第9話:入学試験(7)
実技試験が終わり、三次試験が始まった。
三次試験は、自由試験だ。
自由試験では、最も得意な魔術を見せて、試験官にアピールする。
既に、俺の合格はほぼ確定しているので、三次試験は気楽に受けよう。
「……ふう。ようやく、私の得意分野を見せられる日が来ました。アレクさん、ちゃんと見ていてくださいね!」
三次試験で、ユリカは巨大なオリハルコンゴーレムを生成した。
……なるほど。
ユリカは、生成魔術を得意とするタイプの魔術師のようだ。
オリハルコンゴーレムを作れる実力があれば、恐らくは合格できるだろう。
「今から、オリハルコンゴーレムを自爆させます!」
ユリカがスイッチを押すと、オリハルコンゴーレムが派手に自爆した。
……やはり、ユリカは爆発が好きなのかもしれない。
自爆したことで、オリハルコンゴーレムは融解し、不格好なオリハルコンの塊になった。
「【アーティファクトヒール】!」
ユリカが回復魔術を得ると、オリハルコンゴーレムは元の形を取り戻した。
おお、と会場がどよめく音が聞こえた。
アーティファクトヒールは非常に難易度が高い魔術であり、アーティファクトの専門家ですら、大半はアーティファクトヒールを使えない。
「どうですか? ちゃんと見てくれましたか?」
「凄いな。どうやって、アーティファクトヒールを覚えたんだ?」
「はい。私、ゴーレムを自爆させるのが趣味なんですけど」
「凄い趣味だな……」
「それで、ゴーレムを自爆する度に、また作り直すのが面倒なので、頑張ってアーティファクトヒールを覚えたんですよ。これで、何度でもゴーレムを自爆させることができます!」
ゴーレムについて語るユリカの瞳は、キラキラと輝いていた。
「……そ、そうか。あれなら、合格は間違いないな」
「何かが爆発する音を聞くと、癒されますよね。だから、私はエクスプロージョンが好きですし、ゴーレムを自爆させるのが大好きなんですよ!」
「……まあ、趣味は人それぞれだからな」
俺はこの話題に深入りするのを避け、笑ってごまかした。
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