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無色と十二の旅(アルとジュウニのシルシ)  作者: Matyu
第一章:無色の旅立ち(アルのスタート)
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第1章・第7話 初依頼

ギルドの外。


空気が、少しだけ軽い。


「……」


アルトゥスは立ち止まる。


手の中には、ギルドカード。


まだ新しい。


「……これが、冒険者か」


小さく呟く。


実感は、まだ薄い。


セリーナが横に立つ。


「その一歩目です」


静かに言う。


アルトゥスは苦笑する。


「……まだ慣れませんね」


「すぐに慣れます」


短い言葉。


だが、否定はない。


アルトゥスは前を見る。


「……行きましょう」


頷く。


王都を出る。


門を抜ける。


少し進めば、森が広がる。


「この辺りです」


セリーナが言う。


依頼の場所。


アルトゥスは視線を動かす。


木々の隙間。


地面の跡。


「……」


クウが、ぴょんと跳ねる。


その時。


草が揺れる。


「――!」


反応する。


だが、遅れる。


飛び出してきたのは、火狼フレイム・ウルフだった。


灰色の毛並み。


鋭い牙。


「っ!」


構える。


だが。


間に合わない。


「――横です!」


セリーナの声。


体が動く。


ギリギリで避ける。


すれ違う。


「……!」


距離を取る。


振り返る。


火狼フレイム・ウルフが唸る。


「……」


アルトゥスは構える。


だが。


対人とは違う。


動きが読めない。


「来ます!」


セリーナの声。


火狼フレイム・ウルフが飛び込む。


速い。


「っ!」


振る。


空を切る。


当たらない。


「――!」


背後。


反応が遅れる。


「っ……!」


かろうじて避ける。


体勢が崩れる。


「……!」


立て直す。


呼吸が乱れる。


「……くそ」


思わず漏れる。


対人とは違う。


まったく別だ。


「落ち着いてください!」


セリーナの声。


「視線を外さないで!」


アルトゥスは歯を食いしばる。


見る。


火狼フレイム・ウルフを見る。


動きを追う。


「……」


来る。


踏み込み。


「――!」


今度は遅れない。


振る。


当たる。


火狼フレイム・ウルフが弾かれる。


よろめく。


「……!」


そのまま。


距離を詰める。


逃がさない。


二撃目。


確実に当てる。


倒れる。


動かない。


静かになる。


「……」


アルトゥスはその場に立つ。


呼吸が荒い。


「……終わりましたね」


セリーナが言う。


アルトゥスは息を吐く。


「……全然ダメですね」


小さく呟く。


「動きが、読めない」


セリーナは頷く。


「対人とは違います」


アルトゥスは苦笑する。


「……実感しました」


ふと。


視線を落とす。


倒れた火狼フレイム・ウルフ


「……」


ほんの一瞬。


毛並みが、少しだけ薄く見えた気がした。


「……?」


目を凝らす。


だが。


すぐに、普通の灰色に戻る。


「……気のせいか」


小さく呟く。


セリーナが視線を向ける。


だが、何も言わない。


「……行きましょう」


アルトゥスが言う。


セリーナが頷く。


クウが、ぴょんと跳ねる。


その先へ。


アルトゥスは歩く。


まだ未熟。


だが。


確実に、一歩踏み出していた。


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