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第40話:東の風と深淵の門

場所:ギャロムーア国 エメラルド平原


リバーベンド市の外に広がる広大な起伏のある草原は、果てしない波打つエメラルドの海のように地平線に向かって広がっていた。風が平原を吹き抜け、野花と日差しに焼かれた土の甘い香りを運び、高い草を魅了するようなリズムでざわめかせていた。


遠くに、紺碧の空を切り裂いて、ハイランディア山脈のギザギザした雪をかぶった峰々がそびえていた。それは、疲れた召喚された十代の若者たちのグループに新たな活力の感覚をもたらす光景だった。


「本当に近づいてるんだ」サキが手で目を日陰にしながら、遠くの山々を見つめて言った。明るく希望に満ちた笑顔が彼女の顔に広がった。「昨日リバーベンドで商人と話したの。ハイランディアは実質的に私たちの世界の歴史の鏡だって言ってた。着物風の衣服を着て、建築は完全に東洋的で、国全体が将軍によって統治されているんだって」


「食べ物について言及してたかどうか教えてくれ」別のクラスメイトの少女が懇願し、その胃がタイミングよく鳴った。


サキの目が輝いた。「米よ。彼は実際に適切に栽培された白米があるって確認したの。それに醤油よ! 本物の醤油! 西方地域で使ってるあの変な塩味のキノコペーストじゃないの!」


集団から絶対的な憧れのため息が漏れた。温かい風呂と白米に醤油をかけたものの約束は、ヴァエロリアの王が彼らに与えられたどんな神聖な依頼よりも効果的な動機づけだった。


ハイランディアへの街道は長かったが、危険なアウトランドの国境と比較すれば比較的安全だった。彼らは時折低レベルの徘徊するモンスター――大型の狼やはぐれゴブリン――に遭遇したが、重武装した英雄たちが数秒で片付けられないものではなかった。


「警戒を緩めるべきではないが、少しは息をつく余裕がある」リナは宣言し、銀の杖を柔らかい土に突き刺した。彼女の金色の髪は日差しを受け、彼女の落ち着いた権威ある顔を縁取っていた。「国境で集めた最新の政治ニュースによると、西方大陸は東方大陸と比較して悪魔の活動が劇的に減少している。ここの前線での戦闘はほぼ完全に停止している」


「それは私たちにとって信じられないほど幸運だ」海斗は指摘し、鎧の革の帯を調整した。「もし今本当の悪魔将軍に遭遇したら…それは血祭りになる」


「その通りだ」リナは陰鬱にうなずいた。「達也くんと私は最近ランクSに到達したが、残りの皆はランクAの頂点に確かに座っているが、悪魔司令官はまったく異なる規模の力で活動している。私たちは強いが、無敵ではない」


何時間も歩いた後の疲労が広がるのを見て、リナは手を上げた。「よし、皆。ここで休憩しよう。いいペースで来ている」


安堵のうめき声とともに、クラスメイトたちは柔らかく冷たい草の上に崩れ落ちた。


達也は後ろにもたれかかり、両腕を頭の後ろに組み、雲一つない青い空を見上げた。彼は目を閉じ、長く深く息を吸い込んだ。「はあ…ここの空気は別物だな。あまりに清浄で、肺が焼けるくらいだ。元の世界じゃ絶対にこんな空気は吸えない。特に東京じゃな」


海斗が彼の隣に座り、水筒を手渡した。彼は達也を注意深く見て、彼のリラックスした態度を分析した。「目が澄んでいるな。知能の値がいつ正常に戻ったんだ?」


達也は水筒を受け取り、少し歪んだ、やや照れたような笑みを浮かべた。「最近だ。数日前に目が覚めたら、頭の中から巨大な霧が取り除かれたように感じた。何かを殴りたくなりながら複雑な文章を組み立てられるようになった」


海斗は自分が息を止めていたことに気づき、息を吐いた。彼は深く心配していた。達也は壊滅的な究極能力を持っていたが、それは呪われた称号【戦闘愛好者】と結びついていた。達也が長期の戦闘に従事すると、呪いは強制的に彼の知能の値を消耗し、それを生の身体能力と制御不能な殺戮欲求に変換した。彼は狂戦士になり、味方と敵の区別がつかなくなる。


海斗はリナの方に目を向けた。「リナさんのおかげだな?」


達也はうなずき、右の袖をまくり上げて、彼の前腕に刻まれた複雑な輝く金色のルーン文字の円を明らかにした。「ああ。彼女が聖魔法を使って呪いに高位の封印を施してくれたんだ。彼女が魔力の繋がりを維持している限り、俺の知能は固定され、【戦闘愛好者】の称号は抑圧される。彼女には本当に感謝している」


海斗は同意のうなり声を上げ、それからリナが座っている方を見た。彼女は細心の注意を払って杖の水晶を磨いていた。


「おい、リナさん」海斗は呼びかけた。その口調ははるかに深刻なものに変わった。気軽な雰囲気がわずかに暗くなった。「考えていたんだが…クラスメイト全員を集めたら、正確にはどうするつもりなんだ? 私たちはこれらの国々に散らばっているが、いったん集まったら…それからどうする?」


リナは磨くのを止めた。彼女はすぐには顔を上げなかった。リーダーシップの重みは重い衣であり、彼女は召喚された日からそれを着ることを強いられていた。


「全員が集まったら」リナは言った。その声は安定し、断固としていた。「元の世界に戻る方法を見つける。それが私の唯一の優先事項だ」


「同意する」達也が割り込んだ。誰も明示的に彼の意見を求めていなかったにもかかわらず、驚くほど真剣だった。彼は起き上がり、前腕を膝の上に置いた。「剣を振るうのは好きだが、ここは俺たちの家じゃない。政治、戦争、領土紛争…この世界は地元の人々のものだ。私たちを誘拐した王のために血を流すのが俺たちの役目じゃない」


「たとえそれがここにいる人々に背を向けることを意味しても?」海斗は優しく詰め寄った。「たとえ帰るための切符を得るために魔王と戦うことを期待されても?」


リナはついに顔を上げた。その青い目は広大な開けた空を映していた。「魔王と戦うか? 誰にも分からない。もし魔王が私たちと帰路の間に立ちはだかるなら、そうだ、私たちは彼らを通り抜ける道を切り開くだろう。しかし私は私たちが神聖な戦争の使い捨ての駒として使われることを拒否する。私たちは生き延びている、海斗くん。それだけだ」


風が草の上を柔らかく遠吠えし、彼女の言葉の重みを東の遠くの山々へと運んでいった。


◆


場所:フロンティエラ国 シーニスの空洞ダンジョン、50階層


地の下の世界は、ギャロムーアの日差しに照らされた平原とは、はっきりとした恐ろしい対照だった。


シーニスの空洞の奥深くでは、空気は凍てつき、凝縮されたマナの金属的な味と古い血の銅のような香りで濃厚だった。燐光を放つ青い結晶がギザギザした洞窟の壁から突き出し、長く不気味な影を石の床に落としていた。


詩織は前衛の最前列に立ち、その息が凍てつく空気の中で白く煙っていた。彼女の後ろには彼女の中核チームが立っていた:聖女イヴリン、ゆあ、めい、和良、翔太、佳志。彼らは打ち身だらけで、完全に疲労困憊し、モンスターの体液で覆われていたが、その目は壊れない決意で燃えていた。


何週間もの間、彼らは深淵へと降り続けていた。彼らは危険な迷宮を地図に描き、致命的な魔法の罠を解体し、無数の地下の悪夢の大群を虐殺した。彼らは49階層の制覇に成功した。


今、彼らは一対の巨大な古代の青銅の扉の前に立っていた。複雑に竜の骸骨の顔が彫られていた。50階層。最初のボス部屋。


フロンティエラ冒険者ギルドの記録された歴史全体において、どの人間の集団もこの特定のダンジョンの30階層を通過したことはなかった。圧力は息苦しかった。


しかし、詩織のクラスメイトたちだけがボスの扉の前に立っているわけではなかった。


数歩離れて、危険な環境にもかかわらず明らかに傲慢に見えるのは、精鋭の地元のAランク冒険者の分隊だった。フロンティエラギルドは彼らを詩織の遠征に強制的に同行させていた。ギルドの長は召喚された英雄たちの恐ろしい進行速度を認識し、彼らが一人でダンジョンを制覇すれば、全ての古代の遺物、ダンジョンの核、そして栄光を独占するだろうと悟った。ギルドは異国の異常者が地元の英雄たちを辱めることを許せなかった。


ガレス『鉄皮』、塔盾を担ぐ傷跡のある巨大な人間の前衛は、石の床に吐き捨てた。「よく聞け、召喚された英雄たち」彼は唸った。その深い声が洞窟に反響した。「ここまで生き延びたのは認めてやる。しかしボスの階層は別種の地獄だ。俺の後ろにいろ、邪魔するな。そうすればお前たちの死体を地表まで運ばなくて済むかもしれない」


彼の隣で、エララ、冷たく計算高い目を持つしなやかなエルフの弓使いが、輝く弓に矢をつがえた。「ギルドは階層ボスの主要なマナ結晶を要求している。派手で制御不能な魔法で誤ってそれを破壊するな」


ボラン、猫背で貪欲な目をした人間の魔法使いは、暗く笑った。「扉が開いた時に尻を濡らさないようにだけはしろよ」


翔太は歯を食いしばり、双短剣への握りを強めた。「この傲慢な野郎ども…俺たちがここまで連れてくるために重労働を全部やったのに、今じゃ自分たちが指揮官だって顔をしやがって」


「無視しろ、翔太くん」詩織は命令した。その声は氷の刃のように緊張を切り裂いた。彼女はガレスやその仲間たちを一瞥もせず、クラスメイトの中心に歩み寄り、即座に彼らの完全な注意を引き付けた。


「よく聞け」詩織は指示した。その目は友人たち一人一人に固定された。「私たちは何週間も潜り続けてきた。体力は限界だ。このダンジョンにはボスの階層が二つしかない――50階層と100階層だ。これが最初の大きなふるいだ」


彼女は手を上げ、戦術魔法を使って小さな映像の地図を投影した。


「あなたたちのリーダーとして、私の主な指示はあなたたちの生存だ」詩織は断固として言った。「私はあなたたちの誰にも究極能力や高位魔法を無差別に使用することを禁じる。ボスが何かを見る前に、急速に魔力を消耗することをしてはならない。魔力を温存し、攻撃の型を分析するまで防御的に戦う」


ゆあはうなずき、回復杖をしっかりと握りしめた。「わかりました、詩織さん」


「さらに」詩織は続け、巨大な青銅の扉を指さした。「あの扉の向こうの空間の広がりは異常だ。隙間から漏れるマナ密度に基づけば、ボス部屋は巨大だ――おそらく小さな市区ほどの大きさだ。もし敵が広範囲攻撃を使用すれば、密集していれば全滅する」


彼女は和良と佳志を見た。「密集するな。前衛と後衛の間に最低二十メートルの分散を保て。もしガレスと彼のギルドの子分たちが盲目的に突入し、ボスの周りに密集したいなら、そうさせろ。敵の仕組みを研究するための餌として使う」


彼女の冷たい戦術的評価を聞いて、ガレスは深くしかめ面をしたが、何も言わなかった。彼はその少女が恐ろしいほど賢いことを知っていた。


「準備はいいか?」詩織は尋ね、自身の武器を抜いた。


彼女のクラスメイトたちは一斉に武器を抜き、鋼鉄と唸るマナの合唱が彼女の呼びかけに答えた。


ダンジョンの土台そのものを揺るがす耳をつんざくようなきしむうめき声とともに、50階層の巨大な青銅の扉がゆっくりと内側に開き始めた。古代の腐敗した空気の波が彼らを洗い、続いて彼らの結晶の光を飲み込むかのような抑圧的な暗闇が続いた。


詩織は目を細め、その敷居を越えて深淵へと足を踏み入れた。


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