必然の出会い
新薬エターナを開発ペロイオネ製薬の新薬エターナを開発したことでカルト教団に新薬エターナの特許権・製造権を取られる。イエーゼス教団が独自に新薬を改変したことで、『永遠の命』の妙薬から人間兵器を生産することで全世界を恐怖に陥れた。
この薬のプログラムを正常に修復させることができるのは、レイダの記憶の中にある……
全宇宙の平和を取り戻すための戦いを、輪廻転生を繰り返すレイダ(建人)と彼女を探し出し、共に戦おうとするアヌの物語。
〜登場人物〜
・嵐山建人 29歳:金融系コンサル企業に勤務。独身で現在同部署にいる理子と交際中(ペロイオネ星 レイダ・シュワルツ:製薬会社研究員・広報部に勤務 黒に時々金色の光を発する瞳・18歳に見えるが87歳)
・マティアス・シュナイダー 42歳:画家。ドイツ系スイス人 ブラウンにグリーンがかかった瞳の色
(ペロイオネ星 アヌ:画家であり、銀河連合のメンバー。薄いブルーの肌に銀色の髪 25歳に見えるが 237歳)
・アルシオネ星のアーヴ・シュピーゲル:銀河連合のメンバーでアヌと活動。(地球でいうアジア人風・長身・長髪 34歳の見た目だが123歳)現世でもマティアスのサポートをしている。宇宙連合メンバー
・テレサ・ホレンダニ :現代では佐藤理子として建人の同僚として転生(建人の元彼女)
・アシ・リトバグ : ペロイオネ製薬で元取締役幹部の一人。イエーゼス教団へ引き抜かれる。現代でも転生できなくてずっとエターナ開発に関わっている。
・デボラ・カッツ :ペロイオネ製薬で元取締役幹部の一人。アシと一緒にイエーゼス教団へ引き抜かれる。
・ソロモン・コーエン :銀河宇宙連合艦隊 大元帥
・ルツ・ゴールドスタイン:ソロモンの秘書
・シャローム・メッツガー:銀河宇宙連合艦隊 准将
・エイダン・ゾーラー :ソロモンが地球の成長観測をしていた時にあった学者
・ヤム・サッツ :宇宙艦隊の調査員
・ユヴァル・メッツガー :ペロイオネ研究所の研究員。アシと同時期に教団から引き抜かれた
〜東京 丸の内〜
身綺麗なビジネスマンが行き交う、精錬されたヨーロッパ風にデザインされた街の中にスラリとした身長の高い男性が、ランチを終えて行きつけのCafeへ入って行った。
「お待たせしました!」
トレイを受け取りながら、ふと思う。
……店員さん、また違う人だな。
この店はおしゃれで居心地はいいんだけど、せっかく仲良くなったスタッフが気がついたら、いないことが多いんだよな……と呟く。
このカフェは、よくあるチェーン店にしては少し価格設定が高めだ。でもその分、天井が高くてテーブルの間隔も広く取られている。
静かに過ごすための必要経費だと思えば安い。壁には季節限定のやたら甘そうなメニュー写真を見る。
一瞬試してみたい気になるけれど、結局いつも注文するのは頼むのは、シンプルなブレンドコーヒーだ。
しかもどんなに暑くてもホットコーヒー……。なんて思いながらブツブツ独り言に没頭してた。
空いている席に座ろうとした、その時だった……
隣のテーブルにいる端正な顔の外国人の男性に、吸い寄せられるように目が止まった。
ダークブラウンに所々に白髪が混じった髪に、品のある日焼けをした白人男性。
40代くらい?大人の男の貫禄と色気がダダ漏れしている。
彼はA4サイズ程度の画用紙を広げて、水彩画を描いていた。
テーブルに並べられた道具は簡易的なセットに見えるけど、どれも一目で高価だとわかる洗練されたデザインだ。
(カフェで絵を描くなんて、相当自分の腕に自信がある人か……いや、本物のプロかもな)
まじまじと見るのは失礼だし、邪魔をしちゃいけない。
そう自分に言い聞かせてみる。だがどうしても絵が気になって仕方がない。
なるべく男の視界に入らないようにカップを口に運ぶ振りをしながら、そっと手元を覗き込んでみた。
その瞬間、心臓がドクン! と、痛いくらい大きく跳ね上がった。
激しい動悸と一緒に、頭の奥へ一瞬、鋭い痛みが走る。
そこに描かれていたのは、息をのむほど美しい満天の星空。
だけどその静けさとは裏腹に、激しい爆発と光の火花が飛び交う、まるで神話の一場面のような、もの凄く激しい戦いの光景だった。
(技術のある人は、こんなにも世界を美しく描けるのか・・・だけど、なんだろう。この胸が熱くなるような、涙が出そうな感覚・・・)
気がつけば、考えるより先に声が出ていた。
「あの……その絵を、僕にください!」
うわー……やらかした!恥ずかしすぎる……。
なんて不躾なことを初対面の人に言ってるんだ!しかも勢い余って日本語で言ってしまった。
通じるわけがない!パニックになりながら英語で慌てて言い直そうとする。
「Ah.....I'm sorry to bother you. Your painting is beautiful! So .....ah……… I was wondering if it's for sale. I'd love to buy it if you're willing to sell it....」
するとその男性は、少しも動じることなく、俺の目を真っ直ぐに見つめてきた。 ブラウンの中に神秘的なグリーンとブルーが混ざり合った、吸い込まれそうな瞳。
その佇まいに息を呑む、だが信じられないくらい流暢な日本語が返ってきた。
「この絵が、欲しいの?」
「あ……はい。素敵すぎて、なんだか心が強く反応してしまって。これは自分に必要な気がしたんです。お幾らでしょうか。本当に、失礼な物言いで申し訳ありません」
男性はふっと、もの凄く優しい笑みを浮かべた。
「いいんだよ。そんなに気に入ってくれたのなら、是非そのような方に持ってもらいたい。幾らか…という質問だけどね、私は通常このサイズは表に出していないからね……金額をつけていないんだ。だから、差し上げますよ」
「え!? いいんですか!?」
「その代わり、大切にしてくれますか? まだ未完成なんだけど手放すにはまだ惜しい……なんというか、思い入れのある絵なんだ。そうだ!やはり今すぐ手渡すことはできないから、仕上がったらこの近くにある私のアトリエまで、取りに来てもらうことはできるかい? 連絡先を教えてくれれば、出来上がり次第メッセージを送るよ」
断る理由なんて、あるわけがない。
僕は二つ返事で承諾して、お互いのチャットアプリのIDを交換した。
「ありがとう。これ、私の名刺です」
渡された名刺には、『Matthias』という文字と、この近くの住所が書かれていた。
「マティアスさんですね。私は嵐山建人です。この近くで働いていて、いつもここで休憩しているんです。完成を楽しみにしています! では、そろそろ仕事の時間なので、また!」
会釈をしてカフェを飛び出した。歩く足取りがいつになくめちゃくちゃ軽い。
「今日は、なんだかすごく気分がいいな……」気のせいか、足どりが軽くなっていた。
***
それから数日後、マティアスさんから「絵が完成した」と連絡が入った。週末に取りに行くと連絡し、了解が出たので、早速週末に行くことにした。
名刺の住所へと向かう道中、僕の胸は期待でいっぱいだった。完成した絵はどんな風になっているだろうか。それに、またあの魅力的なマティアスさんに会えるのがとても嬉しい。結婚されているのかな?お子さんはきっと天使みたいに可愛いんだろうな……。あ、いやアトリエだからプライベートは見れないか。他の絵も見せてもらえるといいな〜。
いや、待てよ。なんでこんな乙女みたいな気分でワクワクしてるんだ?思わず独り言が漏れそうになり、そんな期待でいっぱいの自分に気がついて、急に恥ずかしくなってしまった。でも、今日はどんなスタイリッシュなセンスを見せてくれるのか、期待が膨らむ。
妄想と葛藤をしているうちに、目的地に到着した。
白い漆喰の壁に、日本の伝統的な「蔵」を思わせるような外観。
外から中の展示物を見せるための大きな窓。開放的でシックな画廊だった。
場違いな感覚にとても入りにくささを感じ…いや精錬されたセンスに圧倒されて躊躇する心を折りながら、思い切って入ってみる。
「こんにちは!嵐山建人と言います。本日マティアスさんとお約束していた者です!」
頑張って声を張ってみた。すると奥から女性が来てくれた。
(わーこの人もおしゃれだわ…)心の声が漏れてしまった。
「お待ちしておりました、建人さんですね。マティアスは2階のアトリエにいますので、少々お待ちくださいね」そう言って、マティアスさんを呼びに行った。
その間に、飾られた絵をに見惚れていたがその金額は僕の想像を超えていた……。
「建人は来たかい?ちょっと…ちょっと待っててもらってていいかな?」
なんか慌ててるよ〜。今日行くと伝えてたけど忘れてたのかな??一人でウキウキしてたのにバカみたいだったな……。いやいや、何を期待してたんだ??
「建人さん、少しお待ちくださいね。彼、朝からあなたが来るのを心待ちにしていたのに、作業に取り掛かってたら時間を忘れるみたいで…うふふ」うん!忘れてなかったと思う!そういうことにしよう。
「はい!、お忙しい合間にお時間をいただけたことが奇跡と思っているます。大丈夫です!」
「暑かったでしょう?冷たいお茶をお出ししますね。アイスコーヒでいいですか?」
「ありがとうございます。ではホットコーヒーがあれば嬉しいです!」
そんなやりとりをしていたら、上からマティアスが降りてきた。
「ごめんね、待たせてしまって!上においでよ!」
見上げると、マティアスさんが手すりに手を添えて、爽やかな笑顔で声をかけてくれていた。キラキラしてる!すぐに返事をしスタッフの女性、綾子さんに声をかけて2階へ上がっていった。白い絨毯の柔らかさが体に染み渡る…心地いい。彼の部屋に向かうと早速目に入ったのは、マティアスさんの出立ちだった。
カフェの時とは打って変わり、体にフィットした白いシャツにブルーのショートパンツ、足元は素足にサンダルというラフな格好をしていた。なのに、その緩い雰囲気がとてもナチュラルで見習いたいと思った。
まるで、雑誌から飛び出してきたモデルのようだ。
「マティアスさんは、もしかしてモデルをされていましたか?体幹もすごく綺麗だし、格好良すぎますよ!羨ましいです」
「Haha! そうだよ。若い頃は絵だけでは食べていけなかったからね、日本でモデルをやって生活費を稼いでいたんだよ。さあ!約束の絵だ。額装も済ませておいた」
差し出された絵を見た瞬間、息を飲んだ……。
同時に激しい『申し訳ない』という感情も湧き出てきた。
タダで貰うにはあまりにも素晴らしすぎる作品だったからだ。無限に広がる宇宙の深淵に吸い込まれそうな臨場感。そして、どこか胸が締め付けられるような、痛みを伴う火花の描写。それらを完璧に引き立てる素朴だけど、高級感のあるシンプルな額縁。
「マティアスさん!これは素晴らしいなんで言葉じゃ足りません。やっぱりお金を払わせてください!」
「Haha! そういうと思ったよ。でも、下の画廊で私の絵のプライスを見たでしょう?私がこれにお金をつけるとなると、それなりになってしまうからね!気にしないで、君はXXXXXX」
「え?」最後の一言が聞き取れなかった。けれど、あえて聞き返さなかった。
「では、この埋め合わせは、いつか必ずどこかでさせてください!」
「ああ。それなら僕と友達になってくれたら嬉しいな。それを埋め合わせということにしてよ」
「そんなことでいいんですか?あなたのような素敵な人にそう言って貰えるなんて、光栄です」
それから僕たちは、絵のことや他愛のない会話で静かな時間を共有し、僕は名残惜しさを感じなからも、大切な絵を抱えてアトリエを後にした。
建人が去った静まり返ったアトリエ・・・
マティアスは描きかけの大きなキャンバスの前にある椅子に深くかけた。バカラの重厚なグラスに注がれたウィスキーを口に含み、ゆっくりと喉を潤す。スモーキーなピートの香りとアルコールの熱い感覚が全身の細胞の隅々まで染み渡っていく。
「やっとだ…ふう」と安堵したように項垂れた。
***
自宅に戻った僕は、早速絵をどこに飾るか一人で頭を悩ませていた。
この素晴らしい絵にふさわしい場所を色々と考えてみたが、最終的に寝室に飾ることに決めた。ここなら
1日の終わりに誰も邪魔されず、落ち着いて心ゆくまで眺められる。さらに、壁に掛けるのではなく床置きにして、ベッドに横たわった時にちょうど目に入るくらいの位置で丁度いい。
深い青と銀色、そして繊細な金や鮮やかなエメラルドグリーン……。
一体どうやってこんな美しい色を作り出しているのだろう。激しくスパークしている赤やオレンジの火花を見つめているうちに、心地よい疲労感が押し寄せ、瞼はゆっくりと閉じていった。
だがその直後、目の前に突然強烈なフラッシュが弾け爆発した感覚がした。
「うぉ!?」心臓が跳ね上がり、思わずベッドから飛び起きる。誰もいない部屋を見まわした。え?今のなに??またどこかで変な霊でも連れ帰ってしまったかな?
不気味に思いながらも、睡魔には勝てず再び寝返りを打って目を閉じた。すると今度は、耳元に誰かの声が聞こえてきた。
「レイダー!!」
「レイダ!」って誰だよ……必死に叫んでいる人の声がするなあ……。
寝ぼけた頭で、他人事のようなツッコミを入れながら、再び深い眠りへと沈んでいった。
次に意識が切り替わった時、世界は別のシーンを映し出していた。今度は先ほどの張り詰めたようなシリアスな空気感はない。耳に届いたのは驚くほどリラックスした男女の睦まじい会話の声だった。
「ねえ、アヌ。前回の個展にいたアーヴさんという方なんだけど……あの人、どういった職業をされているのか知ってる?私、彼のことをどこかで見たことがあるような気がするのよね。少しお話したけどとても感じの良い方だったわ」
バスタブの心地よい温度の湯船に浸かりながら、レイダはアヌに問いかけていた。
「僕もよく知らないよ。時々個展には来てくれるが直接買ってくれたことはないね。でも宇宙連合関係の仕事をされているようだから、いろんな人を連れてきてくれるいい人さ。何か気になるの?」
「ううん……そうでもないのだけど、なんだか少し気になるかな」
「まあ、そのうち思い出すさ、それよりレイダ。いい加減のぼせる前にバスタブから出ておいでよ。それとも一緒に僕も一緒に入ろうか?」
アヌはイタズラっぽく微笑むと、その場で服を脱ぐジェスチャーをして見せた。
「もー……」呆れたように口を尖らせつつも、レイダの心は満更ではなかった。片足を高く上げて艶かしくゆっくりと彼を誘う。アヌはそのまま勢いよく服を脱ぎバスタブにそっと入った。
バスタブで二人は向き合いアヌの大きくて温かい手が、レイダの引き締まったふくらはぎから足首へと丁寧に揉みほぐしていく。心地よい刺激にレイダの体からすっかり力が抜けていく。
「今日も沢山歩き回ったから……」レイダは心地よくなり眠くなってきたようだ。
アヌはマッサージを続けながら徐々に距離を詰め、更にレイダの身体を自分の方へと引き寄せた。そして、彼女の目の奥をじっと見つめる……レイダの瞳は、深い黒の中に神秘的な金色の光が煌めき、吸い込まれそうなほど美しい色をしていた。その瞳に酔いしれるように、アヌは愛おしさを込めて彼女の体を慈しんだ。
お互いの視線を熱く絡ませあい、自分という存在の境界線が消えていくほどの、魂ごと溶けてしまうのではないかと思うほどの快感がレイダを支配していく。恍惚に身を委ねるレイダを見つめながら、アヌは愛おしさを耐えきれないといった様子で、彼女の体に触れていった。
二人はそのまま、言葉にならない甘い吐息を重ね合わせ、宇宙の果てで二人きりになったような至福の時を過ごすのだった。
***
建人は、ゆっくりと目を覚ました。
「・・・」言葉が出なかった。夢なのにリアルすぎて、自分が何者なのか分からなかった。
「アヌ……」ベッドの上で仰向けのまま天井を茫然と見つめる。
なぜなら、臨場感のあるあの感覚がまだ全身に残っていたからだ。夢の中では自分は間違いなく「レイダ」という女性で、あの銀髪の美しい男性アヌに激しく抱かれていた。
その熱い体温や、指先が触れた感触、そして身体の奥から解かされるような快感の余韻がリアルすぎて、男である今の自分としては猛烈に気恥ずかしくてたまらない。でも、よく分からないけど心からリラックスしているのはなぜだろう。今までこんな感じになったことがない。
もう一度眠てみたら、続きが観れるだろうか……ふふ(笑みが溢れる)
「今日はどんなスケジュールだっけ」と言ってスマホの画面を見てみると朝の7時30分。今から動けばいつもの出社時間に間に合う。建人は残る余韻を振り払うように頭を振り、手早く支度を済ませると慌ただしく家を出て会社へと向かった。
閲覧いただきありがとうございます!!
こちらでは性描写のある内容を書いていますので、是非ご覧になってください!
R18:ミッドナイトノベルズ:ペンネーム 天賜 撫子
君と紡ぐ幾億の夜〜折り重なる宇宙
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