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ファンタジーを現実に  作者: 王国民
異世界転移編
3/207

レベルアップ

 本日3話目です

 オレはゴブリンらしき魔物から逃げ回っていた。途中でソフトボールより少し大きな石を拾った。

 ここに来る前に拾った黒猫も、きちんとオレの後を付いてきているのを確認し、低い木に登った。猫は木登り得意でいいな。


 ゴブリンの棍棒も届かない高さだし、太めの木だから登るには棍棒を持つのは無理だろう。

 バラバラになるように逃げ回ったかいがあったようだ。まず1匹だけ追い付いた。


 そのゴブリンは、キーキー騒ぎながら棍棒で木を叩く。

 オレに届かないのを理解して、棍棒を捨てて登ってくる。


「来んな!」


 怯える演技をすると、ゴブリンが悪そうな顔で笑っている。

 両手に力を入れて自分の体を持ち上げようとするゴブリンに、思いきり石を叩き付けた。


「グギャァ!」


 グシャっとした感触が手に伝わってきた。頭蓋骨が折れた感触もあったので、すぐに死ぬだろう。

 ゴブリンは木から落ちていき、地面でぐったりしている。


「ギャギャ!?」


 10秒くらいして次のゴブリンが来る。仲間が倒れているのを見て、驚いた感じで駆け寄った。

 そのゴブリンに、騒いで注目させたら、ギャーギャー騒いだあと木に登ってきた。


 さっきの要領で殴って落とすというのを繰り返していると、なぜだか4匹目で力が湧いてきた。

 普通は疲れるはずなんだけど、石が軽く感じるな。ゲームみたいにレベルアップでもしたか?


 最後の1匹には殴るところを見られてしまったので、警戒して登って来ない。

 下でキーキーうるさい。このまま騒がれたら別のが寄って来るかもしれない。降りて戦おう。


 ゴブリンは石を頭に叩き付けたら死ぬのは判っているし、十分に倒せる相手だ。

 オレは持っていた石をゴブリンの顔面に投げ付けて牽制する。

 腕でガードしたが、尻餅をついた。その隙に飛び降りて棍棒を拾う。


 起き上がったゴブリンが、棍棒を手に近付いて来るので、気持ちを落ち着けて正眼(せいがん)に構えた。

 剣道なんて授業で少し習っただけだ。少し緊張するな。


 あの牙で噛まれたら病気になりそうだ。回復手段がないんだから、怪我は絶対にできない。

 オレが慎重に戦おうと考えていたら、ゴブリンはオレが怯えてると勘違いしたのか、笠に着て攻撃してきた。


 それほど速いわけではなく、振り下ろすゴブリンの攻撃を、棍棒を横にして両手で受け止め、前蹴りを放つ。

 腹を狙ったのだが、ゴブリンが小さいので胸を蹴ってしまい、ゴブリンの胸骨が折れた感触が脚に伝わってきた。気持ち悪い。


 石を通して伝わってくる感触と、直接伝わってくる感触はやっぱり違うな。

 倒れてもがいているゴブリンに止めを刺してから、汗を拭う。思ったより緊張していたようだ。


 とりあえず猫を回収して、この場所から離れよう。血の匂いで別の魔物が寄ってくる前に。

 走っていると、ゴブリンと戦う前よりスピードが上がっていることに気付く。

 やっぱりレベルアップしたんじゃないか? 敵を倒して強くなるのはゲームでは当たり前だし。


 とりあえず近くの木に登って考えてみよう。自分の力を確認できるなら、勝てる敵か勝てない敵かを予想しやすい。

 数値化されるなら、基準値ができるわけだし、ゴブリンのステータスだって予想ができる。


「メニュー画面とかが出るのか?」


「にゃ~」


 この黒猫は動じないな。あんな生物に襲われたのに、ノンキに鳴いている。

 メニュー画面とかはないらしい。なら、ステータス画面だけか? 道具とか収納できるとラクなんだけどな……残念だ。


「ステータス」


 なんとなくではなく、ステータス画面を想像しながら呟いてみた。


 レベル2 逢坂想太

 HP 33 MP 52

 筋力 14 体力 23

 敏捷 15 器用 11

 魔力 19 魔防 10

 個人スキル 空想魔法


 出たな。高いのか低いのか判らないけど。ゴブリンの攻撃を受け止めた感じだと、受けるのがそんなに苦しくはなかった。

 せいぜいが2リットルのペットボトルを3つ持ったくらいの感じだった。あれなら1時間くらいは耐えられる。


 数値はたぶんオレより少しだけ低いくらいだろう。

 スピードはオレの半分以下のスピードだったし、数値は半分なのか、1ポイント違うだけでその差が付くのか判らない。

 次のレベルアップで数値を見て考えるしかないな。


 部活でも使ってるバックに、ストップウォッチが入ってるし、100mくらい走って調べるか。

 オレの靴の大きさが24cmだし、厚みを考えたら25cmくらいだろう。

 4個分で1mだし、これで測ってみれば100mでなくても、次の計測も同じ距離で計測できる。


 個人スキルは気になるが、そっちは使い方も判らないし後回しでいいだろ。

 距離を測ってストップウォッチで計測してみると、10秒08だった。

 元々の記録は11秒15だったので、かなり速くなってる気がするな。


 また木の上に避難して、とりあえず喉の渇きを潤そう。

 コツとしては渇きを感じる前に少し飲むほうがいいと思う。

 渇きを感じてからだと、ついつい飲みすぎてしまうかもしれないからな。気を付けよう。


 とりあえずジュースは猫に飲ませると危なそうだ。

 水があればよかったんだけど、お茶は大丈夫だったかな? たしかダメだったような。

 自信がないからやめておこう。スポーツドリンクなら大丈夫か? 薄めたいけど水がないしな。


 川でも探してからにするか。

 オレだけ水分補給するのは気が引けるが、動きが鈍くなっては困る。


「悪いな。すぐに川を見付けて水を飲ませてやるからな」


 黒猫に声を掛けたら、にゃあ、と嬉しそうに鳴いた。


「ごしじんさま。気にしにゃいでいいにゃあ」


「うおぉぉぉぉ! 猫が喋ったぁぁぁぁ!」


 すぐに大声を出すことが危ないのに気付いて口を閉じた。

 黒猫を抱っこして飛び降りると、念のために場所を移すことにした。


 500mほど離れた場所で、オレは黒猫に向き直った。

 かなり速く走ったので、そこそこ疲れた。

 上限が1でも100でも、本人の全力を発揮したら10~20秒くらいで、誰でもバテる。

 そこはレベルアップしても変わらないのは当たり前だ。


「はあ~。ちょっと息を整えるから、待っててくれ」


「わかったにゃ。ボクはちゅーじつにゃ」


 猫ってそんなだっけ? どうでもいいか。個性だよな。あとオスだったんだな。


「それで、なんで喋れるのに黙ってたんだ?」


 喋れるのはたぶんステータスにあった個人スキルのせいだろう。

 この黒猫も魔法陣で呼ばれたんだし、オレみたいに何かの力を与えられてもおかしくない。


「変にゃ顔のおじさんに襲われてたから、びっくりさせると思ったにゃあ」


 気を遣われてたのか……いい猫だ。あれは小さいオッサンではなくゴブリンだけどな。


「お前、名前はあるのか?」


「飼われてた頃はニャン五郎と呼ばれていたけど、その(にゃ)は捨てたのにゃ」


 捨てたのは捨て猫になったからか、たんに名前が気に入らないだけか聞いてみたいけど、たぶん両方だな。


「今度は捨てられにゃいように尽くすにゃ」


「別に尽くさなくても捨てたりしないから心配するな。お前にもステータスはあるだろうから、開いてみろ」


 元ニャン五郎は、言われた通りにステータスを開いた。


 レベル1 名無し

 HP  3 MP  0

 筋力  1 体力 30

 敏捷 43 器用 15

 魔力  0 魔防  4

 個人スキル 人語 飛爪


 飛爪(とびづめ)ってなんだ? 名前からして遠距離攻撃っぽいが。


「なあ、これはなんだ?」


 猫に聞いてもなぁ、と思いながらも指を差して聞いてみると、触ったら説明が出た。


「親切さんだにゃ~」


 確かに親切だな。魔法の使い方を習わなくても使えるかもしれん。あとで自分のも確認しよう。


 飛爪は普通に腕を振るよりも、10倍くらいの体力を消耗するらしいが、5mくらいの距離まで真空波を飛ばせるらしい。

 威力や射程は使用者の強さによって変わるみたいだし、黒猫のレベルアップもしてみよう。


「便利な力だな。あと、名無しだから名前を考えたらどうだ?」


「それはごしじんさまが決めて欲しいにゃ。変にゃ名前じゃにゃい限り文句は言わないにゃ」


 それはいい名前じゃなかったら言うんだな。


「じゃあ同じ猫科だし、獅子みたいに強くなるようにレオで」


「ありがとにゃ! 絶対に強くにゃって、ごしじんさまを助けるにゃ!」


 オレの力によっては強くなる必要はないかもしれないけど、やる気になってるし黙っておくか。

 想太のレベル1のステータスです。


 レベル1 逢坂想太

 HP 25 MP 36

 筋力 10 体力 18

 敏捷 12 器用  9

 魔力 14 魔防  7

 個人スキル 空想魔法

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