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無色と十二の旅(アルとジュウニのシルシ)  作者: Matyu
第一章:無色の旅立ち(アルのスタート)
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第1章・第19話 実力の証明

ギルドの奥。


普段は使われない広い空間。


「……」


アルトゥスは立っている。


静かだ。


ざわめきはない。


だが。


視線はある。


周囲には、数人の冒険者。


その中に、ガルドの姿もある。


腕を組んで、壁に寄りかかっている。


「……」


足音が響く。


一人の男が、奥から現れる。


重い空気をまとっている。


「……」


誰も言葉を発しない。


ただ、その存在を見ている。


男はアルトゥスの前で止まる。


「……初めてだな」


低い声。


アルトゥスは頷く。


「はい」


男はアルトゥスを見下ろす。


「今回の昇格確認を担当する」


短く言う。


名前は名乗らない。


だが。


分かる。


この場の中心だ。


「……」


アルトゥスは構える。


男は一歩下がる。


「内容は簡単だ」


淡々とした声。


「実力を見せろ」


それだけ。


余計な説明はない。


「……分かりました」


アルトゥスは剣を構える。


空気が張り詰める。


「始め」


その一言。


次の瞬間。


アルトゥスは踏み込む。


速く。


一撃。


振る。


「……」


止まる。


男は動かない。


剣が届く直前で、止まっている。


「……甘い」


男が動く。


速い。


「っ!」


弾かれる。


体勢が崩れる。


「……!」


距離を取る。


息を整える。


「……」


強い。


今までとは違う。


圧が違う。


「もう一度」


男が言う。


アルトゥスは頷く。


構える。


「……」


踏み込む。


だが。


今度は振らない。


見る。


動きを。


「……」


男が動く。


一瞬。


踏み込み。


「……今だ」


その瞬間。


アルトゥスが動く。


ズレを読む。


振る。


当たる。


「……ほう」


男の声。


わずかに反応する。


だが。


次の瞬間。


弾かれる。


「っ!」


距離を取る。


息が荒い。


「……」


通じる。


だが、届かない。


「……」


アルトゥスは視線を上げる。


「……もう一度」


小さく言う。


男はわずかに目を細める。


「来い」


短く答える。


「――!」


踏み込む。


見る。


ズレ。


タイミング。


「……今だ!」


振る。


当たる。


今度は深い。


「……」


男が一歩下がる。


空気が変わる。


周囲がざわつく。


「……止めだ」


男が言う。


アルトゥスの動きが止まる。


「……」


静寂。


男はアルトゥスを見る。


「……合格だ」


短く言う。


その一言で、空気が変わる。


ざわめきが広がる。


「マジかよ」


「通ったのか?」


「早すぎだろ」


声が飛ぶ。


アルトゥスはその場に立つ。


「……」


息を吐く。


まだ、余裕はない。


だが。


「……届いた」


小さく呟く。


ガルドが口を開く。


「やるじゃねぇか」


短く言う。


それだけだった。


だが。


十分だった。


男が背を向ける。


「手続きは進める」


それだけ残して、去る。


アルトゥスはその場に立つ。


クウが、ぴょんと跳ねる。


変わらない。


「……」


アルトゥスは視線を上げる。


次へ。


進む準備は、整った。


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