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72.カードファイターララ!!

 

 

 学際も何とか終了し、普段の生活に戻りのんびりとアパートでお昼に新製品のカップ焼きそばを作ってる時にそれは起こった。


『マスター!ただいまなのです!!』


 その声に一瞬空耳かと思い、周囲を見回す。がTVには、お昼の情報番組でヤシオさんが軽快なトークを繰り広げ、目の前には作りかけのカップ焼きそば。

 この焼きそばは湯切のお湯を何とか利用出来ないかと言うコンセプトに(昔はこれでカップスープを作るものがあった)リゾットっぽいものを作る為、フリーズドライされた味付けライスが別袋に入っている。

 ライスをマグカップに入れて、5分経ったカップ焼きそばに入れたお湯をそこへ注ごうとしたころで声がしたのだ。

 今は先にこっちを優先しようと思い、マグカップにお湯を入れ焼きそばの紙製フタをぺりパリ剥がしソースを渦巻状に回し入れてかき混ぜる。

 幾分か全体に回ったところで青のり&スパイスを全体に満遍なく蒔いて箸でこれもまたかき混ぜる。

 そして焼きそばが出来上がった時を見計らったように再び声がしてくる。


『マスター、ララなのです』

「え?ララっ!?」


 僕も再度周囲を見回し、そういやと気づき端末を取り出しテーブルへと置く。

 するとホロウィンドウが現れ、ララのバストアップ画面が表示される。


『ララは帰って来たのですっ!!』


 右拳を突き上げ声高らかにそんな事を言い出した。なんか悪いウィルスでも貰ったのだろうか………。

 何はともあれ元気そうで良かった。


 ララとはあの時以来会っていなかったので元気でやってるか心配はしたいたのだ。

 姉に聞いてみれば、ヤマトとウリスケと一緒にマルオー村の先の街へと進み攻略を進めていると聞いてはいたけど、こういうのは直接話さないとやはり心配ではあったのだ。

 ララに詳しく話を聞こうと思ったら、逆にララが話しかけてきた。


『マスター、早く食べないと麺がのびちゃうのです。食べながらお話するのです』


 ララのその言葉に僕は慌てて焼きそばを食べ始める。

 湯切りのお湯をたっぷり吸ったライスはふやけてマグカップの中で嵩を増している。ほんとにリゾットっぽい。

 味はまぁ、そこそこ。ただ、炭水化物✕2だからあんまり受けが良くなさそうだ。ただガッツリ食べる派には物足りないし、そうでもない人は少し量が多いので飽きが来る感じがする。正直微妙な立ち位置だ。

 そんな事を考え食べながらララの話を聞いていく。


 今まで僕の端末に来れなかったのは、もともと姉宅のTVから回線を繋いでたのだけど、ヤマトがプログラムを書き換えた為、そちらの回線が断線したたので改めて別の回線からプロクラムを組み上げて繋ぎ直したみたいた。

 そしてゲーム内(なか)では、とララが続けて話してくる。


『―――というわけで今はカアントーの街を拠点にアサヒさんとパーティーを組んで冒険してるのです』


 どうやら今のところヤマトはPC扱いで存在してるみたいだ。プレイヤーアカウントがあるからおいそれと変更は出来ないと思うけど、問題ないんだろうか………。例えば―――ー

「アサヒさんは変に思ったりしなかったのかな?あのPCひと僕がヤマトを操作うごかしてた時会ったんだけど大丈夫だったの?」

『アサヒさんはあまりそう言う細かいことに拘らない性質たちらしく特に気にしてなかったのです』

「そっか、それなら良かった」


 ヤマトがどんな性格をしてるか分からないけど、下手をすると気味悪く思われるんじゃないかと思ってたんだけど、杞憂に終わったようだ。

 ウリスケは始め不貞腐れてたが、今はヤマトとレベル上げの最中らしい。

 ちょっとだけ寂しい気もするけど、元気でやってるならそれが何よりだ。


 そんな感じでララの話を聞いてると、端末が呼び出し音を鳴らす。


『マスター、店長さんからお電話なのです』


 ん?今日はバイトも無いし、何だろう。あ、ヘルプかな?


「はい、どうも………え、ええ、は?……まぁ、持ってますけど、僕弱いですよ。はぁ、明日ですか、……分かりました、いーですよ。じゃ、お店に向かえば……はい、はい。では明日」


 僕は溜め息を吐きながら通話を切る。また面倒な………。


『マスターどうしたのです?』

「うん、実はね―――ー」




 翌日の昼前、バイト先のある街と同じ所にあるゲームショップに来ている。

 ゲームショップと言っても電子的なものでなくトレーディングカードのお店だ。

 中はそれなりの広さであるのだけど、今日は小、中学生と高校生とかが大勢いて人集りになっていて狭く感じる。

 何故僕がここに来ているのかと言えば、店長に臨時バイトを頼まれたからだ。


【ラグナクルニカサモナーズ】


 その名のカードゲームはけっこー息の長いゲームで、現在ブースターパックは第30弾近くまで出ているらしい。

 僕もカードデッキを組んで持っているけど、最近はとんとご無沙汰だった。

 そのカードゲームの大会が行われるとの事で、ただ参加者が急遽1人欠場したので代わりに僕にと白羽の矢が立ったのだ。(他にも何人かに頼んだらしいけど、僕にしか連絡が着かなかったみたいだ)

 そして僕はその大会に参加する為にここにいる。


 コスプレして――――――


 そう、ウルフレンド大佐の格好かつらとウルフマスクをして参加する事になったのだ。はぁ~。

 どうやらこのゲームショップも店長が関わってるらしく、そんな関係でこんな羽目になってる訳なんだけど………。


 昨夜、店長から話を受けた後、押入れをガサって目当てのものを取り出す。あったあった。他のカードゲームと一緒にしまってあった。懐かしい。


『マスター、それは何なのです?』


 端末のカメラから部屋のようすを見ているだろうララがそう聞いてくる。


「ああ、これはカードゲームと言って、数種類のカードを50枚組み合わせて1対1で戦うものなんだ」

『…………って……り………する…………。分かったのです。面白そうなのですっ』


 僕の言葉を聞いてあっという間に情報を収集し理解した様だ。すごいよ!ララさん。

 そんな感じでカードを広げ見せながら説明してると、ララがお願いをしてくる。


『ララもやってみたいのですっ!!』


 うん、言うと思ったとも。こうしてララと何度か対戦?して全敗してしまったので(僕は下手の横好き)、今回の大会にララに出てもらう事にした。(と言ってもララには指示して貰うだけなんだけど)


 カードファイターララの誕生である。


 そして今回の対戦はトーナメント方式で、専用対戦台5台で予選を2回、準々決勝1回,準決2回そして決勝となる。総勢20人の対戦だ。

 準決は5人が勝ち上がるので、もう1回分戦うプレイヤーが出て来るがこれもまた運次第といったところだろうか。

 そして僕、いやララが戦う相手が台を挟んで向こう側にいる。


「ふっ、ウルフレンド大佐が相手とはわたくしもついてない。だが、この全ての事象をも視通す魔眼の前に、何処まで抵抗出来るか見極めてさせて貰おうか」


 すかさずババッと左眼に着けた眼帯を取り去る黒服の少年。


 中2病の小学生って………。


 まぁ、僕も人の事をとやかく言えた格好でもないし、もちろん普段のバイトの時と同じ感じで少年に答える。


「ふっ、少年。たとえ君が全てを視通す事が出来ても、私の速さに着いて来れるかな?」

「くっくっくっ。無論語るまでもないっ。我が神炎たるこの右腕を解放させられるかな?」


 もういや…………。あとはララに任せよ。


「「ガルディーンっ!ウェイクアップッ!!」」


 対戦台に互いにシャッフルされたデッキを置いて、掛け声を掛けてサモナーカードを1番手前に置く。

 この【ラグナクロニカサモナーズ】は北欧神話の神々の戦いをモチーフにその神々を召喚して戦うというのが最初のコンセプトだったのだが、今では様々なキャラクターが生み出され、偉人、英雄、アニメキャラ、アイドルと神様関係ねぇじゃん状態になっている。音楽の神の9人の少女伸とか、6つ子の守護神ガーディアンとか、何とも節操がない。

 そしてこのゲームにはランクが存在して、ガルディーンという神様をフィールドに召喚よび出すのに支払うコストをメダルで表現している。

 ガードのレア度でメダルの枚数も変化し、下から青銅ブロンズシルバーゴールド白金プラチナとなっている。


 そして今回の大会は、ブロンズメダル限定の大会になっている。初心者向けと言ったところか。

 先攻はジャンケンの結果僕となる。なんか余裕ぶってニヤリと笑ってるけど、小学生だからかあまり似合ってない。


『ゴブ鈴さんをスタンプしてタップしてなのです』

「ゴブ鈴をスタンプ&タップ」


 ララの指示に手札からゴブ鈴のカードを抜いて5つあるカードスタンプの中央に縦に置き、青銅のメダルをその上に載せる。

 カードゲームが廃れていない理由として、手軽に相手がいればプレイ出来ることとあとこの専用対戦台のおかげだと思う。

 専用対戦台は縦2m横1mの大きさで短い辺の部分に対戦用カードスペース。中央にはホログラフィックで表示されるフィールドがある。

 僕がカードを置くと2頭身半の緑の肌の少女が魔法陣から浮かび上がってくる。

 その後方にはサモンマスターである4頭身の銀に輝く鎧を纏い朱のマントをなびかせながら剣を杖の様に立て前方と見つめている。らぶりーかっこいい。


『ターンエンドなのです』

「ターンエンド」


 そう、どこぞのアニメの様にカードのキャラクターが映像で実体化して目の前で戦いを繰り広げるのだ。

 面白くないわけがない。


「我が右腕よっ!その秘められし根源たる原初の力を我に示せっ!!ドロ―――ーっ!!」


 ウンウン、がんばれ〜。


 要は数多あるカードゲームのようにキャラクターをフィールドに召喚して戦わせ、サモンマスターであるカードの5つある生命ライフポイントを全部なくすか、デッキの全てのカードを尽きさせることで勝敗が決まる。


 序盤、中2小学生の猛攻により生命ポイントが残り2になったけど、何とかそれをしのぎきり20数ターン目、相手は手持ちのカードを使い切り手ブラ、ガルディーンは行動終了済み。

 こちらの攻撃、相手の残り生命ポイント3。5体のゴブ鈴がアクティブになり、あるだけのメダルをつぎ込みLvを2つ上げる。


『ゴブ鈴ソルジャーさんでアタックなのです』

「ゴブ鈴ソルジャーでアタック」

「ぐぬっ!マスターで受けるっっ!!」


 剣を持ったゴブ鈴ソルジャーが、フィールドを駆け抜けジャンプして黒ローブの左手に包帯を巻いたキャラに攻撃。生命ポイントがひとつ砕ける。


『ゴブ鈴アーチャーさんでアタックなのです』

「ゴブ鈴アーチャーでアタック」

「マスターでうけりゅ!」


 ララの情け容赦無い戦略と攻撃で素っ裸にされて、最後はゴブ鈴娘3連撃で初戦は幕を閉じた。

 いじめてないよ。

 その後、中2病の中学生、腐り始めのJKと対戦して準決2回目で敗退した。

 さすがにコモンばかりのカードではララでもきつかったようだ。まぁ、ララは大満足という表情をしてたけどね。


『楽しかったのですっ』



 その後、ウルフレンド大佐は好評を博したようで、大佐枠?でたまに呼び出され、ララは喜びながらそれに応じる事となる。

 ララが楽しけりゃいいかな。うん。




(―「ー)ゝ お読みいただき嬉しゅうございます

Pt&ブクマありがとうございます

おだてられると木に登るタイプです

つい書いてしまいました

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