第49話 雪の朝、二年生は作戦を立てる
雪がちらちら降り出したと思ったら、あっという間に大雪になった冬の朝。
北の山は白く霞み、その向こうには何かがいるのではないか――そんな話を思い出す。
竜の噂なんて本当かどうか分からない。
けれど今日はそれどころではない。
二年生には、もっと大事な戦いがある。
そう、雪合戦大会だ。
――雪の朝――
雪が降り出した。
今年は、ちらちらと思ったら、あっという間に大雪だ。
朝起きると、一面真っ白。足首が埋まるほど積もっている。
寒いはずだ。
「わーい!たくさん!カマクラ作れるぞー」
ジャックは庭に飛び出す。
雪だるまを作りながら遊んでいたが、母さんに朝ごはんをと怒られ家の中へ。
びしょ濡れだ。雪は湿っているらしい。
タオルも持つ。今日は絶対雪合戦だ。
嫌な予感がする。
――ガイルと三年生――
校庭は早く来た子たちで賑わっていた。
「えい!」
「やったな!」
みんな雪を投げ合っている。
レオとガイルもいる。
「遅いぞ、オリバー。ほら行くぞ」
ガイルが胸辺りに雪玉を投げたが、オリバーはヒョイと軽くかわす。
「おお、避けたな!」
だが、後ろにいた三年生に当たってしまう。
「痛いなあ!」
「あ、すまねえ」
ガイルはすぐ謝るが、三年生は納得しない。
オリバーも必死に頭を下げる。
騒ぎを察して、昇降口からノア先生が現れた。
「おやおや、どうしたのですか?」
事情を聞くと、ノア先生は短くまとめて言った。
「謝ったのにまだ怒っておられるのですか?話はこれで終わりです。三年生の先生には私から伝えます」
三年生は口々に「気をつけろよ」と言いながら去っていった。
「みんな、ありがとう」
「ノア先生、すごかったな」
ガイルは俯き、握った拳が震えている。
「……俺、負けねえ!雪合戦で雪辱を晴らす!」
「今はこらえろ。作戦で勝とう」
レオが制する。
――雪合戦とクラスメイト――
教室に入っても、ガイルのイライラは収まらない。
「三年生ぶっ倒す」「雪合戦見てろよ」
「まずは作戦だろ」レオが声をかける。
ガイルは「突撃だ!」と叫ぶ。
「それは作戦じゃないよ」
オリバーがやんわり注意する。
数人の女子もこちらを見ている。
「ガイル、乱暴はやめて」ミナが言う。
「雪合戦でやり返すのは良くないわ」エマも同意。
ガイルは眉を寄せるが、オリバーが落ち着かせる。
「だーかーらー、落ち着けって」レオが呆れる。
ノア先生が入ってくる。
「さて、雪が降るということは、学校恒例の雪合戦も近いですね」
「雪合戦は、実力と作戦で勝つものです。私情で戦うものではありません」
女子たちは頷く。
「皆で作戦を立てて戦いましょう。去年より実力はついているはずです」
「そうだ!」ガイルが叫ぶ。
「作戦練ろう」レオの目が輝く。
「団結が必要だ」レオが言う。
「去年は十人いたけど、今年は九人。補給係、前衛、後衛、偵察……やることは沢山ある」
オリバーがそっと指摘。
「私たちも協力するわ」エマが言う。
「俺と一緒じゃん」ガイル。
「違うわ、ガイルとは一緒にしないで」エマ。
「なんでえ?」みんな笑い声。
おっとりしたユウトやトーマ、ケントも加わって、二年生の九人は同じベクトルを向いた。
「協力すればできることは広がる」ノア先生が言う。
――雪の午後――
今日の雪は昼過ぎにはだいぶ溶けた。
でも道は固く凍り、風は冷たい。空も再び雪を降らせそうな雲行きだ。
山は雲で覆われ、中腹から上は見えない。
今晩にもまた積もるだろう。
帰宅したオリバーは、明日のために防寒具を乾かす。
きっとまた、大騒ぎになって楽しむだろう。
今年の雪合戦大会の作戦を考えているうちに、オリバーは眠りについた。
次回予告
学校恒例の雪合戦大会が、いよいよ始まる。
作戦を立てた二年生は、強い上級生たちに勝てるのか?
冬の校庭で、熱い戦いが始める。




