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迷宮動物誌 〜私と魔物たちの楽園暮らし〜  作者: ローラーコースター
第一部 三章 二節 世界を揺るがそう!

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第45話 自動販売機の裏

楽しんでいただけたら幸いです。ブックマークや評価、感想、誤字報告よろしくお願いします。

 キョウコちゃんが案内してくれたのは渋谷の外れにある雑居ビルだった。都内ならどこにでもありそうな建物、そのビルの壁に一台の自動販売機があった。自動販売機でよく見る飲み物が並んでおり、左上から1〜20までの番号が振られている。

 キョウコちゃんはそこに日本円ではない硬貨、世界冒険者協会の紋章が刻まれたコインを投入すると、自動販売機に光が灯る。キョウコちゃんは次から次へとボタンを押していくが、一向に飲み物は出てこない。


『7-11-5-8-13-9-20-19-1』


 ボタンを押し終えると、キョウコちゃんはお釣りを出す時に使うレバーを弾く。すると、先程のコインが出てきて、キョウコちゃんがそれをポケットに戻した。キョウコちゃんが自動販売機を軽く押すと、扉の様に開いた。

「こんな場所あるんだね。」

「私も支部長に言われた通りやってるだけで、信じられないわよ。」


 自動販売機の奥には階段があった。私たち三人が通ると、自動販売機が閉じて鍵がかかる重々しい音が鳴る。階段を下ると暖簾のかかった引き戸があり、中には雰囲気のいい居酒屋があった。

「いらっしゃいませ。ご予約のお客様でしょうか?」

「いいえ。」

そうキョウコが言う。

「お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」

「世界冒険者協会よ。」

「ではこちらへ。」

この一連の会話も合言葉の様なものらしく、私たちは個室に案内された。個室の中には片目に傷のある褐色の美女がいた。

「おおキョウコ、来たか。」

「はい、アンナ支部長。トモちゃんとそのお友達も一緒です。」

アンナと呼ばれたその女性は筋肉質な腕で煙草の火を消すと、目線をこちらに向ける。

「私は秋野アンナ、世界冒険者協会日本支部の支部長だ。君が小田原トモか?」

「はい、小田原トモです。いつもキョウコちゃんがお世話になってます。」

「それでその連れの少女は?」

「この子はアンナちゃんっていいます。」

「ここでの話し合いに巻き込んでいいのか?」

私は何と返せばいいのか分からなくて、黙ってしまう。するとアリスがこう返す。

「私はアリス。小田原トモの庇護下にある。あなたを納得させるならば、飛騨ダンジョンの元ダンジョンマスターと言えばいいかな?」

刹那、アンナさんの表情が一変する。この前崩壊したダンジョンの関係者となれば、当然だ。

「トモ、この場では隠し事は不要だろう。今後の交渉もこの人間たちを通せば円滑になるだろう。」


 私たちは席に座ると、飲み物と食べ物を注文する。

「私はテネシー・ウィスキーをロックで。」

アンナさんは大人なハードリキュールを注文する。

「じゃあ私は梅酒ロックで。」

キョウコちゃんは前から甘いお酒が好きなので、梅酒一択の様だ。

「アリスちゃんはどうする?」

「ダンジョンにはお酒がないからな。試しにコロネル・ビールで。」

アリスちゃんはメキシコのビールを注文した。コロネル・ビールはほろ苦さも喉越しも控えめで、飲みやすい。ライムの切り身と共に飲むのが主流だ。

「じゃあ私もコロネル・ビールで。食べ物はどうする?」

「ここは鶏と豚のもつ焼きがおすすめだ。」

そうアンナさんが言うので焼き鳥から皮、ネギマ、砂肝、ハツ、ぼんじりを頼み、豚のもつ焼きはタン、レバー、シロ、ハラミを頼んだ。それからもつ煮込みも注文する。


 お酒が届くと、早速アンナさんが話し始める。

「正直に言うと、聞きたいことが多すぎて何から話すべきか分からないが、まずは迷宮開拓作業の休暇から退職までの期間は何をしていた?時を同じくして各地のダンジョンで異変が乱発していたが。」

私はアリスちゃんの方を見る。

「この建物に敵意のある人間はいないだろう。万が一トモに何かあれば東京都を灰燼に帰することもできる。全て話して問題ないだろう。」

「じゃあアンナさんを信じて、全てをお話しします。」

読んでいただきありがとうございます。現在、毎日3〜4話投稿しています。

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