりに一緒に生活をするんだ。だからどんなに君が、僕に嫌なことをしたとしても、僕は無条件に君を許す。君はなんでも僕に言ってもいいんだよ!」抱きしめながら言われた。
あ、そうか。僕たちは元々は夫婦だったしな。
「うん!でも、僕のベースはレイダかもしれないけれど、『建人』の人格がまだ優勢だから、徐々に慣らせるようにするよ。ただ、今の言い回しは面白いね!あはは」
「そうかな?とにかく僕は君がリラックスして欲しい。それだけだよ!」
二人で爆笑して、その夜はウィスキーを組み交わした。
こうして、慌ただしく二人の生活が始まった。
これからどんなSF物語が始まっていくのだろう……。




