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俺の力の増大

 おう俺は山賊だ。

 今も国境にある深い森を根城にしてる。

 この森には生茂る木々に囲まれた踏みしめられた道があって、この道ってのが美味い。

 この道を利用するのは密入国者くれえだからだ。

 奴等は互いの国に何かの希望を抱いているのか、全財産を持って移動してやがる。

 それがうめえ。


 あれから順調に商売を続けている。

 森に籠り続けひたらすら真面目に働く毎日だ。

 ビアナも成長した、まだあどけなさは残るが一人前だ。

 そして俺の広域手配も解かれていた。

 何時なんの理由で解かれたのかは知らねえが、随分前に解かれたらしい。

 それを知った俺は積極的に子分を増やした。

 今では二カ所で網を張れるほどに膨れ上がり、客を逃さず接客してる。

 まあ符丁のある客は無事に通過させているんだけどな。


 順風満帆、商売繁盛笹持ってこーい。

 俺はまさに絶頂の時だ、30人からなる山賊団の頭だからな。それにビアナの成長が嬉しくてしょうがねえ。

 アイツは見事に成長してくれた、頭は切れるし、腕もある、それに人望があると来たもんだ。

 まあちょっと上下関係が山賊のソレよりすげえんだが……。

 ともかく、もう誰も文句を言う奴はいねえ、あいつは名実ともにこの山賊団の№2だ。

 今アイツは別の集団を率いて、森の中の離れた場所で活動してる。  

 ビアナに率いられている奴らは自分達の事をビアナ親衛賊団と呼んでやがる、ジョイフルとディーンなんかすげえ気合いの入れようだ。

 君たち俺の子分だよね?

 

 そんなすげえ気合いだから、俺直属の子分達と合流した時は雰囲気がちょっと不思議な感じになる。

 なんというかビアナ親衛賊団の空気に飲まれてしまうのだ、子分たちが。…いや俺も。

 普段は和気藹々としている俺達だ、冗談は言うし軽くジャレたりもする。

 お調子者の子分―――ピレップなんかは時も場所も弁えず騒ぎまくる、客の前で騒いだ時にはさすがに殴り飛ばしたが、すぐに許した。まあ馬鹿だから可愛いんだよな。

 そんなピレップもあいつ等と一緒になると黙り込む。

 このままじゃあよくねえなあ。







 俺はいつものように森の中を歩く村民を襲った。

 奴等は二人だった、踏みしめられた道を慎重に歩いている。

 俺はゆっくり獲物を見定め所定の位置に着いた。


 オクタゴンフォーメーションαだ。


 獲物のありとあらゆる角度から道を塞いだ上で、弓を射かけるのだ。

 これは増え続ける子分たちが少しでも襲撃で役に立ちたいと提案してきた、俺を泣かせた自慢の陣形だ。

 この陣形を使うようになってからは、獲物の抵抗が一切ねえ。 

 俺は信奉する悪徳の神リーファイスに祈りを捧げた。

 仕事の成功と子分達の成長をってなあ。


「命が惜しけりゃ、金も命も置いてきな!」


 いつもの口上、いつもの陣形、いつもの獲物。

 俺は笑みすら浮かべ奴に迫った。

 これは俺の美学だ。こだわり続けた俺はついに二つの集団の親分になるという快挙を成し遂げた。俺はこのまま邁進する。このままいけば近いうちに騎士団への復讐が行えるだろう。

 俺はいつものように鞘を払うと愛用のシミタ―構え、いつものように子分に合図を送る。

 そうするといつものように獲物の眼前に矢が穿たれた。

 いつものように獲物がビビる。


「全部置いていきな」


 抵抗のない獲物を縛る子分たちを見ながら、そろそろこの場所での商売に限界を感じ始めた。

 増え続ける子分に対して、客が減っているからだ。

 俺は決断した。

ありがとうございました

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